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【パブリックヘルス】を広げよう、深めよう、mJOHNSNOW!
自己紹介
総合内科医として市中病院で働きながら、SPHで社会人大学院生として臨床研究にも取り組んでいます。
総合内科医を目指したきっかけは、手垢がついた言葉かもしれませんが、「病気ではなく人をみる」医師に憧れていたからです。自分はブラックジャックのようなスーパー外科医よりも赤ひげのような医師に親しみを覚えていました。大学時代に、素敵な家庭医の先生と出会うことができたのも大きかったです。
臨床医になってから、臨床研究者を志した発端は、総合内科って、「なんの専門もないよね」「やさしいヤブ医者と何が違うん?」と揶揄されることも多く、実際あまり学術的なことができていなかったので、アカデミックな発信ができるようになりたいと思ったという反骨心のようなものがきっかけです。学術的な活動をすれば形に残るし、実際に私たちはこんなことで役に立ってます、といえるのではないかと思ったのです。後期研修では研究といえるほどのものではありませんが、自施設で診療の質を測定するような活動をして学会発表したりしていました。
「総合診療に夢はない!」と言われないように、後輩が胸を張って「総診好きです!」といえるようにしたい・・・。
また、総合内科でよく議論になる「健康の社会的決定要因」にも幼い頃から関心がありました。社会疫学をはじめ、パブリックヘルスでは日々の診療より少し俯瞰したマクロな目線でより良い医療を考えることができ、自分の臨床実践にも活かせたらなという思いで、公衆衛生大学院に進学しました。
(mJOHNSNOWでは様々なトピックについてフェロー同士が議論できますが、「パブリックヘルス」とは?というテーマで皆が思いを書き連ねる機会があり、その時に私も下記の文章を書かせていただきました。
他にもテクニカルな相談からタイムマネジメントまで、多様なトピックについて日々チャットで熱い議論が交わされています!!)
「臨床と研究は車の両輪」という言葉がありますが、実際のところ、臨床と研究の両立は思っていた以上に大変です。最近はライフイベントで育児も始まりますます容易ではありません。SPHの年次も終わりに近づいてきていましたが、まだまだ学び足りていないことがたくさんあると感じていました。そんな中、mJOHNSNOWというオンラインスクールができることを知り、「これだ!」と飛び込みました。
mJOHNSNOWに入会した目的
SPH後も学び続けたい
まず一つ目は、SPH(公衆衛生大学院)を卒業した後も、学び続けられる環境が欲しかったこと です。大学院で得た知識を活かすのは、むしろ卒業してからが本番。しかし、日々の臨床が忙しくなると、どうしても研究や勉強の優先順位が下がってしまいます。卒業後アカデミアに進むならともかく、臨床に戻った先輩で大学院時代と同じように研究を続けるのがなかなか難しいという話も見聞きしており、危機感を感じていました。
入会して、同じように学び続けようとする仲間とつながることで、自分のモチベーションを維持したいと考えました。
一方で、正直なところ、大学院の勉強だけでも手一杯なのに、さらに新しい学びの場に飛び込むのは負担が大きいのではないか という不安もありました。せっかくお金を払っても、十分に学ぶ時間が取れず消化不良になってしまうのではないか——そんな懸念があったのも事実です。
私はどちらかというと保守派で、新しいものにすぐ飛びつくタイプではありません。周りがスマホに乗り換えた頃にようやくガラケーを卒業し、サブスク全盛の時代にも乗り遅れ……。時代の流れの少し後ろをついていくタイプです。総合診療が好きではありましたが、総合診療専門医プログラムが新しすぎて未知数だったため、内科専門医を取得し、総合内科医としての道を選んだ くらいの人間でした。
そんな自分にとって、新しいオンラインスクールの一期生として飛び込むことには、少なからず勇気が必要でした。しかし、SPHの単位を取り終え、座学がなくなった今、改めて「新しい環境に飛び込んでみてよかった」と感じています。mJOHNSNOWでの学びを通じて、自分の視野が広がり、新たな挑戦に踏み出す力をもらえています。
因果推論の教科書を通読したい
もう一つの理由は、『因果推論の教科書 (What If?)』をしっかりと読み込みたかったことです。因果推論は理解すればするほど奥深く、非常に面白い分野だと感じていました。
『What If?』は、Harvardの疫学で有名なHernan先生らが執筆した教科書で、因果推論を学ぶには最適な一冊と評価されています。しかも、無料でダウンロードできるため、誰でも読むことができます。しかし、いざ読み進めてみると、なかなか難しく、途中で挫折してしまいました。
