【岐阜市議会】春日井裕之 環境部長が、次期最終処分場建設候補地に三輪北の出屋敷を選定した経緯を説明。

 2024年12月4日、岐阜市議会 定例会 一般質問に於いて、自民岐阜の岐阜市議会議員が、最終処分場に関する質問を行い、その中で、春日井裕之 環境部長は、次期最終処分場建設候補地に三輪北の出屋敷を選定した経緯を説明した。

 質疑の中で、最終処分場の延命問題に関する言及があった。
 最終処分場の延命のための最有力手段は、ごみ焼却灰から「溶融スラグ」を製造し、建設資材や稲作用の肥料として活用することである。
 (山県市は、「一般廃棄物処理基本計画」の中で、「可燃ごみを1とした場合、溶融スラグは重量で約10分の1、容積で約100分の1の減量となります。」としている。)
 しかし、今回の質疑の中では、「溶融スラグ」という語彙は出現しなかった。
 もし、岐阜市役所が「溶融スラグ」を製造し、活用することで、最終処分場が大幅に延命されたら、三輪地域の方々はお喜びになるだろう。

 2014年 第1回 岐阜市議会 定例会に提出され、全会一致で採択された「家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願」には、『「家庭から出る普通ごみ処理の有料化」は 財政的な目的ではなく「最終処分場の延命」が主目的 であると、平成25年10月に開催された ごみ処理有料化制度の検討内容に関する意見交換会 で説明されているが、岐阜市のごみ排出量は明らかに減少傾向であり、今後の高齢化の進展及び人口減少を考察すれば、この減少傾向は続くものと思われる。』との記述があるが、今回の質疑では、大杉一般廃棄物最終処分場 が約8年間延命される見込みであることが明らかになった。

 岐阜市に於いて、「最終処分場の延命」という目的は達成され、ごみ排出量は人口減少やペーパーレス化により減少傾向となっている。
 そして、環境省の廃棄物処理技術情報より、2016年以降は、ごみ処理有料化された自治体もごみ処理無料の自治体も「1人1日あたりの総ごみ排出量」がほぼ変わらず、むしろ、無料の自治体の方が少ない年もあり、有料化すると、事業系ごみが増える傾向があることことが分かっている。

 したがって、二重の意味で、ごみ処理有料化を行う理由は消えたのである。


【 2024年12月4日 岐阜市議会 定例会 一般質問 文字起こし 】

○ 箕輪光顕 岐阜市議会議員 (自民岐阜)
 おはようございます。
 えー、それでは、議長の許可を頂きましたので、1問1答方式にて、大きく、3項目について、質問をさせて頂きます。
 最初に、次期一般廃棄物最終処分場整備事業 について、環境部長にお尋ねします。
 え、日々の暮らしの中で排出される、ごみの適正処理は、市民の公衆衛生、生活環境を支える基盤であり、将来に亘って、推進すべきものです。
 ごみ処理について、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に於いて、市町村は、一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう、努めることが求められており、岐阜市では、焼却施設から発生する焼却残渣の埋め立てを昭和54年 (1979年) から佐野処分場、阿原沖最終処分場、奥処分場、北野阿原一般廃棄物最終処分場で行い、現在は、大杉一般廃棄物最終処分場 が使用されています。
 このように、岐阜市に於きましては、これまでに、5箇所の 一般廃棄物最終処分場 が建設されております。
 最終処分場を含む、廃棄物処理施設は、市民生活に欠かすことのできない、重要な施設ではありますが、いわゆる、「迷惑施設」であり、その特性上、広い敷地面積が必要であることや、周囲に民家等が集中していないなどの理由から、本市に於いては、郊外の山間部に建設されることが多い施設です。
 その中でも、三輪北地域には、現在、使用している、大杉一般廃棄物最終処分場 を含めて、これまでに、3箇所の最終処分場が建設されています。
 大杉一般廃棄物最終処分場は、平成24年 (2012年) 1月から、供用を開始し、当初は令和8年 (2026年) で埋め立てを完了する予定でありましたが、ごみ減量の取り組みにより、現在では、昭和16年度頃に、昭和じゃなくて、令和です、ごめんなさい (笑)。
 令和16年度 (2034年度) 頃に、埋め立てが完了する見込みと伺っています。
 今後、新たな最終処分場が必要になっていくことから、昨年度から、市内全域を対象として、用地選定の検討を始め、今年度、学識経験者等から構成された、岐阜市一般廃棄物処理施設誘致選定委員会 を開催し、最終候補地の選定を行ったと伺っています。
 学識経験者等から構成された委員会の中では、どのような議論がなされ、どのような経緯で最終候補地が選ばれたのか、用地を選定する上で、客観性や透明性が確保されていたのか、気になるところであります。
 また、最終処分場建設予定地とされる地域の住民の皆様は、日々、不安を抱えておられると思います。
 「施設の安全性は確保されるのか?」、「有害物質は流出しないのか?」、「地下水や河川の水質に影響は無いか?」、等、施設の重要性は理解していても、心理的に不安をお持ちだと思います。
 安全性については、日常生活に影響を及ぼしかねない、重要な問題です。
 現在、使用されている、大杉一般廃棄物最終処分場につきましても、安全性を確保するために、様々な対策をとられていると思いますが、新たな最終処分場にも、それらは、必要不可欠なものと考えております。
 また、周辺環境や景観についても、配慮するべきだと考えます。
 近隣住民にとっては、家の目の前に、埋め立て施設ができるのではないかと、不安をお持ちの方も、おられると思います。
 新たな最終処分場を整備していく上で、地域の皆様のご理解とご協力は不可欠なものです。
 地域の皆様の誰もが、安心して納得できなければならないと思います。
 そこで、環境部長にお尋ねします。
 1つ目、最終処分場の現状と三輪北地域に最終処分場が集中していることについて。
 2つ目、どのように、最終候補地が選ばれたのか、その選定経緯について。
 3つ目、次期最終処分場の安全性や、景観への配慮について。
 4つ目、次期最終処分場の整備に向けての、今後の詰め方について。
 以上、4点について、お尋ねし、質問を終わります。

