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「経済雑感」no.8

  政策経費をどれだけ税収でファイナンスしているかを示す指標が基礎的財政収支(P.B.)である。この均衡化が、財政の健全さを示す。安倍政権以前から、政府は常に基礎的財政収支の黒字化目標を明らかにしてきたが、2020年以降、財政再建が棚上げする中で、この問題も当然のことながら曖昧模糊としてきた。最近でも、金融緩和政策の転換が相次いで打ち出されている中、基礎的財政収支の黒字化目標はどうなったのかと危惧を表明される方々も多かったと思う。ところが、突然、政府は基礎的財政収支が2025年にも黒字化する予想を公表した。名目自然増収が主たる要因であった。その原因について詳しい説明はない。1991年以来の黒字化であるということも、歴史的には非常に興味深い一致がある。消費税元年は平成元年と覚えやすい。
 ニュース解説でも、名目自然増収の主たる原因がインフレであり、主要財源に成長している消費税のインフレによる増収の寄与が大きいと説明されている。では、物価で測った実質自然増収や実質PBについてはどうなのか。また、この自然増収やPB黒字化の達成が、マクロ経済の成長に抑制的に働くのか促進的に作用するのかという議論こそが本質であり、その分析ためには、かつて精力的に議論されたフィスカル・ドラグ効果にまで遡って議論する必要がある。

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