
フランス土産のススメ|その①バター
こんにちは。Gigiです。
フランスにご旅行の際に皆さまはどのようなお土産をお求めでしょうか。
可愛い雑貨、ブランド物、美味しい焼き菓子やチョコレート・・・
挙げればキリが無いフランスですが、私が持って帰りたい味覚その①がバターです。
フランスと日本のバターの違い、その美味しさの根拠を私の独断と偏見を入り交えてお伝えしたいと思います(笑)
フランスバターとは
フランスのバターは最低82%の乳脂肪を含むこと、(日本では80%以上の規定)加塩バター(beurre salé / beurre demi-sel)は、塩分が最大2%まで含まれることが規定されています。
2%というのはかなりの塩分量です。私たちの人間の血液の塩分濃度は約 0.9%に保たれています。点滴で投与される生理食塩水というのは0.9%生理食塩水です。
そのため、一般的においしいと感じる食塩濃度は0.8~1%であると言われています。お酒を飲んでいても1.5%程度が日本人には許容範囲かなと思っています。もしかしたら、フランスのバターを買ってみたら塩辛すぎて食べられなかったという方もいらっしゃるかもしれません。それは上記理由によるものだと思います。
そして、フランスのバターは最大16%の水分を含むと決められています。また、乳化剤や植物性脂肪などの添加は認められていない(100%乳由来でなければならない)ことも定められています。また、発酵バター(beurre cru, beurre fermier)の場合、特定の乳酸菌の使用は許可されています。
また、AOC(原産地統制名称 / Appellation d’Origine Contrôlée)という、フランス国内で特定の農産物や食品の品質を保証する制度やAOP(EUの規格)などその産地や伝統的な製法を守るために設けられている基準もあります。例えば、耳馴染みがある"シャンパン"はフランスのシャンパーニュ地方(Champagne)で生産された発泡性ワインのみが、その名称を使用できます。その他はスパークリングワイン等と呼ばれたりします。
フランスのバターと日本のバターの違い
フランスのバターの規定をなんとなくご理解いただけたかと思いますが、日本のバターと何が違うのでしょうか。
先ずは原材料です。バターを実際に作った方がもしおられるなら、牛乳を攪拌して出来立てのバターの美味しさをご存知かもしれません。私は神戸で生まれ育ち、幼少期の頃、六甲山牧場で容器に入れた牛乳を一生懸命に"しゃかしゃか"攪拌し、初めて出来立てのバターを食べた時の美味しさを今でも忘れられません(笑)
フランスでは、牛の多くが放牧(グラスフェッド)され、自然の牧草を食べて育ちます。日本では、乳牛の多くが穀物飼料(コーングレインなど)を与えられるため、乳脂肪分が比較的低めなのです。
「フランスに持っていくものを準備する」の記事でも少し触れましたが、フランスの地層は石灰岩やチョーク岩で構成されていて、これらの地層は、主に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを含んでいます。
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そのような土地で育った牧草を食べた牛は美味しい牛乳を作ってくれるのです。私はBioスーパーのものしか飲んだことがないのですが、フランスの牛乳は本当に美味しいと思います。日本では、神戸の弓削牧場さんの牛乳と匹敵します。神戸の3ッ星、カセントさんのリゾットでも使用されていましたが、弓削牧場さんは史上最年少でミシュラン3ツ星を獲得したフランス料理界の巨匠アラン・デュカス氏も認めたフェルミエです。ここの牛乳や熟成したプチタローは本当に美味しいので是非ご賞味ください。(地元、神戸推しなので、他にも美味しい生産者さんはいらっしゃると思います。)
話は逸れましたが、フランスの牛乳は弓削牧場さんに負けずとも劣らない、むしろこんな身近に味わえることに嫉妬してしまいそうになるのです(笑)

そして、そんな乳牛を使って作るバターが美味しくないわけがない、と思いませんか?(笑)
フランス人と日本人のバターの消費の違い
美味しいものは美味しいものを食べている人に聞くのが一番の近道、だと私は思っています。日本でレストランに食事に行くときはシェフの好きなお店を伺い数珠繋ぎ的にお伺いしたりします。
フランス人と日本人、どちらもグルメな人が多い印象ですがバターに関しては少し違いがあると思っています。実は、フランスは世界トップクラスのバター消費国なのです。バターの年間消費量(1人あたり)フランス では年間約8kgに対して、日本は年間約0.6kgと推定されています。バターをたくさん食べるフランスでおいしいバターが淘汰されていくのはごく当たり前のように感じるのです。
どのバターが美味しいか
前置きが長くなりましたが、フランスのバター美味しいのかも?と思っていただけたら本望です(笑)
では、フランス土産にはどのバターが良いか?私なりに検証しました。
検証基準は"手に入りやすく日本に持ち帰りやすいバターの中でどれが良いか"です。もちろんマルシェで売っている農家さん自家製のものも美味しものは多いとは思いますが、パリに来て、オススメするなら買いやすさも加味されてしまうのではないかなと思うのです。
やはり、答えはボルディエのバターです。
ボルディエのバターは、フランス・ブルターニュ地方でジャン=イヴ・ボルディエ(Jean-Yves Bordier)によって作られる職人バター(beurre artisanal)です。一般の工業生産バターと比べて、いくつかの特長があります。
通常の工業バターは数時間しか発酵させませんが、ボルディエのバターは乳酸菌で発酵させたクリーム(生クリーム)を最大48時間発酵させます。
また、伝統的な「バラット(baratte)」という木製のバター撹拌機を使って練り上げる。低速でじっくり撹拌するため、水分の分離が少なく、なめらかな口どけになるといわれています。機械ではなく職人の手で成形され、職人が「フレッテ(frette)」という特別な木製のヘラでバターを打ちながら練ることで、空気を適度に含み、口どけの良い滑らかな質感になる。インスタグラムなどで職人が形成する映像をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
検証方法は、AOCのバターなど数種類をボンマルシェで購入し、日本に持ち帰ることを考慮してそれぞれを1パック1€かけて真空パックにしてもらいました。
後日、それぞれの封を切ると、ボルディエのバターのみ滴り落ちる水分が現れたのです。バターの水分量は規定されているので、やはり手作業で形成されるので乳化の際の水分の結合が緩いためなのか、そのための口溶けが良いのか?専門家ではないので確信が持てないのですが、美味しさの秘訣は私が幼少期の頃、六甲山牧場で出来立てのバターを食べたものと同じ意味合いではないかと思いました。
ちなみに、ボルディエのバターはいくつかのフレーバーがあります。

それぞれ試してみましたが、私の中の最適解はDemi-Selです。海藻バター(Beurre aux Algues)は新鮮な魚介を食べる日本人には海藻臭さを感じるギリギリのラインだと思います。トリュフバターや燻製塩バターも美味しいですが、バターの風味を味わいたい方にはシンプルな有塩バター、中でもDemi-Selがおすすめです。
ボルディエのバターは、ボンマルシェやギャラリーラファイエット、プランタンなどで購入可能です。真空にして欲しいときは"Sous vide SVP"「シューヴィッド シルブプレ」で通じるかと思います。
お土産の参考になれば幸いです。
Merci! Bonne journée! À bientôt!