融資事後管理
■事後管理
□事後管理の必要性
融資の実行後、環境の変化などの影響により、融資先の業績が低迷し、借入金の返済ができなくなるといった事態が起こることがある。
このような変化に対し、適切な対応を取ることにより損失の発生を回避することが、事後管理の目的となる。
□事後管理の項目
事後管理は、次の3つの項目に分けられる。
1.融資先の管理
日常業務の中で、融資先の業況や取引状況を把握する。
2.融資条件の履行状況の管理
当初交わした融資条件の履行状況を確認する。
3.担保・保証の管理
担保物件や保証人等の変化の有無を注視し、必要な対応を行う。
□融資先の管理
経済情勢や環境の変化により、企業の業況は良くも悪くも必ず変化する。
したがって、各々の融資先の変化を素早く認識することが必要となる。
特に、優良先にはさらに積極的な対応を行い、問題を抱えた先には必要な債権保全策を取ることのように方針に従って、貸出資産の安全性を確保する。
具体的な融資先の日常管理は、主に次の方法による。
・財務諸表による分析
融資実行後も月次の試算表や決算書の提出を受け、業況や資金繰りの把握を行う。
・仕入・販売先の動向把握
仕入・販売先の変化や決済振りから融資先の変化を把握する。
・融資先の重要事項の把握
日頃の接触を密にすることで、融資先の重要な経営情報を確実に入手できるようにする。(例:代表者の変更、増資、設備計画、経営戦略の変化等)
□取引状況の把握
他の金融機関との取引状況を確認し、資金繰りの変化や他の金融機関の動向等を把握する。
・融資条件の履行状況の確認
当初の融資条件の履行状況を確認することは、貸出金が確実に返済されることを確認するうえで重要になる。
融資条件の履行状況の確認は次のように行う。
・資金使途の確認
貸出金が融資の申出どおりの用途に使用されたかどうかを確認する。
・担保・保証の取得状況の確認
当初条件となっている担保の設定や保証の取得が完了していることを確認する。
・返済状況の確認
契約どおりに返済が行われていることを確認する。
もし返済が遅延することがあれば、直ちに融資先に督促するとともに原因を究明する。
□担保・保証の管理
貸出金を回収するまでの間、担保物件や保証人について、当初予想しなかった事態が生じることがあり、このような変化に対応するためには、定期的に担保の点検や保証人の状況を調査する必要がある。
不動産担保の場合、建物が滅失していたり、不法に占有されていたり、また更地に建物が建てられている可能性あり。
【参考書籍】
「融資業務超入門第2版」https://a.r10.to/hkBgaq
「融資業務180基礎知識第3版」https://a.r10.to/hDDin9
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