光が担うサスティナブルな未来

私が幼い頃、エイトマンというヒーローがいた。
「走れエイトマン 弾よりも速く」という
キャッチフレーズからもわかるように
足がメッチャ速かった。
困った人がいたら、俊足を活かして
速攻で助けに行った。
いわば、時間と距離を縮める能力を持った
正義の味方だった。
そんな憧れのヒーローのTV放映が、
ある時突然打ち切りになった。
これは、幼ない私にとって、
とてもショッキングな出来事だった。
その後、鉄人28号、アトム、マグマ大使、
仮面ライダーなどたくさんのヒーローが
現れたが、私にとってはどれも
エイトマンを超えるヒーローではなかった。
エイトマンの主題歌は、こんな行から始まる。
「光る海、光る大空、光る大地」
エイトマンは私にとって、
光のように眩しい永遠のヒーローだった。

20世紀終盤、インターネットが台頭し、
地球上の時間と距離が一挙に縮まった。
そういう意味では、エイトマンに似ていた。
中でも、我々の生活を大きく変えたのは
スマホの普及だった。
欲しい情報が容易に手に入るようになった。
遠くにいる人と顔を見ながら
手軽に会話ができるようになった。
カメラがなくても高解像度の写真が撮れるし、
それを直ぐに送ることができた。
財布を持っていなくても、
キャッシュレス決済で買い物もできた。
仮想通貨の出現で、お金の概念さえも変わった。
世の中には賢い人もいるものだと
感心していたら、考え出したのは
サトシナカモトという日本人かも?
と聞いて腰が抜けそうになった。
IOTのお陰で外出先から
家の風呂を沸かしたり、
炊飯器のSWを入れたり、
エアコンをつけたりと色々なことができた。
しかし、こんなことで驚いてはいけない。
もっと凄い時代がやってくる。
しかも、それは足早にやってくる。
人類は今まで、亀のようにコツコツと
歴史を積み重ねてきた。
その歴史は、ITによって歩みが加速した。
人類の未来の主役は、
AI(人工知能)と宇宙だと私は考えている。
やがてシンギュラリティが実現し、
AIは人間の能力を超えるだろう。
誰でも宇宙旅行に気軽に行ける日が来るだろう。
異常気象で人間が地球に住めなくなっても、
他の惑星に移住して生活する日が
来るかもしれない。

そんな未来にむけて、私のイチ押しは
IOWN(アイオン)だ。
NTTが掲げているIOWN構想だ。
IOWNは、光の技術だ。
光は地球上で最も速い。
アインシュタインの特殊相対性理論において、
光より速い物質はないとされてる。
だから、当然、エイトマンよりも速い。
光は音よりも速い。なんと100万倍速い。
打ち上げ花火を観ている時、花火の映像よりも
音が遅れて聞こえるのはこのためだ。
光の技術の正式な名称は、光電融合技術という。
電気信号を扱う回路と光信号を扱う回路を
融合する技術だ。
コンピュータは電気信号を処理をして
動いている。
これを光信号に変えて処理するのだ。
そのためには、コンピュータに内蔵されている
半導体を、光半導体に変えなければならない。
みなさんもご存知のように、
インターネットは光ファイバーで繋がっている。
しかし、コンピュータは電気信号を
処理しているために、コンピュータが
情報を受信したら光信号を電気信号に
変換しなければならない。
もしコンピュータが光信号を処理できれば、
変換する必要がなくなる。
要するに、ネットワークの端から端までを
オール光化するのがIOWNだ。
IOWNの達成目標は三つある。
①消費電力100分の1
②伝送容量125倍
③遅延200分の1  
これが達成すれば、素晴らしい
次世代インターネット網が誕生するだろう。
データセンター(DC)は省電力化され、且つ
大規模情報の高速処理が可能になるだろう。
スマホが高性能になり、且つ
充電も年に一度でよくなるだろう。
東日本大震災以降、電力不足の日本にとって
まさに救世主といえる。
日本はIT後進国といわれて久しい。
この汚名をなんとか払拭しなければならないが、
通信規格5Gにおいても後塵を踏んでしまった。
6Gでは世界を引っ張っていく立場になりたい。
AIでも世界を引っ張りたい。
そのためにNTTの役割は重要だ。
NTTはiモードで失敗した苦い過去を持つ。
IOWNをiモードのような独自規格に
してはならない。
そのために、IOWNグローバルフォーラムを
設立して、世界の主要な企業との仲間作りを
積極的に行っている。
世界中のパートナーと一緒になって、
IOWNを推進している。
実現するのは容易ではないだろうが、
私が子供の頃、エイトマンが希望の光
だったように、IOWNが日本にとって
いや人類にとって希望の光となることを
心から願っている。

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