離島フェチの私が唸ったトカラ列島の話~平島・完結編~
三回に渡って書いてきたトカラ列島の話も今回がラスト。
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悪石島で1泊、平島で1泊した翌朝。
私は「平島一番の観光スポット」と言っても過言ではない「穴口」に行くことにした。
浜まで宿のご主人に車で送ってもらい、そこから岩をつたいながら穴口を目指す。
ご主人の言っていた「獣道」が途中まではあって、そこまでは楽に歩けたが
道中なかほどから獣道もなくなり、ボルダリングのように壁?をつかみながら足を置く位置を試行錯誤しながら、進むこととなった。
獣道がなくなってから10分ほど進んだだろうか。
急に砂浜が現れた!
この奥にある洞窟が、平家の落人が身を潜めていた(とされる)洞窟だ。
洞窟に入りたかったけど水着もないし、ずぶ濡れは流石に…と言うことで洞窟は写真に撮るだけに留めた。
そして。
こちらが「穴口」。
自然に出来た窪みに、海水がたまりプールのようになっている。
写真では伝わらないのが悲しいが、水がとても澄んで綺麗なので、穴口の底まで「水入ってる?」と疑いたくなるほど透明。
これは夏だったら水着持ってきて入りたかった!(いや、入っちゃだめなのか?笑)
しばしくつろいでから浜に戻りました。画面奥側が穴口方向。
ご主人は既に宿に帰っていたので、そこから島歩きを楽しみながら宿に戻った。
トカラヤギのご夫婦(?)発見!仲良くずーっと寄り添って歩いていた。
そして宿に戻ってお昼ご飯タイム!
「遠出してお腹すいたでしょー」と、チャンポンにオマケでおにぎり二個!
「いや食べきれないです!」って言ったけどあっさり完食して驚かれた(笑)
お昼を食べたあとはエキシビション。もう島全体を全てまわってしまったので、昨日「源ちゃん」に会った源太郎峠へ!再会を祈念しつつ。
ん?
わーーー!!源ちゃん!!
まさか本当に会えるとは!しかもこっち向いてくれた!(≧∀≦)
遠方から来た私を歓迎してくれたのだね、ありがとう!
このあと、もう一度ガジュマルを見に行き、宿に戻った。
トカラ最後の晩餐、豪華すぎ!
汁物のお魚がカラフルなのが南国っぽいね!
翌朝、鹿児島へフェリーで戻る日。ついに旅も終わり。
朝起きてパジャマのまま顔を洗っていると宿のご主人から声をかけられた。
「今、屋根からトカラ全島が見えとうよ!」
私はかけられたハシゴを登って、民宿の屋根に立った。
ああ。
本当に全て見える。
宝島と小宝島が見えてます。
残念ながら肉眼でギリギリ見えるレベルだったので写真には映らず。
平島初日に「展望台壊れてて見れませんでしたー(笑)」という私の一言をご主人は覚えてくれていて、こんな素敵なはからいをしてくれた…これぞ本当の「おもてなし」。離島っていいね。やっぱり。
さて、それから部屋で荷物をまとめていると
「お嬢さんは、船は好きとね?」
ご主人に聞かれて私は即答した。
「好きです!大好きです!どこまでも続く海、潮風を切って進む心地よさ、自分だけが海にいるような神秘的な」
最後まで聞かずにご主人は電話を掛け始めた。
「船に乗ったら船員誰でもいいから、私の名前を出しなさい。話はついてるから」
ん?どーいうこと?
そうこうしている間に船が来た。
フェリーとしま。あぁ、ついに帰るときが来てしまった…。
本当にお世話になりましたー!ありがとうございましたー!(宿のご主人に手を振る)
こうして夢のようなトカラ旅は終了…するはずだった。
そうだ、船員さんにご主人の名前を伝えないといけないんだった!
「船員さん、船員さん、○○荘の○○さんにお話をしてもらった者です。何か聞いてますでしょうか…」
船員さんはハッとして、「どうぞこちらへ」と船の中を誘導し始めた。
えっ…!?
私が案内されたのは操舵室。飛行機で言うところのコックピット。
マジでか!
うわー凄い凄い!
船長さんに帽子をお借りして記念撮影。
いやー、とんでもない貴重な経験させてもらった!
その後、甲板で海風を楽しんだあと、船内に移動した。
「お嬢ちゃん見ない顔ね?何処から来たと?」
「横浜です」
「そんな遠くから!良かったらこれ食べなさい」
海苔巻き頂いた!
「お嬢ちゃん見ない顔ね?何処から来たと?」
「横浜です」
「そんな遠くから!良かったらこれ食べなさい」
唐揚げと焼き魚とビール頂いた!
…そんな訳で、船の中では歓迎に次ぐ歓迎を受けた。すいません、これから帰るんですけど…(笑)
船をおりる頃にはお腹は満腹、島の人との交流で心も満腹、こうして私の「本当のトカラ旅」は幕を閉じたのだった。
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トカラ列島を旅したあと、4つの島に出掛けたが、残念なことにトカラを超えてくる島がない。
大切なのは海の幸の美味しさとか、アクティビティとかじゃない。
「そこに住む人と、どれだけ心を通わせられたか」だ。
「観光客」と「観光業者」の関係では絶対に本当の意味での「心を通わせる」は出来ない。
目的が「お金」だからだ。
でも、トカラの人達は違った。
払う宿泊代とは関係なく、車で岬や灯台に案内してくれたり、自生してるミカンを食べさせてくれたり、
穴口まで案内してくれたり、チャンポンにおにぎりをつけてくれたり、屋根に登らせてくれたり、操舵室に入れてくれたり。
これが、離島旅の醍醐味、私が旅をする理由なのだ。
一期一会、利害が絡まないからこそ出来る至福の交流。
これを味わいたくて、私はきっとまた島へと旅立つ。