雨上がりのオウンゴール
「どこか具合でも悪いの?大丈夫?」
そう言って隣の席から見知らぬおばさまが顔を覗かせてくる。
「あ、いや、大丈夫です」
僕は引きつるような笑顔で答えた。
「でも、とても苦しそうだし、血の気が引いたように真っ青な顔してるわよ」
「あ、全然大丈夫ですから。本当に大丈夫です」
僕は小さくお辞儀をして窓のほうに顔を向けた。
「それなら良いけど・・・・」
おばさまはそれ以上は何も言ってこなかった。
ポツリポツリと窓に水滴が当たった。僕は空を見上げた。いつの間にか真っ黒な雲に覆われてい