読みきり短編・会話劇
男1,2,3の三人の会話劇。舞台はとある街の家の一室。時は夜、月が高く上り、街も眠りについたころ・・・
男1「経路の確認は終わったか?」
男2「ああ、ばっちりだ」
男3「いよいよ明日か・・・」
男1「だな」
男2「おまえ、例のブツの用意は済んだのか?」
男3「あたりまえだろ。あれ無しで楽しめるかよ」
男2「まあな。明日のために俺たちは今まで綿密に計画を練ってきたんだ」
男3「今更失敗なんてできるかよ。なぁ?」
男1「ああ。明日のために俺たちは今までやってきた。見つかれば命は無い。その覚悟でいる」
男3「相変わらず重いなぁ。たかが限度を超えたってだけだろ」
男2「そもそも”300”までっつうのがおかしいんだよ。あいつらもお堅いぜ」
男3「全くだ。そんなんで楽しめるかってんだ。もっとエッジを超えてこそ、特別感ってのは感じられるもんだ」
男1「とは言いつつも、俺たちがコソコソしなくちゃいけない立場あることに変わりはないがな。おい、もう一度経路の確認だ」
男3「ええ~?明日でいいじゃん」
男1「念には念を、だ」
男3「だけどさぁ」
男2「お前は別に聞かなくてもいいぞ。馬の耳に念仏ともいうしな」
男1「聞かないなら、部屋の隅で粘土でもこねておけ」
男2「昔からある、年季の入ってるやつをな」
男3「ネンネンネンネンうるさいんだよ。分かった、聞けばいいんだろ?念のため、な」
男1「それじゃ、たのむ」
ー物音。
男2「まず、明日の”奴ら”の配置はこうだ。到着後しばらくは変わらない」
男1「変わる場合はあるか?」
男2「ないとは言い切れない。緊急時以外に動き出すこともある」
男3「”奴ら”、悪事にはめっぽううるさいからな。見つかるとまずい」
男1「だな。表に出すのは少量にしよう」
男2「それが安全だな。そして次」
男3「この赤丸はなんだ?」
男2「”カラス”どものアジトさ。予測だが、ここら一帯には絶対にいる」
男3「あいつらか。泥棒の真似事で偉くなっただけだろ?ほっときゃいい」
男1「まったくだ。あいつららしく、ごみ箱の周りで騒いどきゃいいのに」
男2「そうもいかないからな。明日は”奴ら”に加え、”カラス”どもにも気を付けないといけない」
男1「了解した」
男3「おっけ」
―物音。
男2「静かに。今何か・・・」
―物音。
男1「まずい、お前らすぐ戻れ!」
男3「机の上のやつをかばんに!」
男2「いいから急げ!」
―物音。
―物音。
女「・・・寝てるみたいね。まったく、部屋もこんなに散らかして。明日遠足だっていうのに、一体何してるんだか。帰ってきたら片づけさせないと」
―物音。
―物音。
男1「聞いたか?」
男2「面倒なことになった」
男3「まったくだ」