しょうがのむしの、かぼす
通常、発酵ジンジャーエールの伝統的なレシピには、レモンが使用されます。
きっと、クエン酸の純粋な酸味と、香り成分のリモネンが生姜の味わいと香りを高めてくれるからでしょう。
しかし、弊社のレシピはレモンではなく、カボスを使っています。
カボスと言えば、大分県が有名ですが、私たちは埼玉県の北西部に位置する秩父市のものを使用しています。
秩父では、2008年以降、割と最近ではありますが、日当たりの良い山の斜面を利用して、カボスを植えています。
始まりのきっかけは、秩父に赴任した警察署長だそう。
彼は大分の出身で、秩父の警察署長に就任してからそこに住み始めると、気候が大分に似ている、と感じ始めたそうです。それがきっかけで地元の農家さんにカボスの栽培を勧めたところ、地元農家も標高300~400mの霜や雪の影響が出にくい山の斜面、以前は養蚕のために桑の木がたくさん植えられていた農地に目を付け、ここで栽培を開始したそうです。
かなり斜めになっているところにカボスの木が植えられていて、気を抜くと転んでしまうような場所ですが、植えたカボスは無農薬でも順調に実を付け、しっかりとした酸味も纏い、美味しいカボスが栽培できることが分かりました。しかも嬉しいことに他の柑橘類と比べてトゲも少なく、管理もしやすい、とのこと。
それからというもの、秩父では少しずつカボスの生産量が伸び、現在では全国ベスト5にまでランクインしています。
ちなみに、カボスの生産量は1位大分県、2位宮崎県、3位福岡県と、やはり九州勢が総ナメでは有りますが、埼玉県はなんとその次の4位にランクインしています。
11月、秩父を訪れ、その場でカボスを収穫、鎌で豪快に割って味見をさせてもらいましたが、その酸っぱいこと!
目が覚めるような、でも丸みのある酸味と、優しい香り…。
上井さんから、取れすぎて廃棄することもある、なんて話を聞いた瞬間、日本で造る発酵ジンジャーエールにはこれを使うべき!と強く思い、気付いたら買い付けの交渉をしていました。
因みに、生食用のカボスは、地元スーパーなどに出荷しているそうですが、サイズの規定が厳しく、均一で表皮にも傷がないものが求められるため、それに適合しない物は全てB級品として、価値がほとんどなくなってしまうそうで、その多くを廃棄処分している農家も多いそうです。なんとももったいない・・・。日本のこういう、自然のものに対しても無駄に厳格な部分は、早く見直してほしいですね。
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