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なんちゃって夢十夜 1.
こんばんは。
椿です。いつだったか、こんな夢を見た。
タイトル:龍の子
鯉のパーカーを着た、人魚の男の子がたまに遊びにくる。
スマホの電源を落とし、さて寝ようかしらとベッドに寝転んだ途端、その柵の向こうで、ちょこんとその子は立っているのだ。
人魚だろうと最初は思っていたのだが、話を聞いているうちにどうやら龍だということが分かってきた。
あ、だから鯉なんだね。と思えば、龍の男の子は、ギザギザのびっしり生えた歯をかぱりと見せて、龍だよ。と細かい訂正をしてくる。いや、だからさ、と思うのだけれど、どうでもいいかな、とも思う。
そういえば龍って淡水魚なんだろうか。それとも海水も行けるんだろうか。いや、魚じゃないけど。
べつに母親って歳でもないのだが(というか、この子の方が年が上の可能性もあるんだが)、この子はたまに私のことを「お母さん」と呼ぶ。
どうして「お母さん」なのか尋ねてみると、子どもに本の読み聞かせをしていたからだと言われた。
あ、だからか。なるほど。
聞いてくれてたんだね。と言えば、こっくりと男の子は頷く。でも私は誰のお母さんでもないんだよ。と訂正しておくと、じゃあそう呼んではいけないのか? というような趣旨の質問をされる。 うーん。呼んじゃいけないってほどでもなさそう。たしかに。とは思った。
呼び名というのは要は誰が誰を呼んだのか分からなくなってしまわないようにするためのものだ。この子しか呼ばないんなら、べつに大して問題はなさそう。
まぁ、いっか。と答えると、
いや、でも、たまににする。
と、逆に遠慮された。それにしても鯉のパーカーってすごく可愛い。パジャマみたいだなぁと思っていたら、親しみやすいだろ? と、イタズラがうまくいった子どものように笑うので、あっと思い当たった。やっと気づいたのである。
この子、たぶんこの前夢で見た白い龍だ。
湖のなかをゴジラみたいに頭を出して、口を開けて、わぁ、サメみたいな歯だなぁ。びっしりー。などと思ったのだ。
そういえばあの時、私は親戚の子供(らしい。現実にはいない)を抱っこしていたから、より一層お母さんだと思ったのだろう。あの時もべつに怖いだなんて思わなかったのだが、この子はそういう細かな配慮ができるらしい。
可愛いね。と素直に思ったままに言えば、そうだろう。そうだろう。と頷いている。可愛い。
どうして会いに来てくれるのかな。と訊くと、続きを気にしているらしい。読み聞かせをしてもらいたいと言うのだ。でももう夜だし。また明日ね。と返せば、承知した。しかしまた夜にも来て良いか。と尋ねてくる。
いいよ。と気軽に返せば、承知。と笑う。かぱり、とまたギザギザの歯列が見える。
やっぱり可愛い。よしよし。おやすみなさい。
※結構前の下書き供養。なので親戚の子は今は存在しています。男の子が無事に産まれました。よかったね。