【岐阜市】既存のごみステーションを廃止し、休日の市立学校、コミセン、市役所支所等の公共施設を「大ごみステーション」として指定するのはどうか?

 岐阜市では、「ごみ処理有料化 (増税) をするか、しないか」、「今後のごみステーション管理をどうするのか」、「ステーション方式を維持するか、戸別収集方式に切り替えるか」等、住民の間で「ごみ処理制度」について議論が交わされているが、近い将来 (10年以内) 、技術革新により「自動運転のごみ収集車で、ロボットのごみ収集員が、戸別収集でごみを収集する」という世の中になるだろう。

 問題は、上記が実現する「近い将来 (10年以内)」までの過渡期を、どう乗り切るかである。
 現在の岐阜市では、自治会がごみステーションの管理をしており、高齢化、自治会解散、自治会加入率の低下により、自治会によるごみステーションの管理が難しくなっている地域もある。
 また、自治会の加入者と非加入者の間には、ごみステーションの使用を巡って、対立がある。

 そもそも、基礎自治体が、本来、基礎自治体自身がやるべき業務を、自治会に丸投げすること自体が、地方自治法 第260条の2 第6項の違反であり、おかしいといえる。

 自治会側の一部は、岐阜市役所に対し、「従来通り、ごみステーション管理を維持する代わりに、岐阜市役所は自治会に対する補助金を増やすべきだ。」、「自治会加入者を優遇し、非加入者を冷遇する政策をやるべきだ。そうすれば、自治会加入のメリットが生じ、自治会加入率の低下に歯止めがかかる。」と要求している。

 しかし、上記の要求を岐阜市役所が呑んだとしても、自治会加入者 (約5割) と自治会非加入者 (約5割) の対立は解消されず、自治会加入率の低下には歯止めはかからないだろう。

 私は 他記事で、戸別収集方式、「ごみ中継施設 (サテライト・センター) の設置」と『ごみ収集の「デジタル化」』による効率化、人工知能活用 (人件費5%削減) による財源捻出をセットで提案したが、思考実験として、別案を下記に提案する。

 既存のごみステーション (26,767箇所) を一旦、全て廃止し、ごみの収集日を休日のみとし、休日の市立学校、コミュニティセンター、市役所支所等の公共施設の駐車場等を「大ごみステーション」として指定し、住民は「大ごみステーション」にごみを捨てに行き、岐阜市役所は、大型または中型のパッカー車、ダンプカー、トラック、トレーラー等でごみをごみ処理施設まで運搬し、岐阜市役所が「大ごみステーション」の管理を行うという案である。

【 大ごみステーション 候補 】90箇所

[ 市立学校 ] 74校
・ 旧小学校 (芥見南小学校、明徳小学校)
・ 小学校(46校)
・ 中学校(23校)
・ 岐阜市立岐阜商業高等学校(1校)
・ 岐阜市立女子短期大学(1校)
・ 岐阜薬科大学(1校 / 本部学舎、三田洞キャンパス)

[ コミュニティセンター ] 8箇所
・ 東部コミュニティセンター
・ 西部コミュニティセンター
・ 北部コミュニティセンター
・ 南部コミュニティセンター
・ 日光コミュニティセンター
・ 長森コミュニティセンター
・ 市橋コミュニティセンター
・ 北東部コミュニティセンター

[ 市役所 ] 8箇所
・ 本庁
・ 西部事務所
・ 東部事務所
・ 北部事務所
・ 南部東事務所
・ 南部西事務所
・ 日光事務所
・ 柳津地域事務所

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【 ごみ収集日 】
[ 土曜日 ] 普通ごみ
[ 日曜日 ] 普通ごみ、プラスチック製容器包装
[ 祝日 ] 普通ごみ、瓶、缶、ペットボトル

※ 住民は、原則として、缶、ペットボトル、牛乳パック、白色トレー、色付きトレー (エコトレー) を、小売店が設置している回収箱に入れる。

※ 岐阜市のごみ焼却量: 108,000t/年
※ 土日の日数: 104日/年
※ 祝日の日数: 16日/年
掛洞プラント 処理能力: 150t/日
東部クリーンセンター 処理能力: 450t/日
次期クリーンセンター (曽我屋?) 処理能力: 不明
岐阜羽島衛生施設組合 次期ごみ処理施設 処理能力: 130t/日