○ 春日井裕之 環境部長
 おはようございます。
 次期一般廃棄物最終処分場の建設候補地に関する4点のご質問にお答え致します。
 一般廃棄物最終処分場は、ごみ焼却施設から発生する焼却残渣を埋め立て処分する施設であり、市民の快適で衛生的な生活環境を維持する上で必要不可欠な施設であります。
 そこで、1点目のご質問、最終処分場の現状と三輪北地域に最終処分場が集中していることについてお答え致します。
 これまで、本市に於きましては、5箇所の最終処分場を建設して参りました。
 その用地につきまして、本市の中央や南部の地域は、平坦で開けた土地ですが、長良川や木曽川の影響により、大部分は、洪水や浸水が想定されることから、最終処分場の建設可能な用地は、北部の山間地域に集中しております。
 その中でも、三輪北地域に於きましては、ごみ焼却施設からの運搬効率等を考慮した結果、これまで、3箇所の最終処分場を受け入れて頂いております。
 三輪北地域の皆様には、長きに亘り、本市の廃棄物行政を支えて頂いており、深く、感謝を申し上げます。
 また、現在、供用中の大杉一般廃棄物最終処分場につきましては、議員ご案内の通り、平成24年 (2012年) 1月から、供用を開始し、当初の計画では、令和8年度 (2026年度) に埋め立てが完了する見込みでしたが、市民の皆様による、ごみ減量の取り組みなどにより、施設の延命化が図られ、令和16年度 (2034年度) 頃に、埋め立てが完了する見込みであります。
 次に、2点目のご質問、建設候補地の選定経緯について、お答え致します。
 次期施設の建設にあたり、令和4年度 (2022年度) には、次期一般廃棄物最終処分場基本構想を策定し、昨年度は、市内全域を対象に法規制などを整理し、建設可能区域図を作成しました。
 その上で、候補地の1次選定では、建設可能な区域の中から、支障となる構造物などが無く、地形が適し、かつ、基本構想に基づく必要面積を確保可能であることを条件として、7箇所の候補地を抽出致しました。
 そして、2次選定では、客観的に評価することを目的として、我が国で広く活用されている廃棄物最終処分場整備にかかる設計要領に照らし、自然条件や、経済性など、5つの観点から、評価項目を設定致しました。
 こうした評価の結果、採点合計が、7箇所の平均点を上回る、3箇所の候補地を選定致しました。
 本年度の3次選定では、学識経験者等から構成された、岐阜市一般廃棄物処理施設用地選定委員会を5月から9月にかけて、計5回、開催致しました。
 本委員会は、客観性と透明性を確保するため、公開にて開催し、その資料や、会議録などを、市ホームページに掲載しております。
 本委員会では、最終候補地の選定方法について、議論がなされました。
 委員の主な意見として、「自然条件の評価項目が多いことは、岐阜市の思いの表れであり、地域の方々に、理解されやすいのではないか」、「処分場に降った雨水を浄化した処理水の合流先は河川よりも下水の方が周辺環境に良いことから、下水放流限定の評価方法が好ましい」などが挙がりました。
 続いて、全ての候補地の現地調査を行った後に、これまでの議論を踏まえ、本委員会に於ける評価項目が設定されました。
 また、候補地ごとの地形に合わせた、施設の配置計画図を作成の上、地域特性などを考慮したより具体的な評価となりました。
 以上により、最も評価が高い、三輪北地域の出屋敷が最終的な建設候補地として選定されたものであります。
 次に、3点目のご質問、 次期最終処分場の安全性や、景観への配慮について、お答え致します。
 現在、供用している、大杉最終処分場では、埋め立てた、焼却残渣に染み込んだ雨水が、場外に流出しないよう、遮水シートを二重に施工しております。
 また、万が一に備えて、漏水を検知するシステムを導入し、リアルタイムで監視しております。
 さらには、周辺に、観測井戸を設け、水質検査を定期的に行うなど、安全性や環境保全に充分に配慮しております。
 次期施設も、大杉最終処分場と同様に安全性を確保すると共に、緑豊かな周辺環境との調和を図るなど、景観にも充分、配慮した施設の整備に取り組んで参ります。
 最後に、4点目のご質問、今後の詰め方について、お答え致します。
 この度の次期施設の最終候補地につきまして、地域の皆様に、ご理解、ご協力を得られますよう順次、説明会を開催して参ります。
 こうした説明会を通して、丁寧な説明を重ね、地域の皆様からご意見を伺い、ご理解頂きながら、事業を詰め、令和16年度 (2034年度) 頃には、次期最終処分場を整備して参りたいと考えております。

