「下痢を伴う低マグネシウム血症にマグミットを入れてよいか?」
今日の疑問解決レクチャーの例題
❶ PECO/PICOを何通りか考えた(STEP1)
パターン1
P 下痢+低Mg
I 内服Mg
C 点滴Mg
O 下痢の増悪やMgの増悪
パターン2
P 入院患者?
E 下痢がある人
C 下痢がない人
O Mg値
他にも色々考えられるかもしれません。
❷色々なツールで調べる
これは時間内にできませんでした。
その後、私の一例を共有します。
今回は時間内で5〜10分で調べましたので、PubMedは使っていません。
①で考えたPatientとInterventionを組み合わせたキーワードで検索することがおすすめです。
今回は低Mg(hypomagnesemia)
と下痢(diarrhea)を並べてgoogle検索しました。
英語がわからない場合はDL翻訳やオンライン辞書などで翻訳しましょう。
Google scholarやPubMedもありますが最初はgoogleでひっかけるのが良い方法です。キーワードは英語の方が、答えに辿り着ける確率が高いです。
今回は、調べると、検索結果の上位で
まずStatpearlのhypomagnesemiaというものに行き当たり調べました。Statpearlはオンラインの教科書みたいなものでいろいろまとめが載ってます。①の疑問に答えるような記載はありませんでした。
検索結果をスクロールしていくと、症例報告ですが、
Joo Suk O. Paradoxical hypomagnesemia caused by excessive ingestion of magnesium hydroxide. Am J Emerg Med. 2008 Sep;26(7):837.e1-2. doi: 10.1016/j.ajem.2008.01.030. PMID: 18774056.
という文献がヒットしました。
本文を読むと(要約は読めますが、本文全部読めるかどうかはフリーアクセスかどうかによります。病院や所属大学が契約してる雑誌の論文は読めることもあります)
内服のMgを過剰に飲むことで下痢になり、逆説的に低Mgになった症例でした。考察で同様の報告はこれまでなかったが、このような症例では点滴でマグネシウムを補正した方が良いだろうと議論されていました。
一般的には症例報告だけでものが言えることは少ないですが、この報告とメカニズム(下剤で下痢になりMgが下がりうることは合理的)を考えると、下痢のある低Mgの症例でも、Mgを点滴で補正したいなと自分は判断しました。→この辺りは論文の解釈や患者への適用でSTEP3にあたります。今回のレクチャーでは十分お話できませんが、詳しく勉強したい方は後藤先生の本をお勧めします。