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FM84.0MHz Radio City presents "Saramawashi.com -The Vinyl Paradise" 083:イーグルスとその周辺人脈特集

さらまわしどっとこむ -The Vinyl Paradise-
第83回(2023年5月5日(金)20時~
(再放送:5月7日(日)19時~)

清澄白河にあるカフェGINGER.TOKYOのオーナー高山聡(あきら)がお届けする音楽番組です。
全曲アナログ・レコードでお届けします。可能な限り7インチ盤で、しかもフルレングスでかけます。
サーフェスノイズにまみれた1時間、ぜひご一緒に。

今週から夏に向けて爽やかなカントリー・ロックを何回にわけて特集したいと思います。断続的になるかとは思いますが、今週は1回目として、イーグルスやその周辺人脈を中心にお届けします。結局のところ高山がイチバン好きなあたりです。次週はオーソドックスとは申しませんが他にもいい曲がいっぱいあるから的な選曲で行こうかと考えております。まず1週目、イーグルスやその周辺人脈の特集ですが、ちょっと前にジョー・ウォルシュ特集をやりましたから、ここでは初期イーグルスやその辺の音がお好きな方に好まれる周辺人脈あたりです。

1曲目
「Kite Woman」Longbranch / Pennywhistle (1969)
2曲目
「Run Boy, Run」Longbranch / Pennywhistle (1969)

早速ですが、ロングブランチ/ペニーホイッスルというユニットをご存知でしょうか?1969年に一枚だけ、エイモス・レコーズというレーベルからアルバムをリリースして70年には解散しております。71年にはエイモス・レコーズも倒産してしまいますので、その後幻盤として語り継がれていたものです。しかしてその正体は、デトロイトからLAに出てきたばかりのグレン・フライと、テキサスからLAに出てきたばかりのJ.D.サウザーが結成したものです。同じくエイモスにはシャイローというバンドも所属しておりまして、こちらにはドン・ヘンリーがいたわけですが、要はイーグルス結成前の下積み時代の音源というわけです。どちらかというとJ.D.サウザー中心です。2016年1月に亡くなったグレン・フライを追悼するかたちで2018年に「アバヴ・ザ・クラウズ」=「雲の上」というグレイテストヒッツがリリースされますが、その時、この盤も丸々収録され、幻盤状態は一旦解消されます。半年後には単独のリマスター盤として再発盤もリリースされますが今回かけたのはオリジナル盤の方です。

この盤ですが、テレビで100万円のレコードとして紹介されたこともある現物なんです。テレ東さんの「春風亭昇太のレトロを探そう」という番組で、昇太さんとマキタスポーツさんが3輪のミゼットに乗ってウチのお店に尋ねてきたという設定だったんですけど、そこで、「一番高いレコードってどれ?」ときかれて「ロングブランチ/ペニーホイッスルは100万円出されても売らない」と言ったところ、100万円のレコードとなってしまったんですけどね。その当時のeBayなどの相場では30万円ちょいでしたが、今現在はリマスター盤が出たので、もっともっと下がっているとは思います。「カイト・ウーマン」は後々、J.D.サウザーのソロ・アルバムに再度収録される曲です。この盤、ライ・クーダーもバックアップで参加しております。

3曲目
「Take It Easy」Eagles (1972)

今回は門外不出扱いだったレア盤をいくつか持ち込みました。とはいえ、ラジオで聴く分にはどこが違うかわからないものばかりですけど、リアルタイムのオリジナル盤とかですね。今でこそ超絶有名になってしまった歴史的なバンド、イーグルスですが、1972年5月1日にデビュー・シングルがリリースされます。ジャクソン・ブラウンとグレン・フライの共作になりますが「テイク・イット・イージー」です。デビュー・アルバムの冒頭の1曲ですが、これの米国オリジナル7インチ、白アサイラムの初期盤でして、まあオークション相場ではゼロが4つ並ぶものです。

4曲目
「Witchy Woman」Eagles (1972)

72年8月1日には、セカンド・シングル「魔女のささやき Witchy Woman」がリリースされます。今回持ち込んだのは、まだ小学校6年生でしたが、当時この曲のメロディが非常に気に入りまして、なけなしのこづかいを叩いて買った国内盤7インチです。こちらはドン・ヘンリーとバーニー・レドンの共作です。

5曲目
「Peaceful Easy Feeling」Eagles (1972)

6曲目
「Slow Dancing」Funky Kings (1976)

