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金融検査マニュアルの廃止と自己査定

■金融検査マニュアルの廃止と自己査定

金融機関は、健全性の維持のため、適切に融資の実行や管理を行わなければならない。

□金融検査マニュアルの廃止と自己査定

金融機関の「自己査定」は、従来から、金融機関自らが自らの自己査定マニュアル(内部規定)に基づいて資産査定を行うことになっていたが、実態として、金融庁の『金融検査マニュアル』に準拠した内容になっている。

金融庁の『金融検査マニュアル』は、金融危機時においては、自己査定、不良債権の償却・引当、リスク管理態勢確立等に役立ち、金融機関の多額の不良債権処理に寄与したという過去の実績がある。

他方で、マニュアルに基づいて、債務者の事業内容や将来性よりも過去の決算結果や担保内容を重視するあまり、金融機関の対応が画一的なものとなってしまった。

各金融機関の自己改革を妨げ、適切なリスクテイクを通じて収益性と健全性を両立させるビジネスモデルの弊害になったという反省に立ち、『金融検査マニュアル』は、2019年12月18日をもって廃止された。

『金融検査マニュアル』の廃止後も、各金融機関に定着した『金融検査マニュアル』に基づく自己査定実務は容認されている。

今後としては、各金融機関の個性・特性を踏まえて、自己査定に関する「基準」「規程」「マニュアル」等を見直すことが求められる。

これにより、決算内容や担保・保証のみに依存せず、債務者(融資先)の事業内容や将来性をより反映させた融資が期待される。

【参考書籍】

「融資業務超入門第2版」https://a.r10.to/hkBgaq  

「融資業務180基礎知識第3版」https://a.r10.to/hDDin9  

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