 上記の案ならば、ごみ収集、運搬に関する費用を大幅に削減し、自治会はごみステーション管理をする必要が無くなり、自治会加入者と非加入者の対立は解消し、住民は「大ごみステーション」まで行かないとごみを排出できないため、ごみ減量・資源化への意識が高まる。
 「ごみ処理有料化 (増税)」よりも、余程、ごみ減量効果が期待できる。
 多くの住民は、土日祝日に、ごみを持って「大ごみステーション」まで歩いて行くことになるので、健康増進も期待できる。
 また、自治会が解散したり、自治会加入率が低下したとしても、全く影響を受けることは無く、岐阜市役所により「大ごみステーション」の維持、管理が行われる。
 問題は、「大ごみステーション」まで、ごみを持って行けない住民への対応である。
 明石市役所は、「ふれあい収集(要援護者ごみ戸別収集)」という政策を実施している。
 岐阜市役所も同様の政策を行い、岐阜市役所の職員が、要援護者に対して戸別訪問し、軽トラック、自動運転車等でごみを収集し、ごみを「大ごみステーション」まで運搬すれば良い。

 上記の政策により、近い将来 (10年以内) 、技術革新により「自動運転のごみ収集車で、ロボットのごみ収集員が、戸別収集でごみを収集する」ことが可能になるまでの時間を稼ぐことができる。

 是非、岐阜市の住民の皆様には、選択肢の1つとして、ご議論頂きたい。


< 参考資料 >

・ 『自治会非加入でゴミ捨て場「出禁」は違法か 最高裁に舞台が移った住民トラブル』(産経新聞 / 2022年11月19日)
https://www.sankei.com/article/20221119-FKMA3YCDORJYPFDEICSBIREQGI/

・ 「自治会脱退者にゴミ捨て場の利用禁止は?」(月刊東海財界 片岡信恒 弁護士の法律相談事務所 / 2023年3月号)
https://www.nagoya-roudou.jp/image/books/202303.pdf

・ 「自治会って抜けてもいいの?高齢化などで担い手不足… 家庭ごみの集積所めぐりトラブルも」(静岡新聞 / 2024年12月15日
[ 静岡新聞 ] https://news.at-s.com/article/1616769
[
Yahoo!ニュース ] https://news.yahoo.co.jp/articles/59d39f8a47a3f7e2dc7fdb2492ec54dd7ef19655

・ 『三菱電機、「自動移動ゴミ箱」を開発 準天頂衛星みちびきを活用』(自動運転ラボ / 2023年6月21日)
https://jidounten-lab.com/u_41835

・ 『「ゴミ収集」を自動運転化!?国が支援を決めた2つの新事業』(自動運転ラボ / 2023年7月15日)
https://jidounten-lab.com/u_42217

・ 『ゴミ収集車を自動運転化!石川県加賀市で来年実証スタート』(自動運転ラボ / 2023年11月8日)
https://jidounten-lab.com/u_43977

・ 「収集作業に自動追尾するごみ収集車、三菱ふそうが実証実験」(MONOist / 2024年08月08日)
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2408/08/news073.html

・ 『自動追尾型EVごみ収集車に関する環境省の実証事業に参画 -電気小型トラック「eCanter」新型モデルをベースにしたコンセプトモデルを開発-』(三菱ふそうトラック・バス(株) / 2024年8月7日)
https://www.mitsubishi-fuso.com/ja/news-main/press-release/2024/08/07/%e8%87%aa%e5%8b%95%e8%bf%bd%e5%b0%be%e5%9e%8bev%e3%81%94%e3%81%bf%e5%8f%8e%e9%9b%86%e8%bb%8a%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e7%92%b0%e5%a2%83%e7%9c%81%e3%81%ae%e5%ae%9f%e8%a8%bc%e4%ba%8b%e6%a5%ad/

・ 「FUSO | 自動追尾型EVごみ収集車『eCanter SensorCollect』:川崎市内での実証実験」(三菱ふそうトラック・バス(株) / 2024年8月7日)
https://www.youtube.com/watch?v=ZJkkL31Xu84