実は以前、輪読会に誘っていただいたことがありましたが、平日の業務時間内の開催だったため、臨床業務との兼ね合いで参加が難しく、結局ドロップアウトしてしまいました。「いつかきちんと通読したい」と思いながらも、なかなか手をつけられずにいたところ、mJOHNSNOWではオンデマンド学習+チャットベースで相談できる環境 が整っていることを知り、「これならいけるかもしれない」と思い、飛び込みました。
現在、第5章までなんとかキャッチアップできており、入会した意義を感じています!(とはいえ、電子書籍で読んでいるため、数式を書いて理解するところまでは到達できておらず、概念的理解にとどまっているのが課題ですが…。)
何かを身につけるには、それ相応の努力や工夫が必要であり、時には投資も必要ですね。
余談:「投資」としての学びの重要性
この点については、当科のボスとも話したことがありますが、「学ぶためにあえてお金をかける、投資することは重要」 という考えに共感しています。
実際、Hernan先生のDAG(Directed Acyclic Graph)の講義をEDxで聴いた際、無料で聴講できるにもかかわらず、途中で三日坊主になってしまい、期間内に消化できませんでした。しかし、時間を空けて再挑戦し、課金していつでも見られるようにしたら、ようやく最後まで学ぶことができたという経験があります。
現在、EDxやCourseraでも無料で良質な講義が提供されており、ほかにもいろいろな教材があります。さらにはYouTubeにも優れた動画が多数あります。学びには非常に良い時代ですが、その一方で、動画のサブスクや漫画、ゲーム、SNSなど、誘惑もまた増えているのも事実です。
結局、人間は合理的なようで合理的ではなく、「無料だからやろう」と思っても、強制力がないと続かないことが多いのです。その点、有料の学習環境に身を置くことで、「せっかくお金を払ったのだから、ちゃんとやらなきゃ」という意識が生まれ、結果的に学びの質が高まる のではないかと感じています。
mJOHNSNOWに入会して感じたこと
コミュニティの雰囲気の良さ
実際に参加してみて、まず驚いたのはコミュニティの雰囲気の良さでした。学びの場は、時に、「知ったかぶりしないといけない」みたいな空気を感じることがありますが、ここにはそれがまったくありません。
「わからない」と言っていいし、「できない」と言える。 それがリスクなくできる環境だからこそ、発言のハードルが低く、アウトプットが増えていく。結果的に、もっと学びたくなるんですよね。
また、オンデマンドのコンテンツも充実していて、自分のペースで学べるのもありがたい ところです。
オンライン自習室の存在の大きさ
それから、オンライン自習室の存在がとても大きいです。
社会人大学院生の最大の敵は、実は「時間がないこと」ではなく、「ついYouTubeやテレビを見てしまうこと」「睡魔に負けること」 だったりします。研究は一気に進めるものではなく、少しずつ積み上げるもの。だからこそ、「みんなでそれぞれの作業をする」というオンライン自習室の仕組み がすごく助かっています。
実は、最初は朝の時間に参加していたのですが、ライフスタイルの変化で早起きが難しくなってしまい、一時期離れていました。でも、ここでは朝型でも夜型でもそれぞれのペースで学べる環境があるので、また自分に合った形で続けられています。
目標を宣言する仕組み もあって、それがあると「やらなきゃ」と思えるのもいいところですね。職場でも研究日に「何をするか」「何をしたか」を報告する仕組みを作ったのですが、それもmJOHNSNOWでの経験がきっかけでした。
フェローの皆さんの優しさ
そして、何よりも助けられたのが、フェローの皆さんの優しさです。
オンラインの場って、「自分をよく見せなきゃ」と思ってしまいがちで、つい背伸びしたくなることもあります。でも、ここでは 「わからない」「できない」「ちょっと不安」 と言える雰囲気があり、それに対して 「大丈夫、みんなそうだよ」 と励ましてくれる人がいる。
研究の世界では、すごい業績を持つ人を目の当たりにして、「自分なんて…」と落ち込むこともあるのですが、ここでは 「そのすごい業績の裏には、きっとたくさんの苦労があったんだよ」 と教えてくれる人たちがいる。それが本当にありがたかったです。
副次的な効果:Rのスキル向上
副次的な効果として、Rのスキルもかなり向上しました。
今までR Studioを開いても「うーん…」と悩むことが多かったのですが、mJOHNSNOWに入ってからは、確実にできることが増えました。
以前はRの本を買っても講義を受けても、結局三日坊主で終わっていました。でも、ここでは仲間がいるのでモチベーションが続くんですよね。長年Rを使っているエキスパートの方々がたくさんいて、日々刺激を受けています。
この環境のおかげで、今まで「なんとなくわかるけど、手が動かない」状態だったRのスキルが、実際に手を動かして使えるものに変わりつつあります。
学び続ける場として、本当に価値のあるコミュニティだと感じています。
さまざまなキャリアを知る機会が得られる
また、ここにいると、自分が知らなかった多様な生き方に触れる機会がたくさんあります。
