ツンドク?読んどく ⑦
立春を迎えたら一気に春めくかな? 2021/02/02
寒くなったかと思うと日中は空気が少し湿度を含んだ春の芽吹きのように暖かかったり。
春を告げる紅梅に目を奪われた。
読書と料理で息抜き暮らし、続行中。
年末年始の図書館休館前にまとめてばばっと料理本を借りた。
エルグルメが一番読み応えあり。
他はぱらぱらページをめくって終了。
エルグルメって、その特集を延々と繰り広げるのよね。
途中でもうお腹いっぱいになるくらいだけれど、結局最後まで読んでしまう。フーディーズ(ミシュランの星付きレストランをはじめ、世界各国の一流レストランに訪れ、高級料理を食べ歩く美食家たち)の雑誌としての使命に燃えている?ここまでやるか?なんだけど確かに面白いのよ。
結局隅々まで読んでるんだわ。
エルグルメ読みまくった年末年始だったなぁ。
小説・ノンフィクションの類は読む時間がないだろうとほとんど借りず。
『奇跡のピアニスト 人生哲学 やがて鐘はなる 』フジコ・ヘミング
あれは1999年だったのね。娘たちとぐいぐい引き込まれながらみたNHK「フジコ~あるピアニストの軌跡~」
彼女の弾くラ・カンパネラに感銘、彼女は一躍時の人となる。
著作も少しは読んで波乱に満ちた人生についても知ってはいる。
2020年12月発行の最新著作は、今現在のフジコ・ヘミングさんだから語れる人生哲学、音楽哲学が詰まっている。
このお年になられたからこそ語られるコイバナもあり。
特に印象に残ったのは、彼女の「家」に対する思い入れ。
日本に帰国されたのも、実母の暮らしていた下北沢の家が人手に渡るのが嫌だったからという理由からであり、京都の古い町屋も購入、パリでは1889年に建造されたアパルトマンに暮らしているというのもすべて古いものを大事に思うからこその、家と家に息づく気配への思い入れからだろう。
パリではショパンが何度も演奏したサロンでリサイタルを開き、ショパンがこのサロンで感じたことを想像しながら演奏、ブダペストではリストがいつも祈っていたと伝えられる教会の席で、彼女にとって大切な曲であるラ・カンパネラを作曲したリストの精神性に少しでも近づけるようにと祈るという。
作曲家が曲を書き、演奏し、聴衆が感動したその時代の空気感を想像し、大切にしていらっしゃるその音楽性に、強く惹かれた。
借りた本は読んだしで、うちの書棚を探していたら、面白そうな本発見!これ、知らなかった・・・夫購入本、それも数年前。
『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常 』 二宮 敦人(著)
これが面白いのなんの。
二宮敦人さんと当時藝大生だった彼の妻を軸に、長期にわたって多くの藝大生へのインタビューをまとめたルポルタージュ本。
しつこく言うけれど、これがほんとに面白い。
インタビューと彼の質問への答えとその答えに対する著者のリアクションと感想が一々頷ける。
読み終えて、起承転結がきっちりある、優れた哲学書であり、小説でもあることに驚いた。
人はここまでフリークになれる!フリークこそが到達できる世界観。
凡人の私にとって、それはミラクルワールドだった。
夫がTV録画していた映画「パラサイト」を観た。
これ、すごい。
ちょうど黒田さんの『反日 vs. 反韓』で取り上げてあったので、観た後にまた読んだ。
確かにこれは「貧困と格差」を描いた映画というのではないね。
半地下の家族の貧困は「ぜいたくな貧困」「気楽な貧困家族」というのが黒田氏の分析。
内外であふれた「韓国社会の貧困と格差を描いた」という評論の「大いなる誤解」の指摘というだけあって、説得力ありで、すべてにおいてではないけれど私も同感。
自尊心、相対的剝奪感=嫉妬・ねたみ、恨の物語であるという分析は見事。
見事な評に頷いたのだった。
「貧困と格差」で頭に浮かぶ映画は韓国映画の名作・李長鎬監督「馬鹿宣言」だ。
映画のラストシーンで流れた、これほどまでに哀切に満ちたパンソリを私は知らない。1983年制作。
時代なのだろう。
ともあれ是非観るべき映画です。
カンヌ、アカデミー受賞作品の分析研究をしたというボン・ジュノ봉준호 奉俊昊氏の勝利。
とまぁ、安上がりに感動いろいろもらっている年初めだったのです。
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