白鳥修平

社会科学(広領域の、経済学、社会学、政治学)の独立研究者。書評者、読書家。経済学博士。趣味は「夕日眺めながら山頂読書」「行き先・ルートを決めないウオーキング・旅行」、登山、書道、数学難問解法探求、clubhouse聴き専。座右の銘「人生の本舞台は常に将来に在り」(尾崎行雄)

白鳥修平

社会科学(広領域の、経済学、社会学、政治学)の独立研究者。書評者、読書家。経済学博士。趣味は「夕日眺めながら山頂読書」「行き先・ルートを決めないウオーキング・旅行」、登山、書道、数学難問解法探求、clubhouse聴き専。座右の銘「人生の本舞台は常に将来に在り」(尾崎行雄)

最近の記事

「ちょいと良い話」no.30

 ・ 最近、いたく感心した話がある。清涼飲料水を買い慌ててエスカレーターを駆け上がり、扉が閉まる寸前に電車に飛び乗った。発車直前の乗車はお辞めください、とアナウンスが流れた。褒められたはなしではない。すぐに、1000円札を入れたので釣銭850円ほどを取り忘れたのにきづいた。登山にゆくために友人と待ち合わせていたのに、このざまである。後悔しきり。  その事はすっかり忘れて、下山後、友人となじみの餃子屋で一杯やって、同じ電車で帰宅の途についた。交通系電子マネーで乗車したが、残金が

    • 「金融財政政策雑感」no.35

       金融財政政策の有効性を分析する比較的新しいマクロ経済モデルに、利子率決定の分析ツールであるティラー・ルールを接合したモデルがある。筆者も各種の連載論考で、幾度か取り上げた。テイラー・ルールで市場利子率が決定されるとするアイデアと政策テイラー・ルールでは政策利子率が決定され、市場利子率は、その影響に誘導されるが、あくまで(金融)市場で決定されるとするアイデアが並立している。後者のモデルも定常均衡では利子率はテイラー・ルールそのもので決定されるので、この二つのアイデアの相異は重

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      • 「金融財政政策雑感」no.34

         2013年初頭、財政政策を主管する財務省を主要政府機関とする日本政府(当時、第二次安倍政権)と、貨幣供給を主管する中央銀行としての日本銀行は、デフレ経済を脱却するために、目標インフレ率を2%に設定しこの実現のために共同して行動することを宣言した。これは、インフレ目標についての政府・中央銀行のアコードに他ならない。向後、金融財政政策を中心とする第一次アベノミクスが策定され、政府の経済政策としてスタートを切ったのは周知の事実である。その後、今日まで、このアコードが放棄されずに持

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        • 「金融財政政策雑感」no.33

           2024年9月20日、日本銀行金融政策決定会合後の総裁記者会見で、実質金利がマイナスの領域にあることが今後の政策金利引き上げの理由になるという示唆がなされたように思う。金融市場の不安定な動きから、金利引き上げに慎重なスタンスが求められている中での新たな示唆であったように判断される。実物市場や、金融市場に実質金利がどのような影響を持つのかという核心的な説明がなされなければならないことは明らかである。実質金利の動向が金融財政政策についてどのような影響をもつのかを今後、理論的に分

          「現金・預金と証券の経済的関係を考える」no.14

             貨幣は現金と預金で構成される。民間非銀行部門の資金需要は民間銀行部門貸出を需要することと証券市場に代替的な証券を供給することを通じてなされる。証券は、(中央銀行を含む)銀行部門と民間非銀行部門によって需要される。銀行部門の金融仲介(資金仲介)機能を単純なマクロ経済モデルに組み込む。中央銀行はベース・マネーを証券市場で証券を需要することを通じて供給する。現金のみのモデルに対して、ベース・マネーの供給が貨幣乗数倍の総貨幣供給量として創造される、それを民間非銀行部門が需要する

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          「現金・預金と証券の経済的関係を考える」no.14

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          「経済雑感」no.10

           2024年9月14日、自民党総裁選の公開討論会のTV中継を拝聴した。9名の候補者が所信を表明し、各位他の候補1名と質疑応答し、その後、メディア側と質疑応答に入った。まず最初に、各候補に対する代表質問を、メディア側を代表して、読売新聞東京本社特別編集委員橋本五郎氏が行った。その後、メディア側出席者と各候補の整然とした質疑応答がなされた。気品が漂っていた。  差しさわりのない範囲内で、筆者の感想を述べたい。とりわけ、経済問題に的を絞って。各候補、この間、推薦者とも調整を行う中、

          「経済雑感」no.10

          「為替相場の不安定性理論」no3-2

           マクロ財政支出政策に関して、名目政府支出を政策変数とするモデルも考えられる。つまり、政府は支出政策を実施する過程で貨幣錯覚に陥る。これは、過去から、インフレ率の高低が実質財政支出乗数に影響を及ぼす問題としてよく知られている。この問題が、マクロ経済的枠組みの中で、為替相場の不安定性問題にどのような影響をもたらすのかを検討する。その際、金融政策変数は実質貨幣供給とし、通常と異なる逆アシンメトリーを仮定する。このようなモデルは詳しく検討されてはいない。  筆者は閉鎖経済モデルでこ

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          「為替相場の不安定性理論」no3-2

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          「為替相場の不安定性理論」no.3-1

