江戸料理 「初鰹刺身に辛子酢味噌」「ふわふわ豆腐」「井出の里」 で 一汁五菜
目には青葉 山時鳥 初松魚
江戸時代の俳人、山口素堂(1642年~1716年)が詠んだ句ですが、三百年近く経った今でも、つい口について出て来る句です。
句に詠まれた初松魚とは上り鰹のことで、四月から五月に伊豆や房総沖で獲れる鰹のこと。
江戸時代、初物を食べると七十五日長生きできるという言い伝えがあり、人々は特に初鰹を珍重し、文化・文政(1804~30年)のころの江戸の初鰹志向は熱狂的で、どんなに高値でも買ったそうです。
そんな初鰹の季節に、初鰹の刺身を江戸スタイルで食し、江戸時代の粋なレシピから二品作り、お昼ごはんの献立としました。
初鰹刺身に辛子酢味噌
初鰹刺身の薬味は辛子がつきものとされ、若い初鰹には辛子酢味噌など、脂が乗ってきたころの鰹は醤油に大根おろしがよいとされていて、いかに鰹を美味しく食すかが追い求められています。
凄い!と感服。
(鰹刺身 傳演味玄集より)
ほんとうは私は鰹の刺身が苦手で、タタキなら好きなのですが、辛子酢味噌で食べると、あら、いくらでもイケます!ほんとうにおいしい。
江戸の人々の飽くなき美食への探究に脱帽です。
ふわふわ豆腐
ふはふは豆腐と豆腐百珍に記されているのがふわふわ豆腐。
面白いのが、当時は高価だった卵を使った人気料理 玉子ふわふわを倹約のため豆腐を加えて作ったレシピだという点。
お豆腐が卵と同量入ることで、ヘルシーアレンジともいえるレシピです。
オリジナルでは、煮立てたすまし汁に卵と豆腐のすり合わせを流し入れて蓋をして少し煮る作り方を、電子レンジ加熱で簡単豆腐真丈風のふわふわ豆腐にしました。
2024年のふわふわ豆腐は、文明の力、ハンドブレンダーを使って時短調理。
まず卵をミルクセーキぐらいに泡立て、絹豆腐と塩麹を加えてさらに混ぜ合わせます。
お茶碗にラップを敷き、静かに注ぎ入れます。
電子レンジ300Wでまず2分加熱、あとは20秒ずつ様子を見ながら二回加熱。
(W数切り替えキーがない場合は、解凍モードで)
あら、簡単!すまし汁に浮かべるふわふわ豆腐が出来ました。
割り胡椒(粒黒胡椒を包丁で刻む)をお忘れなく!
井出の里
井出は現在の京都府綴喜郡井手町にあたり、山吹の名所として知られていたので、和菓子にも井出と名付けられた山吹色のお菓子があります。
今回作る井出の里は、なんと蒟蒻料理!
私もミモザの花咲くころに固ゆで卵をおろし金でおろし、ミモザに見立てた料理を作りますが、山吹は思いつかなかったなあ。
故郷の実家の北側の生垣は山吹で、山吹色に彩られた春の光景を思いがけなく蘇らせてくれました。
紫陽花が少しずつ丸く大輪になり、もうじき梅雨入り。
江戸の人々の美意識や食を愉しむあくなき追求と知恵。
今回も新鮮な感動がありました。
江戸料理を知る 作る
いやあ、奥が深い、、、、