回収方法
■回収方法
融資先が倒産し、借入金の返済ができなくなった場合、まずは取引約定書に基づき期限の利益喪失の通知を発送し、金融機関は貸出金の回収を図ることになる。
融資先に対して有する貸付債権の回収を図ることから、これを債権回収という。
主な回収手段は次の通り。
1.任意回収
融資先の意思による返済のこと。回収は、任意回収を原則とし、できる限り任意回収を目指す。
任意回収の方が回収金額や回収にかかる期間の点で有利なことが多いため。
2.相殺による回収
融資先に対する貸出金と融資先の預金とを同額で消滅させること。
3.保証人からの回収
金融機関に対する保証は連帯保証がほとんどであり、必ずしも融資先からの返済を優先させる必要なく、並行して連帯保証人から返済を受けることができる。
4.不動産担保からの回収
不動産担保からの回収方法には、主に「任意売却」「競売」「 物上代位」「収益執行」の4通りがある。概略は、次の通り。
□任意売却
物件の所有者に物件を売却させ、売却代金から回収を図ること。
□競売
裁判所によって行われる手続きで、最高価での取得を表明した買受人に不動産が売却される。
その売却代金は債権者に対し、裁判所の作成した配当表に基づいて配当金として支払われる。
□物上代位による賃料差押え
担保不動産が賃貸されている場合、その賃料収入から回収を図る方法。
裁判所に賃料に対する債権差押えを申立て、賃料収入を差し押さえることで回収を図る。
□収益執行
物上代位による賃料差押えと同様に、担保不動産が賃貸されている場合に、その賃料収入から回収を図る方法。
裁判所が選任した管理人が、不動産の管理行為を行い、それにより得られた一連の収益を抵当権者等に配当する手続き。
□商業手形の回収
手形割引や商業手形担保手形貸付により融資を行っていた場合には、次の通りに回収する。
手形割引の場合、融資先に対し手形の買戻請求を行う。
商業手形担保および手形貸付の場合、融資先に弁済または代わりの担保手形差入れを要請する。(商業手形が不渡りになった場合には、割引手形の振出人・裏書人からの回収を図る)
また、同時並行的に、商業手形から回収を図る。
手形期日が到来すれば、手形の振出人から支払いを受けることで、貸出金が回収される。
有価証券担保からの回収の場合、上場株式や国債は、市場で売却することで、売却代金により回収を図る。
【参考書籍】
「融資業務超入門第2版」https://a.r10.to/hkBgaq
「融資業務180基礎知識第3版」https://a.r10.to/hDDin9
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