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円谷英二監督の故郷、須賀川へ(前編)
「M78星雲 光の国」との姉妹都市、須賀川
みなさん、こんにちは。
今月11月12日〜14日まで福島県の須賀川市に行ってきました!
2019年の3月に一度、須賀川に行ったことがあるので、約4年ぶりに来ました。
須賀川は『ゴジラ』(54年)や『ウルトラマン』(66年)などの制作に関わり、「特撮の神様」と呼ばれる円谷英二監督の故郷です。
それもあって、2013年にウルトラマンの故郷「M78星雲 光の国」と姉妹都市となり、JR須賀川駅前にはウルトラマンのモニュメントが立っています。
須賀川市は、円谷英二監督の功績を顕彰し、後世に伝える様々な取り組みを行なっています。
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ちなみに今年、僕は『ワンピース』(97年)の作者の尾田栄一郎先生の故郷、熊本と『進撃の巨人』(09年)の作者の諫山創先生の故郷、大分県日田市に行ってきました。
日田市では、『進撃の巨人』のまちおこしを中心に行っている市民団体「進撃の日田まちおこし協議会」を取材しました。
それぞれ、その作者の作品の魅力を発信する取り組みを行なっています。
各地でやっている取り組みは違いますが、それぞれのクリエイターが手掛けた作品の魅力を故郷から発信する想いは、共通するものがあると須賀川にも来て改めて感じました。
(熊本と大分で行っているそれらの取り組みについては、こちら↓の記事で詳しく書いています。)
円谷英二ミュージアム
では今回は、須賀川で行っている取り組みについて(前編)と(後編)に記事を分けて、一つずつ紹介したいと思います。
まずは、須賀川市民交流センター tette(テッテ)の5階にある「円谷英二ミュージアム」(以下、ミュージアム)です。僕は1日目、こちらに行きました。
このミュージアムは、円谷英二監督の人生の軌跡を辿りながら、特撮の歴史や技術などを中心に学ぶことがきます。パネルや映像インタビューでそれらを紹介しています。
子どもたちに学ぶことの大切さ、挑戦する素晴らしさを伝え、次世代に生きる人々に大きな夢を与える施設です。
また、ミュージアムの奥には「特撮スタジオ」という展示コーナーがあり、かつて東宝撮影所(現・東宝スタジオ)に存在した「東宝大プール」を再現したジオラマと東宝撮影所の第8・9ステージのジオラマがあります。このジオラマでは、ミュージアム内で上映されている『〜夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る〜』(19年)の撮影風景が再現されています。
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井上泰幸展
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今月の11月11日から「井上泰幸展」という、円谷英二監督のもとで長年、美術スタッフを務めていた特撮美術監督、井上泰幸さんの展覧会が行われています。
主に井上泰幸さんが遺した作品の絵コンテなどの資料が展示されています。
以下、資料が展示されている主な作品
・『ゴジラ』(54年)
・『空の大怪獣 ラドン』(56年)
・『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(66年)
・『緯度0大作戦』(69年)
・『日本沈没』(73年)
・『ウルトラQ』(66年)
去年、「井上泰幸展」は東京都現代美術館で行われましたが、今回円谷英二監督の故郷である須賀川でも開催されることになりました。
去年は、数多くの特撮関係者に招待チケットを送って少し大変でした……(笑)
また、今回も東京の時と同様、「井上泰幸展」のキャプション作業などで、特撮系ライターの兄(馬場裕也)が全面的に関わっています。
兄のX(旧Twitter)アカウント↓
https://twitter.com/yu_bb31?s=21&t=ypqAQ7gzHstKf_rMDnr8Tw
去年、東京で「井上泰幸展」が開かれた時にはなかった、井上さんの製図机や『緯度0大作戦』の(ミニチュア修復師の原口智生さんが手掛けた)アルファ号の復元などがあって見所満載でした。
東京で開催された時にもあった、百貨店「岩田屋」を中心とした当時の福岡の街を実物そっくりに再現した『ラドン』のミニチュアセットもあり、相変わらず迫力が大きかったです!
このミニチュアセットを制作したのは、美術監督の三池敏夫さんです。
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こちらの『ラドン』のミニチュアセットの背景の空は、特撮を中心とした実写映画の背景画(山や空などを実景に見えるように描いた絵)の第一人者で、「雲の神様」こと島倉ニ千六さんが描いています。
(最近では、島倉さんは『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(21年)にも関わりました。)
ちなみに、東京で開かれた時にもあった『サンダ対ガイラ』の貴重な絵コンテなどもありました。
今年、僕が所属する『不登校新聞』で『かいけつゾロリ』(87年)の作者の原ゆたか先生にインタビューしましたが、中学時代には怪獣映画『サンダ対ガイラ』の撮影現場で円谷英二監督の側で見学していて、その時感じた熱い想いを僕に語りました。
原先生は子どもの頃から怪獣映画などの特撮が好きで『ゴジラ』や『ウルトラマン』などを観て自身も怪獣映画作りをしていました。
その影響もあって『ゴジラ』などの怪獣映画や『妖星ゴラス』(62年)を彷彿とさせる作風を『ゾロリ』でも窺えます。
『進撃の巨人』の作者の諫山先生も、この漫画で描かれている「人を喰う巨人」の描写は『サンダ対ガイラ』の影響から受けたとインタビューなどで仰っています。
このお二方がこれらの展示を見た時、どのような反応をするか…個人的に気になりました。
(原先生のインタビュー記事など、詳しいことはこちら↓で書いています。)
1日目はミュージアムと「井上泰幸展」を周り、(前編)ではこの2つの紹介をしました。2日目に周った松明(たいまつ)通り、須賀川特撮アーカイブセンターなどについては、また(後編)で!
(後編の記事はこちら↓)
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参考資料:tette公式ウェブサイト、須賀川市公式ホームページ、東京都現代美術館、びゅうたび、美術展ナビ、メディア技術カレントコンテンツ、新潟県立万代島美術館