ひょんなことから
社長の住まい探しは一向に進みませんでした。
賃貸マンションなんて、、、そうたかを括っていたのですが、
そんな簡単で単純なことでもなかったのです。
いざ探すとなると“諸々の条件”にぴたりハマる物件などそう見つから
なかったのです。
でもそんなある日のこと、僕が会社を留守にしている時のことでした。
見知らぬ不動産屋が会社に社長を訪ねてきたのでした、、、。
物事は急に動き出す
世の中そんなものかもしれません。
当時の僕は大変忙しく、殆ど会社にいる事はありませんでした。
ですからその不動産屋の話を聞かされたのは既にその不動産屋が会社に
何度も社長を訪ねて来ていた後の事。
しかも社長の口から直接その話をされたのでした。
社長の住まい探しの件はパートさんも知っていたはずです。
そんな事情もあり、あまりに頻繁に訪ねてくる不動産屋の話をパートさん
が直接社長に電話で伝えていたのでした。
“私の代わりに話を聞いてほしい、、、”
それで仕方なく僕は訪ねてきた不動産業者に会うことなったわけです。
想定外の話
“ご自宅を売って欲しい、、、”
不動産屋の要件はそういうことでした。
他人の僕が口を挟むような簡単な話では無かったのです。
不動産売買の事など全くの無知、、、
そもそも他人の不動産の事など僕には何の関わりもありません。
ですが社長はその全てを僕に丸投げしたのです。
どれほどの信頼を僕に寄せていたのだろうか、、、
どれだけ僕に依存していたのだろうか、、、
今思うとゾッとします。
そうして結局、この突然に持ちかけられた自宅売却の話についても
僕が矢面にたって進める事になったのです。
閑静な住宅街、、、どちらかといえば高級住宅街といえるエリア。
考えもしませんでしたが、随分と広い社長宅の敷地。
いくらで売れるんだろう、、、
きっと僕はそんなふうに思っていたはずです。
ですがこの不動産売却の話は一筋縄ではいかなかったのです。
つづく