君に百回「好き」といってから死ぬ
〈#4 デート【下】〉
とある町で梁と蒼のカラオケ大会が始まった。
ただ、さすがは女子とでもいうべきか。歌がうまい。負けそうだ。
「ね、次は梁くんだよ」
いつの間にか順番が回ってきた。うまく歌えるか心配だ。
「♪~」
「意外とうまいんだね」
意外と辛辣なコメントが飛んできたきがするが気にしない。ちなみに歌っている曲は『Mama』というEDMだった。それを知ってるとはやるな。
無事に歌い切り、結局蒼が俺の百五十点以上で勝った。ぼろ負けやんけ。
次はショッピングだ。何買おうか。蒼の希望はネックレスがいいとのこと。
駅前にリニューアルした大きなショッピングセンター。文具屋から雑貨屋、百均などなど、勢揃いしていた。
「待ってこれ可愛い」
「ん? マジやん」
見つけたのはゆるゆるアニマル的なライオンが描かれたTシャツ。
蒼はこれを即購入していた。
次はお目当てのネックレス屋さん。ここのネックレスは安い割に品質がいいなどの高評価店舗。
「ね、ね、これとかどう?」
提案してきたのは短めのチェーンにお月様のネックレス。素人目でもこれはかなりのクオリティだとわかる。しかもこれで千円だとのこと。
「よく似合ってる」
「んじゃ、これにしちゃお」
購入。即判断キャラだっけ? と、疑問に思ったが、心に閉ざしておいた。
「梁くんにはこれがおすすめ」
おすすめされたのは普通の長さのチェーンに銀の地球が彫られたネックレス。
「めちゃ似合ってる」
「んじゃ、これにしよう」
梁も即決断。行動が早い。
その他ペアルックのネックレスなどを買い、満喫した様子。
次はお昼休憩にカフェに行こうと蒼が提案してきた。
「梁君はそれだけで足りる? 私のも食べる?」
「いや、平気。俺いつもこれくらいだし」
蒼が頼んだのはカルボナーラだ。それに対し、俺はコーヒーとミラノサンドだ。量の心配もするだろう。
さて次はどこにいこうか。
「次はどこ行きたい?」
「うーん…… 遊園地とか?」
「おっけー」
そこから二人はまあ定番の遊園地へ行くことになった。
「ここからだと電車使っても一時間か……」
最寄りの駅から行っても交通費が千円近く、九個ぐらい駅も離れていた。
「遠いな……ま、いっか」
そんなことはあんまり気にしない梁。こいつの経済力、おそるべし。
「とりあえず、行こうか」
「うん」
最寄りの駅についてから徒歩三分。遊園地に着いた。遊園地という名に相応しく、人混みもそれほどだった。
「すっごい混んでるね・・・・・・さすが遊園地」
「まあ、遊園地だしな。・・・・・・ほら、チケット」
「あ、ありがとう」
いつの間にかチケットを買っていた梁。行動力が速すぎて怖い。
「遊園地と言えば? 何乗る?」
「うーん・・・・・・私は何でもいいかなぁ」
「そ、そっか。んじゃ、ジェットコースターにでも乗るか」
そんなわけでジェットコースターに乗る事に。蒼は今更思い出した。
(あ・・・・・・。私絶叫系ムリなの忘れてた・・・・・・。どうしよう・・・・・・)
「・・・・・・? 順番きたよ?」
「う、うん」
(言い逃したぁぁぁああああぁぁぁ)
そんなことで頭を抱えていると、コースターが動き始めた。そして——
——急降下。
「い——やああぁぁぁあああぁぁあああ⁉︎」
蒼の叫び声は真っ青な晴れ空に消えていった。
ジェットコースター後。
「だ、大丈夫?」
「うん・・・・・・。絶叫系ムリなのを忘れていた・・・・・・」
「そっか・・・・・・。じゃ、次は絶叫系以外にしようか」
そのあとはメリーゴーランドやバルーンアートの人に花形の風船をもらったり。絶叫以外を楽しんだ。
空は夕焼けの色に染まっている。時計で確認すると丁度五時を指している。
「そろそろチケットの時間だ。最後のアトラクションにしようか」
「りょーかい」
最後ということでカップル共等定番の観覧車にいる。
「今日・・・・・・楽しかったな。梁くんがここまでしてくれなかったら多分つまんなかったと思う。だから——ありがとう」
過去を振り返ると、梁が躓きそうな蒼を助けたり、ポップコーンをバレないように自分の分を減らしていたり。それも全て、蒼のためにやっていたことだ。
「何言ってんだよ。蒼のことが“好き”だからやってるに決まってるだろ。何腑抜けたこと言ってんだよ」
「そうなの・・・・・・?」
「たりめーだ」
「「・・・・・・あ」」
この時、二人の目が合った。夕焼けの空に二人だけのゴンドラ。のちに二人は語る。「あの時、何も気が付かなかった」と。
少しずつ、二人の距離が縮まり——
「「・・・・・・・・・・・・」」
ふと、気がつけばキスをしていた。
一種で終わる行為だが、終わった二人の顔には笑顔が咲いていた。
「「・・・・・・また行こうね(な)!」」
そして、二人は帰宅した。
——梁の死亡まで残り96日。
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