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ツンドク?読んどく ㉔

辻仁成「父ちゃんの料理教室」 2022/02/13

ぼくは、あのトマトのパスタを人生の初心と思うようになった。今でもトマトとツナのパスタは辻家の定番料理のひとつである。ちっともゴージャスじゃないし、豪華でもない。日々の味である。息子は泣きながら寝ていたことを今でも覚えているだろうか?その見えない傷を癒してくれたのが、トマトのパスタなのであった。・・・・・・
友人の料理好きから、トマトの中には必要な栄養が詰まっているから、とりあえずトマトを食べさせてね、と言われた。
藁にもすがる日々だったけれど、トマトに救われた。トマトとガーリックのパスタをよく食べるようになった。それで、そこにツナを入れたりいろいろと工夫をこらすようになる。
「美味しい?」と聞いたら、小さく頷き、「うん、美味しい」と返ってきた。
なんでもないやり取りだったけれど、あれは家族再生の最初の一言だったと思う。

本文 あとがきにかえて 

かなりの料理本好き。

11歳ごろから母の購読誌だった「ミセス」の料理ページを愛読、今日に至るまで雑誌はもちろん、海外ハードカバーの料理本を含め、そうとう読んでいるし、持ってもいる。

この本、すごい!という料理本に出会える(自分好みということですけどね)確率はそう高くはない。
だからこの本すごい!という感銘を受けた本に出会ったときの喜びたるや。

本のカバーの文章を読んだだけで、なんかこれはすごい料理本に違いない!という確信が!

”まえがき” を読む。
一言一言、す~っと胸に入り込む。

父ちゃんから SNS でつながるあらゆる方々に向けて語られる『父ちゃんの料理教室』
こんな感じの料理本って読んだことないかも。

イタリアンやフレンチの定番レシピに父ちゃんらしさを一匙工夫、写真も父ちゃん撮影、秀逸なのがレシピに添えられたエッセイであり、表現豊かで的確な作り方の文章。

実際、ブックデザインと編集以外はすべて父ちゃんのワークだから、どこをとっても芥川賞父ちゃん作家・辻仁成の料理本なのだ。

例えばスパイスと塩の関係についての文章にしても、文学的なのですよ。
私は芥川賞受賞作品と『ピアニシモ』を、ずいぶん昔読んだ記憶、あとは『冷静と情熱のあいだ』
ミュージシャンとしての彼については全く知らない。

最近では dancyu 連載エッセイ『キッチンとマルシェのあいだ 』を読んでいるぐらい。

そんなことよりも、この本にじんわりヒーリングされちゃって、よっしゃ、料理を作ってみようとなった。

トマトとツナのパスタ

アンチョビと大蒜、ケイパー、トマト、白ワインにツナ、生クリームすこ~しで作るパスタ

父ちゃん好みのスパゲットーニ、私はヴィチドー・ミニのスパゲットーニで気長に作る。(なにせゆで時間が半端なく長い)

もちろん美味しかった!

ラモンおじさんのスパニッシュ・オムレツ

ムムム・・・スモークパプリカPが・・・ドバ~ッ・・・カケスギタ

なにが魅力かというと、そのシンプルさ。
オムレツだけど目玉焼きで、だけどポテトと目玉焼きをフォークでからませりゃ、それでセルフオムレツになるわけ。

おいしいお塩と私はスモークパプリカパウダーをぱら~り これでスパニッシュ!

本を読んで涙つつつ~、レシピがやたら美味しそうでゴクリ。

JINSEI STORIES の大ファンになってしまった。

辻 仁成 | Design Stories

https://www.designstoriesinc.com/jinsei/

読書の後の散歩。

えっ?2月なのにラベンダー!

ラベンダーって初夏の花じゃなかったっけ?
寒気がぶり返した立春次項ですが、ラベンダーで春の足音、聴こえてきました。




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