名前のない仕事をつくる |白翔中学校
こんにちは、合同会社ギンエンの東です。
今回は、北海道白老町にある白翔中学校にて、またたび文庫という本屋さんを運営する羽地夕夏(以下:羽ちゃん)さんと一緒に対談形式で講義をさせていただきました。
▼またたび文庫
実は、卒業論文執筆時に白老町の方々にお世話になり、観光と写真のワークショップの講師も担当させていただき、なんと今回で五回目の訪問でした。縁の深い地域です。
講義テーマ「名前のない仕事をつくる」
子どもの頃から「将来の夢は?」と幾度となく聞かれてきたけれど、なぜ特定の職業を言わなきゃいけないんだろうと疑問に思っていたことがきっかけで、このテーマに至りました。
「AIに奪われる仕事」などのテーマで、今ある仕事の40%はなくなるという言説が囁かれたりする昨今ですが、よくよく考えると、昔から仕事というのは変わり続けています。
電話交換手、タイピストなど、今の中学生は、聞いたことのないような職業もありました。
だから、わたしたちは、不安を煽ってなくならない仕事に就こうという発想ではなく、自分のやりたいこと/やりたくないことなどを考えていたら、結果的にオリジナルな仕事も作れるのではないかという可能性をお伝えしたいと思いました。
名前のない仕事って?
将来の夢=職業名という図式だけではない考え方もあるよという事例として、羽ちゃんの「本屋さんになりたい」という夢をモデルに実際にどうやって考えるのか、ロールプレイングをしてみました。
こうして考えていくと「本を売るカレー屋さんよりも、カレーを売る本屋さんの方がイメージに近いな」とか「まずは売るところからだけど、今後は作るところもやってみたいな」とか、その人のなかにしかない色んなイメージが湧いてきます。
もしかしたら、人によっては、たくさんお金を稼ぎたいかもしれないし、お金よりも自由に移動できる人生がいいかもしれないし、人に教える仕事ならなんでもいいかもしれないし、家族にご飯を作ってあげることが好きかもしれないし、本当に複雑に絡み合ったものを、一言の職業名で言い表してしまう方がもったいないと思いませんか?
思考を広げる問い
とはいえ、上記のスライドに並べたような「問い」を聞かれたことがない、考えたことがないという方も多くいらっしゃると思います。わたし個人としては、いかに考えるきっかけになる問いを投げかけられたことがあるかによって、思考の幅が広がるのではないかと感じています。(この気付きは、以前、レポートにも記載したmakers universityのプログラムのなかで培われてきました。)
以前、山口県の高校にお邪魔した時には、この「問い」に着目したワークショップを行いました。
つまり、答えを考えるばかりではなく、何かに悩んだとき、立ち止まったとき、自分に対して、思考が広がる問いを投げかけられるかは名前のない仕事を考えるうえで、重要なポイントではないでしょうか。(ちなみに、大学院の研究でフィールドワークに行った時にも、ずっと角度の違う問いを自分に投げかけ続けていました。)
今回の対談では、50分という時間の都合上、ロールプレイングをするだけになってしまいました。しかしながら、理想としては、実際に中学生の皆さんに、①自分たちでお互いに問いを投げかけてみて ②名前のない仕事を考えてみるということを実践してみてほしいという想いがあります。
そこで、次回、同じく白老町内にある中学校では「問いカード」なるものを用いたワークショップを実践してみる予定です。また、次回のレポートも更新しますので、お楽しみに。
▼またたび文庫さん(羽ちゃん)による開催レポートもぜひ、読んでみてください。
この講演が実現した背景や、羽ちゃん自身の想い、問いに対する小林秀雄さんの言葉など、オリジナルな視点が詰まっていますので、ぜひご一読を。
▼苫小牧民報さんに掲載していただきました。(2023/11/22)
▼北海道新聞さんに掲載していただきました。(2023/11/26)
謝辞
改めまして、白老町のみなさん、卒業論文の調査にご協力いただいた繋がりから、さまざまな形で長らくお世話になり、ありがとうございます。そして、何より、参加してくださった中学生の皆さんと、貴重な時間を過ごせたことをありがたく感じています。ぜひ、何か今後困ったこと、相談したいことがあれば、いつでもご連絡ください。