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「佐倉マナーハウス」 「DIC川村記念美術館」 「泉屋博古館分館」

芸術の秋とはよく言ったものです。

猛々しい夏のことなんぞ、はて、どこの国のことだったか?とすっかり四季のある国NIPPONの、特に秋の気配が漂い始めると、行きたかったあの場所をそわそわと訪れたのも芸術の秋だから?

千葉県民ですが、面積全国第28位とはいえやはり広いのが千葉県で、佐倉市に出かける機会はそうそうない。
DIC川村記念美術館が来年一月で休館されることが発表されたこともあり、今こそ行くべし!と思い立ち、ならば英国の雰囲気の邸宅で好きなアンティーク食器や家具を見て、お茶でもしようと佐倉マナーハウスにも立ち寄ることにした。

(*9/30 DIC川村記念美術館は休館を来年3月末まで2カ月延期すると発表、来館者数が5倍に増え、美術館存続を求める署名も5万5000人分集まったことなどから、延期することでより多くの来館者に対応)


佐倉マナーmanorハウスhouse


休館が発表されて以来連日にぎわっているらしいDIC川村記念美術館、午後二時過ぎぐらいに着けばゆっくり鑑賞できるだろうから、その前に佐倉マナーハウスでゆっくりお茶すればいいかとお昼前に出発。
一時間もあれば佐倉マナーハウスに着くはずが、東関東自動車道でのトラック火災事故による車線規制のために大渋滞。
実に分かりにくいその場所にどうにか着いたのが午後一時半。

静かな住宅地の小高い丘をゆっくり登っていくと、マナーManorハウスらしい落ち着いたレンガ造りの英国の館が大きな樹々に囲まれて見えてくる。

イギリスから運ばれた資材で造られた邸宅は
タスマンインターナショナルのショールーム兼ショップ
英国の邸宅を訪れたような気分になります


ドアを開けて館の中に入ると
BurleighやDenby、ヨーロッパアンティーク雑貨や家具、ホーロー雑貨がセンスよく並べられています
アンティーク好きにはたまらない空間
特にアンティークカトラリーはもっと時間をかけて眺めていたかったけれど
時間がなくてさっと眺めただけ、残念…
(SNSへの写真掲載は2枚までということで、ティールームなどの写真はなし)

ティールームで私は冷たいカフェオレとトースティ(スモーキーなロースハムとチーズのホットサンド)、夫はクルミのケーキとホットコーヒーを頼み、特に刻んだハムとチェダーチーズブレンド?のホットサンド、トースティーがほんとに美味しくて、またひとつ普段の英国の食を知ることができたなと嬉しくなった。

四十分足らずの英国気分のあと、DIC川村記念美術館へと向かう。

同じ佐倉市内だからと高速を使わないナビの案内に従って向かったものだから一時間近くかかる。やれやれ…


DIC川村記念美術館

JR佐倉駅、京成佐倉駅から少し離れていて、のどかな自然が広がり、確かに交通の便はよろしくはない立地。だからこそこれだけの贅沢な敷地のある美術館。
駐車場に向かう道には美術館休館反対運動のタテカンがちらほら見える。
平日の午後三時過ぎだというのに駐車場にはたくさんの車。
帰る人、これから向かう人の流れがけっこう多くて驚く。

DIC総合研究所に併設する広大な敷地を進むと美術館の建物が現れる。

秋晴れといっていい青空に秋の雲
特徴のあるヨーロッパを思わせる美術館の建物
クラシックなようでモダン


モダニズムの建築家・海老原一郎氏の代表作とも言える建物は
第二代社長であり初代館長でもある川村勝巳氏と海老原一郎氏の深い縁で実現した、海老原氏最晩年の作品であり、夢の美術館なのだそうです


エントランスの右手前
巨大な彫刻作品
フランク・ステラ「リュネヴィル」
(1994年 ステンレススチール、アルミナブロンズ)
2階展示室では戦後アメリカの抽象絵画を代表する作家であり彫刻家であるフランク・ステラの大型作品群の展示を観ることができます



館内はすべて撮影禁止。

エントランスホールにまず目を見張る。
美術館のデザイン・モチーフである「重なる二つの円」が床や天井照明などに施され、ステンドグラスから入る光がやわらかな丸みを添え、祈りの空間にいるような心持ちにしてくれる。
天井の白い天上の花のようなランプシェードは、川島織物セルコンが美術館オープン時に納入した、たくさんの布を縫製したシェード。

「美術館の核となるのはコレクションである」との考えから、美術館が誇る名画コレクションの鑑賞からスタート。

パンフレットを撮影


ピエール・オーギュスト・ルノワール「水浴する女」、マルク・シャガール「ダヴィデ王の夢」、ピカソやブラックなどの作品が展示された101展示室[印象派からエコール・ド・パリへ]ではこんなに接近して観てもいいの?という近さで作品を観ることができる。
中学校や高校の美術教科書やうちの書棚の画集に載っていた作品が多かったからか、ああこれこれ!といったミーハー的作品への入り方で筆致など本物の持つ重量感を感じたのだった。

