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この夕焼けの色を憶えている

今日は空がピンク色に染まった。
19時にもなろうかという時間に裏庭が鮮やかなピンクの影に覆われていた。
なんの色だろう?と見上げた空は鮮やかなブルーと不思議なくらいのピンク色。

この色を憶えている、そう思った。
15歳、親友のJを見送ったあの7月の空の色だ。

あの時は怖いとさえ思った空が今日は祝福に思えた。
そうだ、この空は僕がJがいなくなったこの世界で、一人歩き始めた日の色だ。

悲しみの色だと思っていた。
あれからもう40年がすぎたのだ。
手探りで歩き続けた40年だ。
でも一人ではなかった。

 
先日、友人でもある尊敬する女性経営者からこんな言葉をかけてもらった。
「あの時、一緒に全力で走り抜けた経験が今の私の自信に繋がっている」

数年前、僕らは二人である勝負に挑んだ。
出来レース、勝ち目のないレースだった。
でも一等賞をとる!と決めたのだ。

僕らは影武者で勝ったとしても一円にもならない勝負。
僕らはお金ではなく、自分たちの経営者やプロデューサーとしての能力を賭けたのだ。

戦略を練り、連携で発信し、そのレース全体を盛り上げる。
多くの人が自分ごとのように手に汗握り、応援をしてくれた。
そして最終日、見事な逆転で優勝を果たした。
あの一致感、連帯感、高揚・・。

もう皆が忘れているだろう数年前の熱い夏の出来事。
「あの時、二人で全力で走った経験が今の私の自信に繋がっている」

今、輝かしい活躍を続ける彼女からまさかそんな言葉を聞くなんて。
でも僕も同じだ。
あの経験が「できる」という一歩を踏ませてくれる。

彼女から数年越しのご褒美をもらった気持ちがした。
何一つ無駄はなかったのだ。
そんな小さな繰り返しが僕らを支えているのだ。
 
僕は今、新しい挑戦を始めた。
無駄に思えたり、損をしているような気になることもある。
今日の空はそんな僕さえも祝福しているのだ。

答えはすぐそこにはない。
どの道を行くかが、その答えを正解に変えてくれるのだ。

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