臨床の世界に身を置いてきた自分にとって、「こんな働き方があるんだ」「こんなキャリアの選択肢も面白いな」 と驚くことが多いです。グローバルに活躍している人、企業やスタートアップの世界で挑戦している人、さらにはさまざまな職種の方々と交流することで、自分の視野がどんどん広がっていくのを実感しています。
プロの本音を聞けたり、マネジメントの話まで学べたり、まさに盛りだくさんの環境です。
ここでは、皆それぞれの道で輝いていて、少数派であっても、それを誇りに思える環境 があることが、とても素敵だなと感じています。研究をすでにバリバリこなしているエキスパートもいますが、これから臨床研究やパブリックヘルスを学びたい人、海外や臨床+αのキャリアに興味があるけれど、具体的なイメージがまだ持てていない人 にこそ、このコミュニティをおすすめしたいです。
また、MPH攻略講座では、さまざまなMPHプログラムの特徴を知ることができる ので、これからSPH入学を目指す人にとっても非常に有益な場になると思います。
私は、自分の所属するSPHピアの取りまとめ役 をさせていただいており、今後もこの場を盛り上げ、より多くの人に学びの機会を提供できればと考えています。
コミットを続けることの難しさ
もちろん、課題もあります。 特に、忙しい時期やモチベーションが落ちたときに、どうやって学び続けるか は大きなテーマです。
オンラインでいつでも参加できることは、裏を返せば「参加しなくても何も問題はない」ということでもあります。実際、オンデマンド動画がどんどん溜まってしまった経験 はありませんか?時間が経てば経つほどキャッチアップするのが難しくなり、結局手をつけないままになってしまうこともありますよね。
やはり、ライブで参加すると得られるものが多い と感じます。リアルタイムでのやりとりや、他の参加者との交流が、学びを深めるきっかけになることは間違いありません。
また、途中参加の人が、すでに開催された講座をどうやってキャッチアップし、継続的に学習しやすい環境を作るか も重要な課題です。せっかくの学びの場を最大限に活かせるよう、今後も工夫していきたいと考えています。
オンラインでの学びを継続するための工夫
オンライン形式での学びは、自由度が高い分、継続するのが難しいこともあります。そこで、なるべく積極的に関わることが大切 だと感じています。
チャットで積極的にコメントする、交流会や勉強会ではなるべくカメラオンで参加する、一歩踏み出して発表者になってみる
→ 顔の見える関係ができ、気心知れた仲間が増えることで、続けやすくなる んですよね。オンデマンド動画も「コメントを書くこと」を自分に課す
→ なんとなく流し見するのではなく、コメントを残すために、少しでも前のめりに視聴する意識が生まれます。
さらに、mJOHNSNOWでは 「mjポイント」というポイント制度 があり、発表したり質問したり、前向きに関われば関わるほどポイントが貯まる仕組み になっています。このポイントを貯めることで、また新たな講義を受けられるという素晴らしい仕組みが用意されているんです。
このように、継続が難しいオンライン形式でも、自然とコミットしやすくなる工夫が満載 です。これらの仕組みを活用することで、より学びを深め、長く続けていけると感じています。
学びを重ねて成し遂げたいこと
短期目標
今の一番の目標は、研究成果を論文として形にし、アクセプトされること そして、Rをスムーズに使いこなせるようになること です。
研究を進めるうえで、論文を執筆し、発表できる力 と データを扱うスキル は不可欠です。これらをしっかりと身につけ、研究の質を高めていきたいと考えています。
中期目標:井戸を掘る
さらに、その先の目標として、mJOHNSNOW を通じて研究の新しい「井戸を掘る」 ことに挑戦したいと思っています。
現在は特定のテーマで研究に取り組んでいますが、メンターの先生からは、「研究の井戸は3つくらい掘るといい。一つの井戸が枯れたとしても、他の井戸で研究を続けられる」とアドバイスをいただいています。
特に、RWD(リアルワールドデータ)研究のノウハウが豊富に蓄積されている環境 なので、これまで触れたことのないデータベースに挑戦し、研究の幅を広げていけたらと思っています。
長期目標:専門性の確立と還元
将来的には、自分の専門性を確立し、いつか「専門ピア」を立ち上げること を目指しています。
そのために、自分が本当に武器にできる分野を見つけ、徹底的に磨いていきたい。
そして、学んだことを還元し、パブリックヘルスや臨床研究の発展に貢献できる一員になれたら と思っています。
学びをともにした仲間と
最後に、フェローの皆様とのご縁を大切にしていきたい です。
「あの時は一緒にわいわい楽しかったよね」「あんなことに苦労したよね」と、いつか酒を飲みながら語り合える未来を作りたい。
mJOHNSNOWで出会った人たちと、そんな関係を築けたら最高だなと思っています。