関西大学過去問 2024年2月2日『狭衣物語』現代語訳 赤本未掲載分

船では、日数が積もるにつれて、飛鳥井の女君は人心地もほんとうにあるかないかという具合になっていくのを、「このまま死んでしまえば、わたしの亡骸を、この男が始末することになろうが、それもしゃくで残念なので、ただ、どうにかして、海に身を投げてしまいたい」と思って、適当な折をしばしば窺っていると、人目が多くて、どんどん日が経っていく。

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