○ 箕輪光顕 岐阜市議会議員 (自民岐阜)
 えー、4項目の質問に対し、丁寧に答弁して頂き、ありがとうございました。
 2点について、再質問をさせて頂きます。
 まず、1点目、最終処分場の安全性確保についてです。
 大杉一般廃棄物最終処分場では、雨水が、場外に流出しないように、遮水シートが二重に施工してあるとのことですが、まだ、埋め立てが終わっていない箇所については、遮水シートが、雨、風や紫外線、気温の変化などで劣化していくものではないかと思います。
 遮水シートが健全な状態にあるのか、ないのか、非常に重要な問題であります。
 安全性の確保は、最終処分場に於いて最も優先されるべきだと考えております。
 その辺りをしっかり示して頂かないと、地域の理解は得られないと思います。
 そこで、遮水シートについて、普段から、どのような維持管理がなされているのか、説明を求めます。
 次に2点目、最終処分場の景観への配慮についてです。
 景観については、地域の皆様にとって、非常に関心が高いことだと思います。
 最終処分場は、一度建設されますと、長い間、使うことになろうかと思います。
 仮に、そのような施設が、目の前に建設され、埋め立てを行う姿を、孫の代まで見ながら過ごすことは、地域の皆様にとって、必ずしも喜ばしいものではないと思います。
 答弁では、具体的な景観配慮についての言及は、ありませんでしたので、具体的な対策について、答弁をお願いします。
 以上、2点について、お尋ねし、再質問を終わります。

○ 春日井裕之 環境部長
 最終処分場の安全性の確保と、景観への配慮に関する、2点の再質問にお答え致します。
 はじめに、1点目のご質問、最終処分場の安全性の確保について、お答え致します。
 大杉一般廃棄物最終処分場の、遮水シートにつきましては、まだ、埋め立てが終わっていない、露出した箇所に於いて、日頃の埋め立て作業時の点検に加え、2箇月に1回、場内全体の点検を職員にて行い、細かな傷等が確認された場合は、その都度、補修をしております。
 また、専門業者による点検を年に1度実施し、長期に亘り、安全性が保たれますよう、適宜、メンテナンスを実施しております。
 なお、先ほどの答弁でも申し上げましたが、万が一に備えて、漏水を検知するシステムを導入しており、リアルタイムで監視し、安全であることを確認しております。
 続きまして、2点目のご質問、最終処分場の景観への配慮について、お答え致します。
 景観への配慮につきましては、周辺の豊かな自然環境に溶け込むよう、山間部の谷地の形状を利用して建設することや、施設の目隠しとして、植林をすることなどが考えられます。
 次期施設の建設にあたりましては、地域の皆様に安心して頂ける施設となるよう、来年度以降の基本計画の策定や設計業務の中で、景観にも、充分配慮し、具体的な方法を検討して参ります。

