ポークピッツボーイ
「お前今まで何か本気で取り組んだことあるか?」
「いえ。」
「そんな初めっから楽して稼ごうとか絶対無理やぞ。今金持ちの人もめちゃくちゃ頑張る時期があってようやく時間も金もある生活になってんねん。」
「あ、はい。」
「あいつらみてみろよ。」
車から太ったボーイを指さした。
「ずっと突っ立ってるだけで客引きもせん。しゃべれば会社の文句ばっかり。結果も出してないのに給料あげてくださいとかいうてる。もう考えが腐ってんねん。ああいうやつは何しても無理。
なんかもう辞めて知り合いの風俗の仕事するみたいやけど。そこもやばい会社。もう借金も相当抱えてて、クレジットもつくれんらしい。
あいつと喋ってる時ずっと見下してるで?俺。
ろくに税金も払ってない。社会的に死んでる人間。かといって努力もしない。
お前はこの仕事向いてるで。あんなブスばっかりやのに売り上げ作ってる。おれはあんなメンツで売上げつくれるきせんわ。ブスに仕事さすのがうまいなあ。」
褒められているのかバカにされているのかよくわからなかったが、少し嬉しかった。
「アルバイトでやってるなんてもったいない。ちゃんと社員になって、税金も払って、
腰据えて本気でやってみんか?」
「いやでも。。。」
「FXとかYouTubeとかコロコロやること変えてさ、確かにいろんなことするのはいいことやと思う。けどそんな宙ぶらりんじゃなにも残らんぞ。もう26やろお前。結局は金やぞ。金ないとなんにもできん。なんもやりたいことないんやったらとりあえずうちで頑張ってさ、金稼げばそれを元手になんかできるやろ。あとうちは副業禁止やからYouTubeもあかん」
「え、、、(youtube登録者数100人とかなのに)」
「無理に社員なれとはいわんけどちょっと考えてみ。」
正論いわれても困ります。僕は社会不適合者なのです。
今までなにも続いたことがありません。
いや社会不適合者っていうかそれは言い訳で、楽したいそれだけなんです。今までずっとそうでした。
自分はなんでもできると思ってます。だいたいのこと。
でも大事なのは継続すること。いくら仕事ができたとて続けなければ意味がありません。給料もあがりませんし、会社の信頼も得られない。
ぱっと稼ぎたいならいますぐ貯金残高の10万をFXに全部突っ込んで、レバレッジを500倍くらいかければいい。
ふと10円玉を空へ向かって投げてみます。
表ならBuy 裏ならSellです。そんな人生を送ってきました。まだ当たったことはありません。
パチンコやスロットもいったことがありますが、勝ったことがありません。ギャンブル運とやらがないのかもしれません。ということは部長の言った通り何かに腰を据えて地道に頑張るしか道はないのかもしれません。
知り合いの店舗の太ったボーイたしかに何もしてない。いつも手をプランプランさせて突っ立ってるだけ。あれで金をもらえるだけありがたい。しゃべればどこぞに可愛い子がはいったやら、社長の文句、博打や風俗の話。仕事の話を聞いたこともなかった。
それに比べて俺は仕事はちゃんとする。ちゃんとしすぎる。考えすぎて寝れない時もある。バイトのくせに。
毎度毎度仕事に慣れてくるとおれはここでいいのかと思ってしまう。もっとなにかあるのではないか。こんな仕事他の奴がやればいいのではないか。
でもそれはきっと幻想だ。みんな自分が主人公だと思いたい。思っていい奴もいる。それはなにか今まで1番になったことがあるやつ。それが最低条件。
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