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ホストクラブが恋愛に似てるんじゃない

ホストクラブが恋愛に似てるんじゃない。恋愛がホストクラブに似てるんだ。昨夜人生で初めてホストクラブに行ったわたしは愕然とした。

わたしは、ホストのみなさんに対するのと同じ構造で、同じ態度で、そのへんのめぼしい男に恋をしてきたのではないか。「対価を支払うという暗黙の前提のもとで、安心して、優しくされたり女性として大切に扱われたりすることができる」。

Photo : Mary Queen of Scots

初めてのホストクラブで当然わたしはドキドキしていたし、いつものように過剰に気遣いと礼儀正しさを発揮しそうになっていた。そんな、不安に苛まれる自分を叱咤し「いや、お金を払ってここにいるんだから、申し訳なさそうにしなくていいんだ」と安心スイッチをいれた。目の前のホストの方の(方のw)酒が空になっているのに気が付いて、習慣で慌てて酒を探しそうになり、「いや、酒をどうにかするのはたぶん皆さんのお仕事なんだから、わたしはやらなくていいんだ」と言い聞かせた。

あまりホストクラブのコードがわかっていないけれど、たぶん、女性が気を遣うのが粋ではない空間のはずだ。女性がもてなされていい空間のはずだ。

その只中に置かれて、わたしは、いかに自分が、男性ばかりの集団で、給仕をし、酌をし、愛想を振りまき、彼らを持ち上げるなどして、気持ちよい場を築くことに腐心してきたか、思い知った。それが当たり前になってることに、自分でも驚愕した。

こういうことか。ホストの皆さんが、安くはない料金の対価として客であるわたしたちにやってくれることを、わたしは、日常的に、社会で提供してきたのだ・・・。なんという、自尊心の低さ。そんなに、大袈裟にとらえたことはなかったけど、これが無意識レベルに刷り込まれているわたしは、けっこうやばいと思った。

そんな気づきの嵐に置かれながら、若い(若い?)男の子(男の子?)たちが順繰りにやってくるのに対峙する。

上品な店だったからか、座った瞬間に姫扱いするような、ディズニーランド的な過度なオペレーショナルエクセレンスもなく、なんなら、着席した後しばらく、普通に緩く「全員に酒を配り終わってねえww」みたいな感じでバタバタしている彼ら。その様子を見ていて、わたしは突然、自分の取るべきポジションを悟った。

「新卒新人男子10名に囲まれたおごり確定の飲み会における、11年目のプロパー女性社員、教育担当」※これは実体験

金を出すのはわたし。大きな意味で、会話のディーラーはわたし。大きな意味で、彼らを、育て、見守るのはわたし。

それはなんだか、ホストの皆さんに囲まれる構図と似ていた。そうか、わたしは金を出す姉御をやればいいのか!

振舞い方とポジションがなんとなく摑めてからは楽しかった。さらに気楽だったのは、ここでは、ちょっとくらい女王振る舞いをしても、後から「イタいお局」と陰口をたたかれることもない、ということ。(たぶん)

「〇〇くんは特技なんなの」
「え~!俺の特技?!(まじでしばらく考えこむ)」

(いやこういう場での会話の基本テンプレちゃうんかい。フォーマット回答用意しとけや)

「小籠包をそのまま飲み込めることかな!!歌舞伎町イチだよ!!」
「なにそれかわいいwww」
「でしょでしょ俺かわいいでしょ(きゃいきゃい)」

「休日ってなにしてんの」
「休日・・・な・・・なにも」

(さてはガチ回答かww)

「あはは、わかるー家で一人になるとめっちゃ暗いタイプでしょ!」
「え!!なんでわかんの!!俺のこと知ってんの?!?!バレてる!!」

(いやいやここまでの会話テンプレやろww)

素朴でいい子だな、かわいいなと素直に思った。もちろん、それは彼の仕事だ、という意識はあった。ただ、それこそが、わたしを安心させた。

わたしは、心の奥底で、「対価を支払っているのだから、これくらい、ちやほやされていいのだ」と安心していた。「対価」が存在することで、わたしにとって、関係が容易くなっていることに気が付いた。


そして、その歌舞伎町のホストクラブの真っただ中で、

凌くんとの関係も同じだったことに気が付いた。


わたしは、彼に、彼の人生史上最高のフェラを提供できる女だった。わたしは、彼が、24時間、いつやりたいと思っても、いつでもセックスを提供できる女だった。わたしは、彼が見たいと思う姿で会社に現れ、彼が見たいと思う姿でセックスに臨んだ。

そういうわたしを、彼は、ちやほやした。欲情した、欲した、求めた、貪った。

わたしは彼が欲する「対価」を涸らすことなく与え続けられる女。だから、彼に、求められる。

彼から求められることに、確かな理由が、根拠があることに、そう、「好き」とかいうふわっとしたものではない、確かな欲望があることに、安堵していられた。

だって、何もないのにただ愛されるなんて、不安なのだ。

女としての自分には、コンプレックスしかないから。男は、女の中の男ではなく、女の外側の女を愛するものだから。わたしにはその「愛される外側の女」の資質はない。

なのに、男に愛されるなんて、なんだか騙されているようだし、そんなこと、ありえない。これが、わたしの世界理解。

20代後半に差し掛かったあたりで、思いがけず自分がフェラがうまくてセックスが好きだということに気づき、その点において、自分が、男にとって女として機能することを知った。その機能を提供できるから男に求められるという、わかりやすく明快な構造を発見して、恋愛に感じてきた恐怖感を少し克服した気になった。

そして、30代で凌くんに出会った。わたしの持つ「女」の機能に、あんなにわかりやすく反応する子はほかにいなかった。綺麗だ、美人だ、えろい、あんなふうに正面から女性性を褒める人に出会ったのは初めてだった。わたしは、最初から彼に恋していた。なんてナイーヴなんだろう。

そして、それから3年間、彼と対等な関係でいられるよう、そう、わたしを女性として扱ってくれる対価を支払えるよう、3年間、彼の射精のために何もかも与えた。

彼が勃起し、射精すること、欲情したらまずわたしに連絡してくることに、だから必要とされているという論理的帰結に、安心していられた。

それがわたしの30代のエポックメイキングな恋愛だったのだ。

そう。無意識下に、わたしは「彼に女性として扱ってもらう」という意識を持っていた。そのことに「対価を支払わなければ」と思っていた。差し出せるのがセックスだった。(いや、もちろんわたし自身もセックスは好きだったのだけれど、それはそれとして)

わたしは、対価を支払う恋愛をしてきた。対価を支払うから好意を持たれるというゲームをプレイしていた。わたしの恋愛は、ホストクラブに似ていたのだ。

まあ、長々と書きましたけど、だから何ってわけじゃないんですけど。心情吐露しましたよ。

なんかね、このあたりを客観視して深堀してメタの彼方から見つめて優しく包含できる大人にならない限り、わたしは恋愛できない気がする。

それでいいんですよ。まだまだ未熟だってことだわ。

え・・・・?

ここまで気合入れて読んだけど、ただ単にお前がホストにはまりそうだっていう話だったって・・・??


否めない・・・・

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