カフェボーイ
ポツンっ♪
少年の頭に水滴がおちて、それがつたってゆくのを身体で感じながら
あー僕はいきてるんだと実感した。
時刻は午後2時を過ぎたところで
少年はおじさんのいるいつもの喫茶へむかう。
今日はおじさんの誕生日だから
少年はおじさんの大好きな競馬の馬
ピンチヒッターを折り紙でつくってプレゼントすることにした。
カランカラン♪
いつも二人が座っている窓際の席におじさんがいなかった。
こんなことはめずらしい。
3年間ではじめてだ。
きっと何かあったんだ。おじさん。
少年は心配になったが探して入れ違いになるのもいやなので、ホットココアだけ注文して待つことにした。
おじさん大丈夫かなぁ、、
ココア甘いなあ、、
ここのココアはマスターがこだわっており、
わざわざ南アフリカに出向いて買ってきている。
マスター[あれ、めずらしいね今日ひとり?
少年[う、うん、。
マスター[お腹すいてないかい? なにか作ろうか、
お代はいただかないよ
少年[じゃ、じゃあ、デラックスプレミアムカツレツとスペシャルサンドウィッチ、、ください。
マスター[ははははっ!!!腹ペコじゃいか!!
遠慮なしだねきみは!!
結構控えめな性格だとおもってたけどいうこというねえ!!!
少年は少し欲張り過ぎたかなとおもった。
ジュワーーーーー
カツレツの上がる音をきいて、
少年はビートを刻みたくなった。
ズンズン♪
ズンズン♪
ばれない程度に足踏みしていたが、
これだけじゃ満足できない。
こないだ見たグレイテストショーマンの影響だろうか、すべてが音に聞こえてたまらない。
テーブルの上にはナプキン、灰皿、なにかをかき混ぜる棒のようなもの、、
よしっ!演奏開始だ!
少年はその日すごく大胆だった。
じゅっじゅわわーーーーー
ズンズン!!
ちゃんちゃん!!♪
棒で灰皿を叩いて高音をだしながら
下では足踏みしてギシギシときしむ古い床を
踏みまくった。!
チンチン!!♪
すどんずどん!!!!
ドンドンドン!、♪
たのしいーーー!!!!
これこそストリートミュージックだよ!!
ズンズン♪
ちゃんちゃん♪
カランコロン!!♪
気がついたら少年は大声で歌っていた。
マスター[うるさいよ!!!!へたっぴなビートなんか刻んで!!!
カツレツが上がるまで我慢しようと思ったけど、
もう限界だ!!!!ここはライブハウスじゃないんだ!!!!いい加減にしなさい!!
少年[お願いです!!いまなにか降りてきそうなんです!たぶん僕音楽の才能があります!!信じてください!!!
マスター[なにいってんの!!ないよ!! きみは脳なしのコミュニケーション障害のただのガキだ!!
いまこの瞬間ひとつの芽がつまれてしまった。
こうやって死んでいくんだみんな。。。
少年の目には涙があった。
でも瞳のおくにメラメラした情熱がともっている。
少年[僕はあきらめない!!
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