今回は3作目まで一万円越えといったコレクターズ・アイテムとなっているようなシングルを持ち込んでおります。三作目「ピースフル・イージー・フィーリング」は72年12月1日リリースです。この発売日を見ても、まだ会社側の統制下におかれていたように感じます。これはメンバーとの共作とかではなく、ジャック・テンプチンが書いた曲です。ジャック・テンプチンはグレン・フライの仲良しで、他にも何曲かイーグルスがやっている曲を書いております。80年代のグレン・フライのヒット曲のほとんどをグレン・フライと共作している、ソングライターとしての認知度が高い人です。アナログ期のバンド・メンバーとしては、ジュールズ・シアーとかとやっていたファンキー・キングスくらいしかありませんが、カーラ・ボノフやドリー・パートン、エミル―・ハリス、ジャクソン・ブラウン、ケニー・ロギンスといった連中のツアー・メンバーだったりします。シカゴのメンバーだった時期もあります。非常に裏方志向の強い人で、70年代80年代のアナログ期に、ソロは1枚しか出しておりません。

7曲目
「You Belong To The City」Glenn Frey (1985)

8曲目
「True Love」Glenn Frey (1988)

少し時期的に飛ばして、80年代のグレン・フライとジャック・テンプチンの共作曲を聴きました。ここまでくるとカントリーロックなのか?という疑問もありますが、暑い夜なんかに聴くのに結構合うのではと思います。「まだかけてなかったか」と意外だった曲ですが、1986年「マイアミ・ヴァイス」のサントラからの大ヒット「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」、それからもう一曲、1988年のヒット曲で大好きだったのが「トゥルー・ラヴ」という曲です。

9曲目
「One More Song」Randy Meisner (1982)
10曲目
「White Shoes」Randy Meisner (1982)

イーグルス関連の特集はもっと早くやりたかった気もするのですが、一方でまだあまり聴きたくないかもという自分もおりまして、少し躊躇しておりました。というのも、本日冒頭でご紹介した「ロングブランチ/ペニーホイッスル」のアルバムがテレ東さんで紹介されたとき、その番組を観たという方が放送から2~3日後にたずねていらっしゃいまして、これがもう完璧なアル中さんでしてね。ご本人曰く「イーグルスで人生を踏み誤まった、身を持ち崩した」ということをおっしゃってました。ウチに来るまでも大変だったんです。駅から真っ直ぐ清澄通り沿いに5分ほど歩いてくればたどり着けるはずが、1時間以上かかるくらいに、もう無茶苦茶になってましてね。

店に着いても、まず一杯引っかけてようやく落ち着きまして、「ロングブランチ/ペニーホイッスル」も含め、何曲かリクエストされ、ホンの1時間ほどの滞在でしたが、満足して帰られましたが、涙を浮かべながら聴いている間は天国をさまよっている様子でした。正直私はゾッとしまして、「たかが音楽とはいえ、ここまで好きになれるものなんだ」ということと、自分もこの辺の音楽には少しそういうものを感じるんです。人生を見つめ直してしまう自分、後ろ向きになることが押さえられなくなるようなところと言いましょうか、年取って初めて分かる哀愁みたいなものが、透けて見えてしまうような、何ともせつない気分になるんです。ここでは、その方がリクエストされ、私が「やっぱりそこにきたか」と思った曲をご紹介しました。2曲ともジャック・テンプチンが書いた曲になります。「ホワイト・シューズ」はエミル―・ハリスもカヴァーして、ヒットしたものです。「ワン・モア・ソング」は2017年にジャック・テンプチン本人によるセルフ・カヴァー・ヴァージョンがリリースされまして、そのヴィデオが歌詞の世界をまんま映像化したようなものになっておりまして、ぜひYouTubeでチェックしてみてください。くれぐれも、ハマり過ぎないように、とだけ申し上げておきます。

11曲目
「I Need You Bad」Randy Meisner (1983)

ランディ・マイズナーは1983年に日本サイドの企画で「ダラス」というライヴ盤をリリースします。ジャケット・デザインなどもすべて日本人が手掛けている盤ですが、これがまたいいテイストの盤なんです。ここからも1曲ご紹介しました。

12曲目
「Best Of My Love」Eagles (1974)

ロングブランチ/ペニーホイッスルの相方、J.D.サウザーもイーグルスに提供している曲があります。サード・アルバム「オン・ザ・ボーダー」からのサード・シングル「ベスト・オブ・マイ・ラヴ」ですが、1974年11月5日にリリースされ、意外にもイーグルス初のナンバー・ワン・ヒットになります。これがドン・ヘンリー、グレン・フライとJ.D.サウザー3人の共作曲ということになっております。イーグルスは、この後「呪われた夜」「ニュー・キッド・イン・タウン」「ホテル・カリフォルニア」それから「ハートエイク・トゥナイト」がナンバー・ワンになってますから5曲もあるんですね。

13曲目
「You’re Only Lonely」J.D. Souther (1979)

ラストは、J.D.サウザーと言えばコレと言う曲をご紹介しました。名曲です。

次回もカントリー・ロック特集です。お楽しみに。
番組へのご意見やお便りをください。
voice@fm840.jp

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