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イカットとルンダン・サピ

イカットを初めて見たのは1977年、奈良町にあった菊岡工芸でだ。
土着信仰の模様と草木染のアースカラーの色合い、しっくり手に馴染む手織りの風合いに、一目で魅せられた。
でも、なにせ当時の私にとっては高価な一枚だったから、店を訪れては魅入り、一年経って、やっと買うことができた。


1978年にやっと買うことができたスンバ島イカット
草木染手織り 
織られてたぶん70年ぐらい?


それから何枚か買い、十枚はあったかしら?そのうちの数枚は友だちにあげたりして、今手元にあるのは六枚。


テーブルランナーとして使っています
最近はほとんど使っていなかったけど…
やはり料理を選ぶから
エスニック料理のとき限定ですね


すっかりうちでの存在感が薄れてしまっていたイカット(玄関には飾ってはありますが)を、そうだった!テーブルランナーに使っていたじゃない!と思い出し、夏、東京都庭園美術館の帰りに寄ったインドネシア料理店で食べたルンダン・サピを作ろうと決めていたこともあり、インドネシア色強いランチを楽しむことにした。


ルンダン・サピ rendang sapi

友だちが育てているターメリックの葉
「早く使わないとそろそろ枯れてきているよ~」とメールがあり、急いでもらいに行き、慌てて作った。
ターメリックの葉を刻んで他のスパイスやハーブなどと煮込むので、ターメリックの葉は売っていないから、ありがたかった!

ルンダン・サピ
お皿に敷いているのがターメリックの葉
長さはお皿に合わせて短く切っています


二日かけてルンダン・サピを作る。
さて献立をどうしよう?と一週間あ~だこ~だと書棚のエスニック料理本を読みながら決めたメニューを用意して、ランチです。

今回は愛読書のアジア食文化紀行シリーズ
インドネシア料理バリ料理マレーシア料理を見ながら参考にしました
ネットでのレシピ検索はせずともこれでOK


本日の主役でもあるイカットを使います



ナシnasiチャンプルcampur
インドネシア語でナシはライスのこと
チャンプルは混ぜる、ごちゃ混ぜにするといった意味
(沖縄のチャンプル、長崎のチャンポンも同様の意味があり、中国、ポルトガルにまで言葉のルーツを辿るのも面白い)


ライスと好きなおかずの盛り合わせがナシnasiチャンプルcampur


食べた後で気づく
ありゃまっ!えびせんの代わりにと買ってきた蛸煎餅をトッピングするの忘れた…



ルンダン・サピでナシ・チャンプル献立

おおまさり(千葉県の生落花生)とポテトの南インド風スパイス炒め
グライ・トゥルール~卵のパダン風ココナッツミルク煮
サンバル・ウダン~車海老のサンバル
スプラウト二種~ブロッコリースプラウトとアルファルファ
ルンダン・サピ~牛肉のココナッツミルク煮
胡瓜
パプリカとアーリーレッドのピクルス
ジャスミンライス


グライ・トゥルール
ゆで卵、ココナッツミルク、玉ねぎ、にんにく、生姜
カー、ターメリックの葉&粉、梅肉と梅酒(タマリンドの代用)
塩、自家製唐辛子ペースト
おおまさりとポテトの南インド風スパイス炒め
じゃが芋、おおまさり、アーリーレッド、にんにく
ココナッツオイル、ブラウンマスタード粒、カレーリーフ、ターメリック、塩


サンバル・ウダン
半額get 車海老を冷凍していたのを使用
わっ車海老ってやっぱうまぁ~!
唐辛子とココナッツミルク入りの炒め物
ビネガーが入るので少し酸味があります


和食、韓国料理、タイ料理、何品か作ると必ず使う材料~調味料やスパイスなど~が重なるのです
インドネシア料理も同じでココナッツミルク、唐辛子、スパイス&ハーブがどれも重なってしまう
うちごはんだからこそ、南インド風を加えたり、ピクルスはインドネシア風じゃなくシンプルにしたりして、自分好みの献立にしました


ルンダン・サピもインドネシアの作り方にマレーシアのレシピのスパイスなども加え、シンプルにスパイス&ハーブ、ココナッツミルクで牛肉を煮込む作り方ではなく、私のビーフカレーの下煮の作り方でまず煮込む。

ルンダン・サピ

材料~牛肉の下煮
国産牛肉
アップルシードルビネガー、梅酒、塩麴
玉ねぎ、にんにく、しょうが、セロリ
黒胡椒、クローブ、八角、カシアシナモン、カルダモン、ターメリック粉
ターメリック葉、レモングラス、カー

*牛肉にスパイスの風味を染み込ませ、竹串がスッと入るぐらいに煮込んでおきます

材料~本煮込み
一晩置いた肉汁と肉
カー、レモングラス、にんにく、生姜、玉ねぎ、ターメリックの葉
自家製唐辛子ペースト、カルダモン粉、クローブ、カシアシナモン、八角
ココナッツオイル、ココナッツミルク、梅酒&梅肉
ローストしたココナッツファイン、アーモンド&カシューナッツ、コブミカンの葉(最後に刻んで混ぜる)

*スパイス&ハーブ類をペーストにしてココナッツオイルで炒め、肉汁と肉、ココナッツミルクを加えて煮込んだら出来上がり


本煮込み
左を煮込むと右になります
ルンダン・サピの出来上がり
食べる直前に煮詰めます
(あまり煮詰めすぎないほうが私は好き)


本来は煮詰めて、最後は滲んだココナッツオイルでさらに炒め煮にする料理だけど、そうするとやはりビーフジャーキーみたいな食感になるので、私は自分好みにそこまで煮詰めないで仕上げています。
そう、これでいいのだ!
熱帯地方で暮らしているわけでもないから、塩分も控えめ。

それにしても、手間はかかったけれどナシ・チャンプル@うち 
やっぱり最高に美味しかったなぁ。

大満足。


イカットには 南インド風料理ミールスもいい!


うずら卵 プラオ炊き込みご飯&ターメリックライス
あとはちょこまかいろいろ


実は南インドカレーは何品かは市販の商品


アチャールやサブジ、ライタ、ケララ楓シチュー、プラオ&ライスは作っています


クロスは1989年にバリ島・Tenganan Village で買った グリンシン経緯絣


1989年12月撮影
Tengananトゥガナン村は ”織人の村” といわれ、
グリンシン経緯絣で有名な村

麻で織られた珍しいイカットはタペストリーとして使ってきたけれど、35年の経過でピンとした手触りは手になじむ柔らかさとなり、
たま〜にテーブルクロスとして使っています


紺色のイカットは和に馴染むのです。


この紺色のイカットは小さいサイズなので
和室で二月堂机にかけてよく使っていました


紺色のイカットは和にもよく合う気がします
二月堂机にかけるとジャストサイズ


千葉県民の誇り
なごみの米屋「ぴーなっつ最中」菊芋茶



縁あって出会ったものたち
遠い国から我が家にやって来て
長い時間を共に過ごしてきたものたち

やはり愛おしいものです。


最後に~
イカットの存在を思い出させてくださったのは山林さんのこの記事です。
ほんとうに私の大好きなインテリアで、こんな風にイカットを楽しんでいらっしゃることに、とても惹かれたのでした。

山林さん
ありがとうございました。


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