
大寒に 寒たまごと寺のじさまの大根味噌汁、ばっけの醤油麹和え
大寒
冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也
二十四節気の二十四番目。
冬の最後の節気が大寒で今年も一月二十日
寒さが最も厳しくなる時期です。
大寒の食べ物といえば、やはり大寒たまごでしょうか。
寒の内(一月五日~二月三日)に産卵したものを寒たまごというそうで、この期間は卵が最も美味しく滋養があると言われています。
寒さのため鶏の産卵数が減り、その分、卵の滋養分がたっぷりになるそうで、大寒の日に産まれた卵を食べると金運アップ、健康に暮らせるそうです。
とはいえ鶏を飼っているわけじゃなし、近所に養鶏農家もない都会暮らし、大寒の日に大寒の日の産卵日シールの貼られた卵は、スーパーにはまず並ばない。
というか、そこまで大寒の日の産卵にこだわることもないわけで、要するに一年で一番寒くなる大寒のころに産まれた卵をありがたくいただければいい、そう解釈。
それに現在多くの鶏はぬくぬくの鶏舎で飼育されているから、栄養凝縮うんぬんではなく、大寒のころに寒たまごを食すというのは、私としてはありがたい卵を産んでくれる鶏サンへの感謝の気持ちを再認識することだと思っています。

生活クラブの鶏卵です
大寒の日には、おいしい卵で卵かけごはん!
あるといいよね、うちのおたまちゃん!

なにも買うことはないと思うのですよ
ぱぱっと簡単に作れるし

大寒近くの産卵日の寒たまごで卵かけごはん献立

だから副菜は地味で滋味な旬の食材で
お味噌汁は寺のじさまの大根味噌汁~扇に千本、賽ノ目
森敦の小説「月山」の中で、冬が訪れるころ、寺のじさまが作る大根味噌汁です。
晩秋が過ぎ、驟雨がみぞれ、氷雨に変わるころ、大根を、扇に千本、賽ノ目に切った大根だけの味噌汁を作るじさま。
「冷えるの。こげだときは、熱っちゃいものがいちばんの御馳走だ。味噌汁には、おらが作った大根なんども、扇にも、千本にも、賽ノ目にも切って、入れてあっさけの。せいぜい食って精をつけるんだちゃ」
厳しさが限界に達するころ、もうじさまはつぼけた大根を工夫し、手をかけた切り方をやめてしまいます。
寺のじさまもそうして割り箸を割ることがまさに祈りであり、その祈りはただいまに耐えるというだけの願いなのに、その祈りによってもなおいますら耐えられぬものがあるのでしょう。
「たとえ、千本にしても、賽ノ目に刻んでも、扇に切っても、大根はおなじ大根だもんだしの」
突然、思いつめていたことが破裂したように、餓鬼道じみたことを言いだすのです。
昭和四十九年第七十回芥川賞受賞作品。
私はそのとき大学四年生で、新聞・テレビで受賞についてのニュースを知り、「月山」という独特の響きを持つ小説のタイトルを深く記憶はしていたけれど、それから長い間未読。
2018年、山形・庄内地方を訪れ、小説の舞台となった寺も訪れ、このタイミングで読むべきだと思い、旅行から帰ってすぐに読み、どうしても寺のじさまの味噌汁を作りたくなり、2019年の冬にレシピも作りました。
それ以来、冬になると何度も作り、切り方によって味わいが違うことの面白さ、ひと手間をかける豊かさをその度に感じています。

今日は十割麹味噌で作りました
ちょっとわかりにくいけれど
扇に千本、賽ノ目に切っています
ばっけの醤油麹和えも作る。

オイルはEXVオリーブオイルを使いました

古伊万里染付微塵唐草なます皿 江戸後期

大寒献立
卵かけごはん~五分搗き米
卵かけごはんのお醤油~うちのおたまちゃん
寺のじさまの大根味噌汁~扇に千本、賽ノ目
煮物~鶏胸肉と豚挽き肉のつみれ、金時人参、白菜、絹厚揚げ
(つみれは玉葱みじん切り、片栗粉、塩、塩麴、七味で作りました)
ちぢみ法蓮草の胡麻和え
ばっけの醬油麴和え
糠漬け~ラディッシュと胡瓜
それではいただきます。

ばっけの醬油麴和えもちょいとのっけて

これくらいでいいかな?

ガーデンシクラメンとゼラニウムの花、ハーブ
健気な花たち!
ほんと、おいしいですよね、卵かけごはんって。
大寒が過ぎれば節分、そして立春です。
受験生へ~春はもうすぐですよ。

