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「マティス 自由なフォルム」 国立新美術館
先月30日に観てきた展覧会の記録。
(展覧会会期は5月27日まで)
写真撮影OK画像で展覧会を振り返り、美術館にもっと気楽に足を運んで、お出かけを楽しみましょうよという noteです。
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予想通り入場者は少なめ
まだ満開の躑躅が国立新美術館の建物に彩りを添えていました
16:00
「お昼ごはんをうちで食べてゆっくり出かけて、閉館時間まで鑑賞するのがいいかな」
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カフェ コキーユ 屋外テラス席で
16:10
一息ついたところで、会場に向かう。
遅い時間の訪問だからか、入場者はかなり少ない。
マティス 自由なフォルム
20世紀最大の巨匠アンリ・マティス(1869-1954)。自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスムの中心人物としてパリで頭角を現します。後半生の大半を過ごすこととなるニースではアトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組みます。
本展はフランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約150点を紹介するものです。なかでも同館が所蔵する切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードⅣ》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される必見の作品です。
本展ではさらに、マティスが最晩年にその建設に取り組んだ、芸術家人生の集大成ともいえるヴァンスのロザリオ礼拝堂にも着目し、建築から室内装飾、祭服に至るまで、マティスの至高の芸術を紹介いたします。
2023年東京都美術館で開催された 20年ぶり 待望の大回顧展 マティス展 とは趣旨も異なり、主に切り紙絵に焦点を当てた展覧会で、昨年東京都美術館では切り絵は小品の展示だったが、今回は大作の展示も多くあるという。
天井も高く広い新美の展示はきっと迫るものがあるだろう。
展覧会は色彩、アトリエ、舞台装置から大型装飾へ、自由なフォルム、ヴァンスのロザリオ礼拝堂の01から05までのセクション構成で、マティスが初めて描いた油彩作品から、フォーヴィズムの作品、アトリエのパネル写真、バレエ衣装とバレエ作品ビデオ上映などマティスの創造の概要が順番に鑑賞者に伝わるように構成されている。
中でも目新しかったのが、アトリエのセクションに展示されたマティスが所蔵していたオブジェのコレクションの幾つかで、特にヴェネチアの肘掛け椅子とその椅子が描かれた《ロカイユ様式の肘掛け椅子》の展示だ。
リアルの物質がマティスの作風で絵画となる過程がイメージできた気がしたのだった。
ただフォーヴィズムの作品に関しては、東京都美術館での展覧会のような圧倒される作品の生命力がこれでもかと押し寄せてくるといったイメージではなかった。
セクション4の途中からセクション5は写真撮影OKとなる。
(会場の様子を写真で振り返ります)
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ニース 1952ー1953年
5枚のカンヴァスが繋げられた巨大な切り絵作品
ロサンゼルスのヴィラのパティオに大型の壁面装飾をつくってほしいという依頼のために構想された案の一つが花と果実
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壁一面に花と果実が設置されている
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ニース、1952年
筆によるデッサン
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ブルーヌード連作の多くは壁面に切り絵を貼り付けて制作されたそうだ
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1952年
グアッシュで彩色、裁断した紙/白色のカンソン社製の紙に貼り付け(カンヴァスで裏打ち)
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ニース、1952年
マティスが1952年に制作した切り紙絵による4点の連作《ブルーヌード》のうちの一つ
切り絵という手法でもモデルの伸びやかなポーズと肉体の筋肉骨格まで伝わってくる
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日本で初めて開催されたマティス展は戦後、芸術を求める人々にとって熱狂的な展覧会となり、全国各地での巡回展となったそうだ
別冊文藝春秋では、4回にわたり表紙と裏表紙にマティスの切り紙絵が掲載され、
それらの躍動感とヴィヴィッドな色使いは今も褪せることなく新鮮
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余談ですが、ニース市マティス美術館所蔵品のほとんどは木枠のフレーム入りで
マティスの切り絵作品をさり気なく支えていると感じられた額装で好きだったのです
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1948年
近づいて目を凝らすと蜂!
四角い切り紙で構成された蜂が秩序正しく、伸び伸びと飛行している!
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生命の木のための習作
1950年
ロザリオ礼拝堂のステンドグラスのマケットの最終案の習作パネル
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生命の木のための習作
1950年
![](https://assets.st-note.com/img/1715058354580-mjcYCHd2j1.jpg)
ニース、1949年 鋳造:ヴァルスアーニ、1965年
ロザリオ礼拝堂の祭壇にはこのキリスト磔刑像がある
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ニース、1949年
筆と墨/クラフト紙に糊付けしたべラム紙(カンヴァスで裏打ち)
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縦4.1m横8.7mの大作が新美の高い天井の展示スペースに映える
作品正面には椅子が設置、心ゆくまで鑑賞できた
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マティスがデザインした司祭服一式などのためのマケットの展示
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祭壇奥右側壁面には陶板画《聖ドミニクス》
左側にはステンドグラス《生命の木》
燭台はとてもシンプルな直線美
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しばらく佇み、24時間を3分間で編集した光の再現を体験する
夜、燭台が輝く暗闇から夜明け、朝の光が差し込み、
それに伴い変化するステンドグラスを通した光のやわらかな色彩
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時間は朝の11時だと、マティスは語ったそうだ
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この礼拝堂は、私にとって一生の仕事の集大成である
(最晩年のマティスが語った言葉)
もうすぐ閉館時間になるというアナウンスで、会場を出た。
色彩の魔術師と称されるマティスの、晩年、最晩年を多くの展示物で辿り、色彩の魔術師である画家はどうして色彩の魔術師と称されるのかが、感覚としてつかめたかもしれないと思った。
”運命の方から私を選んでくれた仕事”をやり遂げた三年後、マティス逝去。
(追記:家庭画報でヴァンス ロザリオ礼拝堂の写真、司教が祭服を纏った写真と記事をみることができます。冬の午前に撮影された写真だそうです)
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1階 カフェ コキーユ
クローズです
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旧兵舎の入口
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港区立檜町公園へ
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かつての萩藩・毛利家の麻布下屋敷の庭園跡で
藩主の中心的な生活の場になっていたそうだ
広大な庭は清水亭と呼ばれ、江戸の町並みを一望できる名園だったそうで
東屋風の無料休憩所で、日が暮れ、池に映る、灯りが点き始めた六本木の高層ビルを
しばらく眺めたのだった
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風流な店構え
気になるけれど通り過ぎる
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居心地のよさげな居酒屋
地下鉄に乗り、一直線にうちに帰り、うちごはん。
風薫る五月も、残すところあとわずかとなったころ、ひと月近く前のことを記事にしたnote.