卒後3年目のときの葛藤(プライマリケアを専門としてよいのか?)②
4月から引き続き内科ローテーターとして研修を続けています.
内科ローテーターは,初期研修と同様総合診療教育部に属し総合内科の患者さんも担当しながら,同時に専門科(主に内科各科)をレジデントとしてローテートする仕組みです.これに対して各専門科ストレーターは専門科を集中的に研修します.(内科専門医制度が変わり,ストレーターであってもある程度他科の症例も診なければなりませんが)
研修を始めてみると専門科で学びを得られることが新鮮で刺激的な毎日ですが,「シニアレジデント(後期研修医)1年目」ではなく「ジュニアレジデント(初期研修医)3年目」と揶揄されるように,ともすれば中途半端になってしまうのではないかという懸念も当然ながらあります.
どの専門科にいっても,いつまでたっても,学習者の立場であり,責任ある立場になりづらい.現在消化器内科で内視鏡など積極的に教えて下さっており感謝で一杯ですが,4か月の消化器内科研修で内視鏡ができるようには到底ならない.では4か月の研修で何を得て,何はできなくてもよいのか.目標は何なのか.はっきりさせないと,限られた時間の中で身に着けるべきものを身に着けられない,とよくご指摘をいただきます.
しかし実際には何を取捨選択すればよいかすらわからないのが実情です.消化器内科という手技主体の科にいると,知識があっても手技ができないと食べていけないなあと思います.
総合診療といえども強みがないと,ともよくご指摘をいただきます.
天理病院という大病院の中で総合診療医として生き残り信頼を得るのは並大抵ではないだろう.人ができない難しい症例を診断できる とか,膠原病に圧倒的に強いとか,何か強みがないと・・・と思いながらも.膠原病に明るい同期,先輩のようになれないし.
"generalistはmindが主体" 無形のチカラを磨いていくことが必須ではないかと思うが,あまり客観的指標がなく どのくらい成長したか,優れているかも評価しづらい.
専門科の先生と一緒に働く中でidentityを問われる毎日です.
一方でローテーターという存在が潤滑油になって例えば各科にわたる症例のコンサルテーションがうまくいく例など,外の目が専門科に入ることのメリットもあるように思います.後期研修医といえども,初期研修と同様泥臭く足を稼いで働くことがよき診療に陰ながら寄与すると信じ.そのためには各科との交渉,患者さん家族との交渉,コメディカルとのコミュニケーションなど,面倒がらず対話を重ねていくことが大切だろう.
また専門医と同レベルに達することは不可能なので,日々患者さんを診る中で,その患者さんに何ができるかをしっかり考えていくこと,を継続することで,各科の症例数は限られていても,考え方を身に着けていければと思います.
各科の考え方を吸収して柔軟な発想で新しいモノを生み出していける存在であれたらよいのですが.また,来年の外部研修期間など診療所や中小病院といった異なるセッティングでも働いてみたいですが,今は大病院の総合内科の立場として,米国でいうhospitalistのような病院全体の医療の質と安全を担保し,研修医教育に携わる一助となれたらと思います.
(例,牛歩ですが敗血症バンドル作成など)