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悲しみに触れるとき
悲しい出来事があった時、人はどれくらいの時間があれば、回復できるのでしょうか。
時間の経過は、記憶を薄くして、朧げにして、癒してくれる効果があります。
ただ、そこにかかる時間に対して、当事者以外…つまり周囲の人は短く見積もってしまいがちです。
誰でも知っていて忘れがちなことは、悲しみの出来事に関係なく「悲しみの深さ」が、その人によって違うことです。
1週間で癒され始める人もいれば、10年経っても昨日のことのように心に刻まれている人もいます。
たとえ、その人が10年間、その出来事を口にすることが無かったとしても、心に刻まれた深さは1mmも埋まっていないこともあるのです。
身近に悲しい出来事のあった人がいたならば、そして、その話題に触れなくてはならない事情があった時には、まだ「出血している傷」だと思って気をつけることが大切です。
いつか自分自身に悲しい出来事があった時、そのように接してくれる人がいたならば、それこそが「癒しになる」と実感することが少なくありません。
感情ある限り、誰もが喜びも悲しみも感じないまま生きてはいけません。
深い悲しみを知ることは、天にものぼる喜びを知ることに繋がることもあります。しかし、それを理解して受け入れるためにかかる時間は、人によって違います。
そして周囲の人の関わり方によって、その時間は長くも短くもなります。
誰もが、いつだって「当事者」になり「周囲の人」にもなりえます。
誰かの悲しみに触れなくてはならない時、「まだ悲しんでいるかもしれない」という気づきが「優しさ」になり「癒し」にもなります。
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