○ 箕輪光顕 岐阜市議会議員 (自民岐阜)
 再質問に対し、ご答弁頂き、ありがとうございました。
 意見、要望を述べさせて頂きます。
 まず、大杉一般廃棄物最終処分場の現状については、答弁にもありましたように、多くの市民の理解、協力による、ごみ減量の取り組みが進み、施設の延命化が図られ、平成24年 (2012年) 1月の供用開始時の計画では、令和8年度に埋め立てが完了する見込みだったものが、令和16年度 (2034年度) 頃に伸びるとのことです。
 更なる、ごみ減量の取り組みを進め、施設の延命化が1年でも長く、伸びることを期待したいと思います。
 えー、最終処分場の建設可能な用地は、洪水や浸水が想定される地域ではない、北部の山間地域に集中することになり、三輪北地域に偏っているとの答弁でしたが、洪水や浸水の被害が想定される時というのは、大雨の被害が起こる時であり、同時に、山間地域に於いては、土砂崩れ等の被害が想定されます。
 用地選定に際しては、都市防災部等、庁内他部署の連携による、情報共有も必要かと思います。
 ところで、今回の次期最終処分場の候補地の手前地帯については、ものづくり産業等集積地計画 があり、先日、農業6次産業化に向けた取り組みとして、市と■■の間で、基本協定の締結が行われました。
 また、ファミリーパークには、少年自然の家があり、多くの子供達が、宿泊研修を行い、近くの石田川では、自然環境の観察を行ったりしています。
 先程も述べましたが、大きな事業展開を図ろうとする時には、庁内各部署との連携が不可欠となります。
 常に、情報共有は図られていると思いますが、一層の連携強化が必要かと思います。
 次期最終処分場の安全性について、答弁を頂きました。
 現在供用中の大杉最終処分場での安全対策等、説明して頂き、次期施設に於いても、同様に安全性の確保を図っていくとの答弁でした。
 技術の進歩は、凄まじいものがあります。
 常に、安全対策には、目を凝らし、既存の安全対策に満足することなく、新しい技術を取り入れるなど、施設の安全確保を図っていかれるよう、要望をしておきます。
 次に、景観への配慮ですが、従前より、利用されてきた、5箇所の処分場の多くは、集落から離れた場所に立地していましたが、次期最終処分場の候補地は、集落から見える所になるかと思われます。
 その点は、充分考慮されるよう、要望をしておきます。
 以前、東京都の武蔵野市に視察に行った折に、市役所の隣に、ごみ焼却場が隣接しているのに、大変、驚きました。
 しかし、外観は全て、木の板材で覆われており、「図書館かな?」と思うような施設でした。
 街中に、こうした施設を建設するには、市民の理解を得るのに、相当な苦労があったとお聞きしました。
 今後、地域の説明会を順次、行っていくとお聞きしていますが、地域住民の方々のご理解、ご協力は不可欠です。
 誰もが安心して納得できる施設でなければなりません。
 懇切、丁寧な説明を心掛けて頂き、進めて頂くよう要望し、1つ目の質問を終わります。

2024年12月4日 岐阜市議会 定例会 一般質問


< 参考資料 >

・ 令和6年度 岐阜市一般廃棄物処理施設用地選定委員会 次期最終処分場建設候補地選定
https://www.city.gifu.lg.jp/info/shingikai/1006964/1006990/1029037.html

・ 一般廃棄物最終処分場(東部クリーンセンター)
https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/gomi/1002344/1002347/1002353.html

・ 【岐阜市議会】家庭ごみ無料収集の継続を要望する請願 (2014年3月27日 全会一致で採択)
https://note.com/gifu_water/n/n674c086499f0

・ 岐阜市ごみ減量対策推進協議会「ごみ処理有料化制度 (事実上の増税) の導入を検討 ⇒ 進捗状況: ほぼ順調」(2024年8月22日 開催)
https://note.com/gifu_water/n/nc6255768cbb9

・【岐阜市】ごみ分別、ごみ処理有料化 (事実上の増税) 関連資料
https://note.com/gifu_water/n/ne0ef8cd2a538

・ 岐阜市環境審議会に於いて、岐阜市役所 環境部が「有料指定ごみ袋を自治会加入者にのみ無料配布する政策」を立案中であることが判明。(2024年11月8日 開催)
https://note.com/gifu_water/n/nc6382f4ba269

・ 『柴橋正直 岐阜市長が、岐阜市議会で「2027年4月迄に、ごみ処理有料化 (事実上の増税) 」の意向を表明。』(2024年12月3日)
https://note.com/gifu_water/n/nb8524779e4b6