甘い猛毒 - 絶対アイドル辞めないで考
イコラブの新曲、「絶対アイドル辞めないで」が大きな話題を呼んでいる。
私も今回の記事で、この曲を聴いて感じたことを書いていきたい。
この曲が刺さった、みんなとこの楽曲について語り合いたい……みたいな、推し活を楽しんでいるキラキラオタクは沢山いることだろう。
……しかし！諸君らと曲の感想を分かち合う思いは、悪いがこれっぽちもない！私は、アイドルヲタクのうちの、もはやそうなってしまった"少数派"に向けて、この記事を通じて呼びかけている！
少数派とは何か？具体的に言えば、
・ブロマイドを求めてAKB劇場に列をなす青春時代を送り、
・社会人になってからは都内の地下or地方アイドルに主現場を移しつつ、
・年一度のTIFで昔なじみヲタクに会って、同窓会気分でアルコールを呷りながら「最高の夏」とやらを作り、
・コロナが明けた今となっては、世にはびこる推し活ブームとは無関係に、ただただヲタ活を長く続けた結果として、"ほどよい"推し活の仕方を身に着けてしまい、皮肉にも楽しくヲタ活を続けられていて(そもそも長年オタクするなよ)、
・たまに元推しメンがコンカフェのゲスト出勤やチェキ会イベントをすると、思うことはありつつもなんだかんだ行ってしまう、
そこのあなたのことである。
……私もその一員である。
祝福すべきことに、我々は、もはやアイドルオタクではないっ！
もう皆そう思っているだろうが、我々はオタ卒を完了したのである！
諸君らがコロナ蔓延の時期に、なんとな～く心に思ったことを、今ここでつまびらかにしてしまうが、我々はもはやオタクでない……と言うよりやっぱり、立派な老害である！
絶対アイドル辞めないで
タイトルにもなったこのフレーズは言うまでもなく、オタクから発せられる矛盾した愛の発露、すなわち"呪い"である。
それがオタクのエゴでしかないことは、歌詞の中にもはっきりと書かれているが、それでも推しの幸せを願うという楽曲のテーマは明確だ。
これが、推し活をしている多くのオタクの心に"刺さり"、共感を生んでいる。こうしている今もなお、感想を書いたnoteなり、ポストなり、ブログ記事が上がっていることだろう。
一方私たちは、この歌詞を聞いたときにどう思ったろうか？
ぶっちゃけ、「なんだこのお気持ち表明」の一言ではないか？
アイドルなんて早く辞めて、俺と繋がれ(結婚しろ)！
なんだっていいからライブやれ！俺の好きな曲聞かせろ！アイドルは続けるにしても、この事務所(運営)は辞めたほうがいいだろ！
これらの古き良きマッチョイズムは野蛮ではあった。
だが、明快かつ迷いがなく、"呪い"を吹き飛ばすパワーがあった。
この楽曲で歌われている類の葛藤は、ぶっちゃけ昔からある。しかし、我々はそれを口にしなかった。
解けぬ呪いを一生心に抱いて、ウジウジ逡巡しながら推しの幸せを願うくらいなら、"世界で一番お姫様"な推しを幸せにするために、"俺と一緒に人生歩"んでしまえば良い。これこそがシンプルかつ確実な解決法である！
これは、伊達や酔狂ではない。十分にありえる話だ。地下アイドルのシーンでそれは事実として在るのだ。それが正しいとか間違っているだとか、もはやそんな次元の話ではない！少なくとも、私たちヲタクはそれを見て来たのである。どこの界隈でもあるよねそういうの？
これを踏まえた上でMVを見て欲しい。
"絶対アイドル辞めないで"という呪いの言葉は、現代アイドル楽曲の中では、猛毒に糖衣をまとうかのように、甘い味付けがされ、それを儚い、美しい夢の中で、アイドルとオタクが分け合うようになったのだ。
藤の花言葉に言及した感想も多くみられるが、藤は毒性がある植物ということと、猛毒のトリカブトにも似たような色彩のライティングをしている興味深い場面があることも指摘したい
……ここに来て、ついに呪いは呪いではなくなった。
アイドルとオタクのある種の共犯関係を補強する要素として美化され、押しも押されぬ超人気アイドルの新曲MVの、「刺さる」1要素として固着するに至ったのである。
諸君はこの風潮に満足か？
キラキラオタクと地上アイドルが作り上げた甘い猛毒こそが現代のアイドルライフスタンダードと言わせたままにするか？
私がここまで語りかけたのには目的がある。
この時代に反旗を翻す、ハード老害ヲタクの同志を募ることに他ならない。
来月、今年もまたTIFがあるから、今の現場でも、昔行ってた現場でも構わない。きったねえMIXときめえ振りコピをしよう。
メインステージでやってくれるなら、なお素晴らしい。
全ての老害オタクよ、団結せよ！キラキラオタク粉砕！
悪意の振りコピを！やけっぱちのヲタ芸を！
ヲタクのキモさで人間の「生」を発露しろ！
小綺麗なお気持ちだけが現場を作ってねえんだよーーーーーーー！！！！
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