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西武池袋本店「食と緑の空中庭園」と東京芸術劇場コンサート

待望のコンサートが数日後に迫った日。
東京芸術劇場がある池袋には、そう行くことはない。といってもコンサートの前に歩き回って疲れ果てたのでは本末転倒、そうだ、池袋には西武池袋本店がある!そう思い調べてみると「食と緑の空中庭園」という惹かれる単語を見つけた。
決めた!デパ地下でかるい夕食になる惣菜を買って「食と緑の空中庭園」で半時間ゆっくりしよう。

印象派を代表する画家クロード・モネが愛したノルマンディーの「ジヴェルニーの庭」、
そしてモネ晩年の大作「睡蓮」にインスピレーションを得て造園された空中庭園

西武池袋本店「食と緑の空中庭園」

都会のど真ん中、総面積1,751坪の庭園の光景は見事だ。季節に応じた世界の料理を提供する「レストラン&バー」があり、様々なジャンルの飲食店が出店する「フードカートエリア」など7つのエリアもある。まずは睡蓮の庭に向かう。

池には小舟が浮かんでいる

「食と緑の空中庭園」は、印象派を代表する画家クロード・モネが愛したノルマンディーの「ジヴェルニーの庭」、そしてモネ晩年の大作「睡蓮」にインスピレーションを得て造園されたもので、庭園のシンボルとして造った“睡蓮の庭”には、睡蓮を浮かべ、四季折々の自然の姿が美しく映し出される。

庭園のシンボル“睡蓮の庭”
睡蓮の開花はまだ
グリーンのグラデーション、紫、白、ブルーの花々が
池の周りに植えこまれている
セイヨウニンジンボクが満開

睡蓮の庭をしばし眺め、デパ地下で買ったお惣菜とエシレのスイーツを食べ(食べ物の持ち込みもOKらしい)、半時間過ごして東京芸術劇場へ移動。

午後6時 東京芸術劇場コンサートホールへ

前回のコンサート は小雨降る肌寒い11月、すでに薄暗かったけれど、6月26日は陽も長く明るくて、気持ちまで明るくなる。

絹谷幸二のフレスコ画「天地人」

欧州楽壇を席巻する“時代の寵児”シャニがロッテルダム・フィルと共に待望の来日!世界から愛される藤田真央との共演!

ラフマニノフ・イヤー2023!生誕150年の記念すべきコンサートの一つ、藤田真央くんの生ラフマニノフPC3を聴きたい!

1,999席満席のホールを眺めて気付いたのが、かなりのシニア~70代と思しき男性、あるいはカップルが多いこと。
きっと若かりし頃、趣味としてオケ活をしたシニア、あるいはカップル、貪るようにクラシック音楽、シンフォニーを聴き続けたシニアたちの青春像が見えた気がした。

藤田真央-世界が絶賛した、話題の24歳のピアニスト

ラハフ・シャニ – 欧州でいま最も注目を集める若きマエストロ


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調op.30

ステージに団員が着席、ラハフ・シャニと藤田真央くん登場、拍手拍手。
すごいオケの存在感!ながらもフレンドリー、指揮棒なしのシャニの両手でオケの2小節が始まり、ピアノ・ソロが歌う。
オケも少し抑え気味の演奏の中、繊細だけどおおらかに真央くんのピアノが響く。
ラフマニノフのロマンティックで哀愁と寂寞のロシア的旋律。
何度もテーマが繰り広げられながら、音群がうねる。ピアノが駆け、オーケストラが挑み、並走し、見守り、第三楽章へ進む。
真央くんとオーケストラの全力の対決とでも言えるようなテンポ、華やかにコーダとなり、それまでの苦悶・寂寥感が歓喜の高まりとなって終わる。
全体を俯瞰的に眺めながらも細部の繊細な演奏の真央くんのピアノとシャニ指揮のオーケストラの力演に鳴りやまぬ拍手。
これだけの演奏を終えたのに、飄々とした雰囲気さえ漂う真央くん。
(楽曲については福間洸太郎さんの動画をぜひ視聴ください)

アンコール
ショパン:練習曲 Op.25-1 「エオリアンハープ」
吹き抜けるそよ風のような演奏に寛ぐ。
続いてピアノ椅子と譜面台が運ばれてきて、会場がざわめく。
これはシャニとの連弾?

シャニと真央くん登場。ピアニストでもあるラハフ・シャニとの豪華連弾ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番 Op.72-2 
ほっこり和やかに情熱的に一部プログラムが終わる。

チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調Op74「悲愴」

欧州で卓越した存在感を放つロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団と2018年から首席指揮者であるラハフ・シャニが奏でる「悲愴」、期待高まる。
コンサートホールが欧州の野外音楽祭のステージのようなリラックス感、音楽が始まると音群がうねり、ホール全体に駆け上り充ちる。エネルギッシュ!地から湧き上がる音群。
3階真ん中の席でもその音群に包まれる。
若きマエストロ・シャニの放つオーラがすごい。スタイリッシュで魅入られる指揮をする動きと容姿、オケとの阿吽の呼吸、期待以上の「悲愴」!

後ろ姿でオーラを感じさせる存在は指揮者以外にあるだろうか?俳優もそうかもしれない。
シャニの後ろ姿がまさにそれだった。
終楽章、死を暗示させ、音が消える。厳粛な静寂、音楽が終わり1分間近く沈黙が続く。静止したままのシャニ、その沈黙を共有する聴衆。
そしてシャニが動く、ブラボーと拍手の嵐。

アンコール エルガー:エニグマ変奏曲より「ニムロッド」

十数年ぶりの海外オケのコンサート。
やはり唸る音楽の重厚さ。聴けて良かった。

次回からはピアノ協奏曲は2階席までのチケットで臨場感あふれる経験をしたいと切に思ったけれど、予算が…中々…ね。

午後9時少し過ぎ
さて帰りますか


あれから YouTube での鑑賞が続いている。名盤の聴き比べも簡単にできるという便利な世の中。

反田恭平さんも、ホロヴィッツも、ラフマニノフの演奏だって聴けるのだから、なんて素敵な世界!
カラヤンとベルリンフィルだって聴ける!



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