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現代高校生が犬を拾ったら犬娘になりました
前話です↓
【6話:これからも】
「わこと付き合ってください」
そう、言い終わった。
なんか、いろんな感情がまぜこぜになっている。
だけど。
なぜかすっきりしている。
これでいいんだ。
良くも悪くもこれで――
「いいよ」
……?
今、「いいよ」って聞こえた……?
「い、いま……いいよって?」
「うん。いったよ」
「な、なんで?」
「なんで? そんなの単純じゃないか」
「僕もチョコのことが大好きだからだよ」
「……え?」
「は……?」
「「もしかして……?」」
「「「「「両想い!!??」」」」」
そんな悲鳴気味た声が聞こえた後、「キャー!」などの黄色い声が聞こえる。
「あるじ……? 本当に……?」
「うん。正真正銘、偽りのない本音だよ」
嬉しさが込み上げてきた。
うれしすぎて、泣きそうなほどに。
すると、温もりとあるじの匂いが来た。
ハグされている。
「えーと、告白は成功ってことでいいのかな? 薫くん」
「うん。盛大にやってくれたね。チョコは」
「どうしても伝えたくて……」
そんな感じでわこの生涯でも大きなイベント、告白を成功させることができた。
結果は大成功。
一生の記念になりそうだ。
「じゃあ、文化祭はこれにて閉幕! みんな、来年も来てね!!」
「「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」」
轟や咆哮が体育館内に響き、大歓声となり拍手が鳴りやまなかった。
「みんなで集合写真撮るよ! チョコちゃんと薫君真ん中でみんな集まって! はい、チーズ!」
みんなが一斉に集合し、固まる。
パシャリ、という乾いた音と共にみんなの写真が一つのデータになる。
その中には笑顔のわことあるじはもちろん、生徒会長や学校のみんな、来校者などみんなも最高にまぶしい笑顔で写っていた。
「この写真が欲しい人はパンフレットに挟まってる「写真申込書」に名前と住所をお願いしまーす! あ、校内の人は後日渡すよ!」
そして文化祭が終わりを告げる。
楽しかった文化祭も、今度はやる側に行けたらいいな。
あるじと一緒に。
【7話:チョコの高校編入】
「ついにこの日がやってきたな……」
「あるじ! わこの制服どう!?」
「うん。めちゃめちゃ可愛い」
あるじと付き合い始めて一週間後、あるじの高校の編入試験を受け、無事合格後、制服の採寸などをし、本日、わこは学校に入学します!
学校、楽しみだなあ。
楽しい学校生活を送れるといいんだけどな。
そんな期待と不安を両手に抱えながら通学路を通る。
県立 立花高校。
偏差値が70程度の進学校。
県の中で一番偏差値が高いとされる名門校。
4年・6年大学への進学率が驚異の99%と高く、進学に関してはかなり手厚い構成となっている。
にしてもあるじって頭よかったんだなあ……。
改めて改心し尊敬する。
でもそれ以前に大好きな彼氏と一緒の学校に行けるのが何よりもうれしかった。
「……えへへ」
「どうした? チョコ」
「あるじ……彼氏と同じ学校に行けると思うとうれしいなと思って」
「なるほどな。僕も同じ気持ちだよ」
そう愛を伝え合う。
多分今は現在進行形でバカップルになっていると思う。
見てて恥ずかしいと思われてないだろうか。
まあ、いいか。
徒歩で5分程度歩き、学校につく。
事務室に行き、必要な書類を提出する。
「はい確認しました。秋田ちょこさん。今日からこの学校の生徒です。編入おめでとうございます」
「はい! ありがとうございます!」
元気よく返事をし、自分のクラスに向かっていく。
クラスは2年B組だ。
三階の階段手前の教室。
教室の前につくと心臓が鼓動を速めた。
「みんな席につけー。今日は編入生がこの教室に来るぞー」
先生と思わしき低い声が聞こえてくる。
「せんせー。その子はどんな子ですか?」
生徒が質問をする。
「ん? あー、めっちゃ可愛いって聞いているぞ。なんせこの前の文化祭の最後の種目に優勝した子だとか。先生はみてないからどんな子かわからんけどな」
「その子って……」
「たぶん、あの子……だよね?」
喧騒が始まる。
「じゃあ、入ってくれー」
がやがやした教室にその声でわこは教室に足を踏み入れた。
「かわいい……」
「やっぱあの子だ!」
いろいろな声が聞こえてくる。
うぅ……。緊張する……。
「じゃあ、自己紹介頼むな」
あるじとアイコンタクトをする。
あるじは頷いた。
白のチョークで自分の名前を書く。
「初めまして。『秋田ちょこ』と言います。文化祭を見てくれた方はご存じだと思うけどわこは元犬です。皆さんと仲良くしたいのでよろしくお願いします」
ペコ、と一礼をすると、拍手がまばらに聞こえてくる。
「じゃあ、チョコちゃんは薫の隣な。薫、授業のこととかいろいろ教えてやってくれ」
「ういー」
静かに歩き、あるじの隣に座る。
「よくできたな」
そういって頭をなでてもらった。
「えへへ」
「じゃあ、HRを始めるぞー」
先生は橘葵というらしい。
性別は女性らしいが、口調と言い性格と言い、どこか男っぽさを感じさせた。
この学校の授業は一コマ60分を5コマと昼休み60分だ。
基本的にこの学校はほかの高校と何ら変わりはない。
県内で一番有名なところ以外は。
部活はいろいろなものが強化部と化していて、様々な大会や全国、中には世界大会に進出する者もいる。
そんな文武両道なこの学校のモットーは『調和』らしい。
まあ、これ以上長くしゃべってもわからないので今回は端折らせてもらう。
「今回のHRの内容は、薄々気が付いていると思うが『修学旅行』だ。行先は広島・長崎・大阪とかなりとびとびになっているが急いで行動するようなものではないと現時点でスケジューリングされている」
先生が説明をする。
ということは……?
あるじと旅行デート!?
わあああああああああああああい!!!!!!!
「期間は10日を予定している。単純計算で一か所3日滞在することになる。で、だ」
緊迫感が強まる。
「一番肝心な行動班と生活班を各々で作ってほしい。行動班は4~6人、生活班は2~6人程度で作ってくれ。班のリーダーなども決めてもらうと助かる。それじゃ」
そういって先生は教室から退出する。
にしても旅行かあ……。
あるじと同じ班になりたいな……。
「あるじ! 生活班と行動班一緒がいい!!」
「僕も同じこと言おうとしてた」
そういってほほ笑むあるじ。
尊い……。
「チョコちゃん! よかったら俺らと行動班組まね? もちろん薫も一緒でいいからさ!」
そう話しかけてきたのは金髪に整った顔の文字通りのイケメン。
その隣にいるのは小柄ながら童顔の少女。
「氷くんは私が押さえておくから安心してね」
「あるじはいい?」
「いいぞ。チョコに絶対に手を出さないならな」
「もちろん!! 単純に仲良くなりたいだけ!!」
「私も仲良くなりたい!」
そんな感じで4人の行動班が決まった。
あるじ、わこ、永山氷くん、丹崎美咲ちゃん。
ちなみに生活班はなぜかみんなわことあるじの二人部屋を進めてきた。
うれしいけどなんでなんだろう。
謎な印象を受けた。
謎の一致団結。
修学旅行まであと1週間。
いろんな服を買ってもらいたいな。
いまからもたのしみだな。