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君に百回「好き」と言ってから死ぬ

〈#06 夏祭り(上)〉

 朝七時。何故か今日はお早いお目覚めだ。

「うぅ〜ん……。顔洗ってくるか」

 顔を洗い、朝食の準備をする。

 いつもと変わらない朝を過ごす。

「ポキポキ」

 と、そこへ一見の通知が。確認すべく画面を覗き込むと、蒼からだった。

『今日、空いてる?』

「んーまあ、特にこれといった用事もないし、『空いてるぞ〜』っと」

 そして二秒で既読がつき、返信が返ってきた。

『今日、夏祭りなんだけど、行かない?』

「夏祭りか……。何年も行ってないなぁ。『いいぞよ』と」

 また二秒で既読がつき、可愛らしいスタンプが「やった!」と語っている。

「相変わらず可愛いやつめ……」

『じゃあちょっと待ってて』

『おっけ〜』

 それから蒼が来るまで朝ごはんを食べ、テレビをみてグダグダと過ごした。

 それから五分後。

『ピンポーン!』

「きたかな。はいはい〜」

「お待たせ」

「お、おお……」

 お出迎えしたら浴衣姿の蒼さんが登場。めっちゃ可愛くて綺麗で、一言で言えば天使でした。

「どしたの?」

「いや、蒼の浴衣姿が可愛くて、つい……」

「そ、そっか……。えへへ……」

 照れる熱を覚ますように手で顔を冷やす。

(……クッソかわいいな)

「さ、行こ?」

「お、ちょっ、手引っ張んないで!」

 むりやり外に出されたのもそうだし、女の子の手はなんだか壊れそうな優しい感じがして照れる。

 ここが田舎で助かったと、ふと思った。蒼の浴衣姿がめちゃくちゃ注目される。視線がこちらの方へ。

 しかし、蒼さんはそれを気にしない様子。メンタル強い。

 ところどころで駄菓子を食べたり、アイスを食べたり。何もないけど幸せな時間を過ごした。

 少し休憩がてら公園に入った。

「こんなところにアイスの車なんてあったか?」

「なんか最近できたらしいね。クラスの子が言ってた。なんでも美味しいらしいとか」

「女子はそういうの好きだもんな。よしゃ、俺が奢ったる。存分に食べな」

「やった!」

 そう言いながら蒼さんはニコニコしながらちっちゃい半球型のアイスを六つ買った。

「ん〜っ。冷たくておいしいっ」

「見てるこっちまで幸せが伝わってくるな」

 実際、アイスを食べている蒼さんはとても幸せそうにニコニコしながら食べている。幸福度がこちらにまで伝わってくる。

 ふと気がつけば夕方に。

「あ、そだ。忘れないうちに……」

 そう言って蒼さんはまるで甘える子猫のようにぴったりくっついてきた。

(……くっそ可愛いしいい匂いするし)

 はっきり言ってすごい女子力高めの女子だろう。

「あの、蒼、さん?」

「な〜に?」

「なんでくっつくのでしょうか」

「……ダメ?」

「……ダメじゃ、ないけど」

 そんな強請るような上目遣いとか無理可愛くて死ぬ。蒼に告白して良かったと、改めて感じた。

 ふと、夕暮れになり、体が離されると、手を握ってきた。

「じゃ、そろそろお祭り、行こっか」

「おう」

 祭り会場まで下らない世間話などして盛り上がった。ときどき変なことを聞いてくる蒼さんでもあったけど。

 いつも通りでいいなと、思った。

 こんな何気ない会話が——

「好きだ」

「え?」

 唐突に「好きだ」なんて放つもんだからびっくりされた。

「いや、この日常がね」

「なるほどね。私もこんな日常、好きだよ」

「そ、そうか……」

 蒼に好きと言われ、動揺しまくる梁。

 蒼からは「初心だなこいつ」みたいな顔でニコニコされた。

 そして、会場に到着した。

「わぁ……」

 ついてからパアッと顔を輝かせる蒼さん。可愛すぎる。

 屋台はわたあめから焼きそばまであり、そのほかにくじ引きやら金魚すくいやらがたくさんあり、まさしく“祭り”といった雰囲気である。

「ね、たくさん遊ぼ」

「おう!」

 そして二人で屋台巡りが始まった。





 ——梁の死亡まで残り93日。

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