果物シール
印刷物が好きで、集めてしまう癖がある。映画のポスターもパンフレット、チラシは父から譲り受けたものからあるので、相当な量を持っている。
女優やロックスターから始まり、アパレルブランドから届いたDMを含めたポストカード、頂き物のお菓子の箱に入っている能書、などなど。とにかく可愛い印刷物に目がない。雑誌から切り抜いた好きだったモデルや、欲しかった雑貨、買えないならせめて印刷されたものを貼っておこうと、まとめたスケッチブックも二十冊はある。根っからのコレクター(オタク)体質だ。
特にその気がなくても、同じものが3個偶然にも手に入れば
神様が私にこれを集めろと言ってる!
と勝手に解釈。収集が始まってしまう。3つ集めたらそれは初級コレクター(私基準)
特に小さな印刷物は大好きで、切手から始まり、国内外のティーパックの外袋、ティーパックの持ち手の四角い紙部分、いろんな食べ物のラベル。
海外に行くときの機内食がやばかった。集めたいものがてんこ盛りでやってくる。
ミネラルウォーターの蓋、ジャムの蓋、ドレッシングの蓋、ヨーグルトの蓋、全部印刷が可愛い。食後のティーパックのプリントまで素敵、2食機内食が出てきたら、もう二つ三つは新しいコレクトの始まり始まり。剥がしたジャムやヨーグルトの蓋を貼っておくところがなかったので、とりあえず、パスポートの余白に貼って保存。
機内食でコレクトが始まったと思ったら、旅先ではさらにそそる小さな印刷物が私を待っていた。
それは果物シールとの出会い。
果物についている小さなシール。時には果物の色と同色、時には果物と同じ形に切り抜かれ、扱う会社や生産者ごとに違うシール。
ああなんて集めがいのある!せっせと果物を買ってはシールを剥がし、集める事に夢中になった。食べたことのない果物は 旅行先での新しい味を知る喜びと、シールとともに思い出を持ち帰る幸せを同時にくれる。こんな良いコレクションがあるだろうか!!
ある夏の帰宅時、部屋に奇妙な線を見つけた。留守の間に黒い細ーいゴム紐みたいなものが部屋を横切って置かれてあった。
蟻だった。
ぎゃー!!!!!!
2階の部屋だったので 風を入れようと窓を開けて出かけてしまった。アパートの中庭から、ものすごい数の蟻が私の本棚を目掛けて行列をなしている。
ジャムのラベルと果物シールを貼ったパスポートだった。
帰国した時、大半の果物シールとジャムのラベルは違うノートに貼り直したんだけど、ジャムの粘着と果物の汁がついていたシールは 剥がれにくくて、破りたくなかったので、そのままパスポートに貼っておいたのだった。
パスポートのそのページは、怪奇映画そのもののように蟻で真っ黒だった。
暗転。
現在、サンフランシスコに移り住んで2年、あの暗黒のパスポートのショックからも立ち直った。一回は全て捨てた果物シール。アメリカでの目新しい果物シールに目が行き、またムクムクと収集欲が出てきたところ。今度は用心深く、一回裏を拭き取ってから、ノートに貼ろうと思う。一時帰国した時に見つけた日本の果物シールも可愛いかった。
これは、アメリカが採用しているナンバー入りの果物シール。デザインは可愛くなくてコレクト対象外なんだけど、
4桁で、3もしくは4で始まる番号は農薬を使用。
5桁で9で始まる番号は化学肥料無使用のオーガニック。
5桁で8で始まるものは遺伝子組み換え。
と表示されている。この番号はprice look up codeと呼ばれていて、IFPC(International Federation For Produce Coding)という団体が管理し、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、南米、ノルウェー、フィリピンなどで使われているみたい。日本ではあまり見かけないかもしれないけど、見つけたらそういう情報が手に入るよ。
Find it!
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