            古典的な加速的インフレ―ションモデルを幾つか取り上げて、開放マクロ経済モデルに拡張して、為替相場の不安定性を分析することにしょう。周知のようにこのモデルの最終均衡は、閉鎖経済モデルであっても、一般的には安定とはならない。閉鎖経済モデルの安定条件の経済的意味はよく知られている。この安定条件が導出されることは、決定的に次の仮定に依存している。政府の財政支出政策は、実質政府支出を政策変数としているが、中央銀行は名目貨幣供給を政策変数としている。政府は政策を実質する過程で貨幣錯覚

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          「為替相場の不安定性理論」no.3-1

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          「為替相場の不安定性理論」no.2

             為替相場には、名目為替相場と実質為替相場がある。   名目為替相場が部分モデルであれば、それを決定する実質所得や利子率は外生変数である場合が大方である。それらを決定して一般均衡モデルで為替相場の不安定性を分析するためには、上記2つのカテゴリーで分析する必要がある。  まず、最初に実質表示の古典的なIS/LMモデルに接合する。その実質表示のモデルで決定されるのは、実質所得と実質利子率である。それらにトータルな影響を及ぼすのは、実質為替相場である。名目為替相場は実質為替相場

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          「為替相場の不安定性理論」no.2

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          「為替相場の不安定性理論」no.1

             筆者の新しいテーマによる論考の連載である。  (直物)名目為替相場は、第二次安倍政権が誕生した2013年以降、ラフに言えば、趨勢的な円安トレンドの軌道の近傍で不安定な変動を繰り返して現在に至る。現在は、巣性的な円高トレンドが新たな為替相場の軌道として現れているのか定かではない。趨勢的な円安トレンドを決定している要因は何であって、短期的な変動を決定している要因は何であるのかが、為替相場決定の核心的な問題である。前者が重要であって後者が重要でないということは決してありえない

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          「為替相場の不安定性理論」no.1

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          「経済雑感」no.9

           2024年7月末の金融政策決定会合後とその後の日本銀行の政策金利の引き上げのフォワードガイダンスについては、筆者は基本的に正しい路線を歩んでいると考えている。国債購入の減額と政策金利引き上げのセットは政策的整合性からして当然である。しかしながら、金融市場の受け止め方は、サプライズであったと言われる。市場との対話が欠けていたとの指摘があるが、そうではない。投機筋は売りのタイミングを見計らっていた。日経平均株価はこの間市場最高値を更新して、株価は、全体として未踏の高値水準にあっ

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          「経済雑感」no.9

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          「現金・預金と証券の経済的関係を考える」no.15

             複雑なマクロ経済の多様な現象のモデル分析を展開するためには、分析目的に応じて単純化せざるをえないことは自明である。今日の経済情勢をみるにつけ、複雑なモデルにも、部分的であるが共通要素となる整合的な最小モデルが存在するはずであり、新しい現象の推移の予測ではなく、クリアカットな分析の理論的要諦を提示するためには、その必要性が増大しているように見える。この論考では、その最小モデルが現状のテキストブックIS/LM・モデルではなく、本質的な要素で修正が必要であることを明確にして、

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          「現金・預金と証券の経済的関係を考える」no.15

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          「日本の経済成長率」no.18

            2022第1四半期以降、円ドル名目為替相場は上昇を開始した。その後、2024年に入っても、円安モメンタムは強く円ドル為替相場はさらなる円安の方向にアンダーシューティングし次第に水準を切り上げていく動きが、今日まで続いた。実質為替相場も内外インフレ率格差が拡大、金融政策スタンスの相違を生み出し、内外金利格差が拡大し、自国通貨安の方向に進んできて、歴史的な自国通貨安の水準を塗り替えたりした。  今次円安トレンドは、名目為替相場の円安がリードしているので、欧米のインフレ率が沈静

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          「日本の経済成長率」no.18

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          「経済雑感」no.8

            政策経費をどれだけ税収でファイナンスしているかを示す指標が基礎的財政収支(P.B.)である。この均衡化が、財政の健全さを示す。安倍政権以前から、政府は常に基礎的財政収支の黒字化目標を明らかにしてきたが、2020年以降、財政再建が棚上げする中で、この問題も当然のことながら曖昧模糊としてきた。最近でも、金融緩和政策の転換が相次いで打ち出されている中、基礎的財政収支の黒字化目標はどうなったのかと危惧を表明される方々も多かったと思う。ところが、突然、政府は基礎的財政収支が2025

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          「経済雑感」no.8

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          「時空を旅する」no.12

            白鳥が川面に迎え 川流し小舟が留まる白壁の街             詠み人 白鳥修平   鎮魂の街は悲しき ぬけがらが彷徨い歩く白壁の道              詠み人 白鳥修平  つながりがひとつひとつと消えてゆく 白壁道は 鎮魂通り              詠み人 白鳥修平                  2024年4月下旬、随分遅くまで残った桜も散りすっかり春らしくなった。つかの間の春が過ぎ去ろうとしていた。ひさかたぶりに岡山県倉敷を訪ねた。筆者にとっ

          「時空を旅する」no.12

          「経済雑感」no.6.

            Pass the torch !    バイデン大統領が次期大統領選挙の民主党候補を辞退された。客観的な情勢がもたらす帰結であり、枝葉末節な政治的談義や交渉の結果ではない。それらは、この際、どうでもよいではないか。バイデン大統領に拍手を送りたい。世界は、リーディングカントリーの新しい指導者を求めていると思う。「もしトラ」から「確トラ」と言われてきた米国の政治情勢であったが、劇的なターニングポイントを迎えたようだ。いずれにしても、米国民主主義にふさわしい激戦になることは、

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          「経済雑感」no.6.

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