来館の超目玉はやはり102展示室[レンブラント・ファン・レイン]だろう。

レンブラント・ファン・レイン「広つば帽を被った男」
1635年 油彩、カンヴァス 76.0 × 63.5cm(楕円形)

この作品を鑑賞するための展示室で、人もほとんどいない時間に一人で鑑賞する贅沢。
レンブラントが29歳のときに描いた注文肖像画。
オランダの裕福な市民であるモデルの男性は、決してイケメンだというのでもないのに惹きこまれてしまうのは、光の画家レンブラントの陰影豊かな描写ゆえなのだろう。肌の質感や幾重にも重なるレースの襟など細部にまで吸い込まれて観た。

コレクション展示は20世紀ヨーロッパ美術、20世紀アメリカ美術へと続く。

「作家と鑑賞者の二つの精神の出会い」そして「川村勝巳と海老原一郎の友情」という意味が込められた「重なる二つの円」を意匠した美術館建物全景写真
(この写真を撮りたかったのですが池の畔には入れないので撮れません なので画像は美術館HPよりお借りしました)



西川勝人 静寂の響き


開催中の企画展
国内の美術館における初の回顧展
作家による展示構成


概要

ドイツを拠点に活動する西川勝人(1949–)は、光と闇、その間の漠とした陰影に心を配り、多様な技法を用いた作品を、40年以上にわたり手がけてきました。抽象的なフォルムをもつ彼の白い彫刻は、木や石膏を用いた簡素な構造ながら、表面に淡い陰影を宿し、周囲の光や音さえもそっと吸い込んでしまうように、ただ静かにあります。存在を声高に主張することも、個性を高らかに示すこともしません。写真や絵画など、彫刻以外の制作においても、これは変わることのない最大の魅力です。

本展は、1980年代より現在まで、一定して静けさという特質を保持し続ける西川作品の美学に触れる日本初の回顧展です。彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約70点が、作家自身の構成によって展示されます。静寂が拡がり、静謐さに包まれた空間で、私たちはどのような情景と出会うのでしょう。日常から隔たった美術館という場において、観想に耽る一人ひとりのための展覧会です。

美術館企画展HPより引用


DIC川村記念美術館が誇る、作品を最大に生かせる11の展示室というのも見逃せない。
館内の11の展示室は渡り廊下で結ばれ、目の休憩室というコンセプトによる外光を採り入れる窓もあり、窓の外に目をやれば自然豊かな樹々の日差しによる移り変わりまでも体感できる。

そういった展示室で、作品から静かに各々が受け取り感じるものがあればいい。
そういった企画展なのだろう。

特に二階に上がって最初の「木漏れ日の部屋」と名付けられた200展示室に展示された《フィザリス》というホオズキの形のガラスオブジェが置かれた空間で、据えられた椅子に座り、作品と大きな二つの窓が見せてくれる自然にゆるりと心身をゆだねるのは贅沢なひと時だ。


閉館時間まで少しとなり、敷地の散策をする。

自然散策路をめぐる時間は取れず。
もう少し時間に余裕をもって来るべし!だったと反省。

敷地内にあるレストラン「ベルヴェデーレ」
こじんまりと落ち着けるレストラン
ランチ予約は11時までの場合のみということだったし全く電話も繋がらなかったので入店せず
午後4時ごろのぞいてみたら空席ありでした


敷地内には白鳥もいますが
ガチョウもいるのです


ヨーロッパの庭園のような風景


池から美術館建物を見る


ススキの季節になりました
ベンチがあり、ここでお弁当などを食べることができるのじゃないでしょうか


そろそろ閉館時間
16:48


ホトトギス
今年初めてみたホトトギス


なんという幸運!
日没を見ることができました
16:57


初秋。

芸術の秋堪能の佐倉


川村記念美術館にいらっしゃるときは、同じ佐倉市にある国立歴史民俗博物館も併せての計画もいいと思います。


昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界


招待券をもらったというので娘と訪れた泉屋博古館せんおくはっこかん分館
東京都港区六本木の旧住友家麻布別邸跡地にあります
南北線六本木一丁目駅に直結


展覧会についてまったく下調べもせず、期せずして、板谷梅樹氏の父である板谷波山の作品を、第三章 住友コレクションと板谷家 で重要文化財の「葆光彩磁珍果文花瓶」、茶杓、茶碗を含め十四作品を観ることができ、観たいと思っていた作品に出会えたことが何より嬉しかった。

来春以降、どういった展開になるのかとDIC川村記念美術館の行く末、広大な敷地に立つ建物の行く末。
都心の、住友コレクションを所蔵するコンパクトな美術館である泉屋博古館せんおくはっこかん分館を訪れ、そういったことなどつらつら考えたのだった。

前澤友作氏はどうでるのか…とか…

やはり芸術の秋ですね。



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