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U-REIの正体見たり
あれは確かに幽霊だった。
なぜなら足がない、宙に浮かんでいる。
その足がある部分を俺は手でスカスカさせて確かめてみたのだから確かだ。
幽霊だからありませんよ、と女は言った。
でも俺たちがイメージする幽霊の衣装ではなかった。
白い着物で頭に三角のはちまきのようなものを巻いているスタイルではなかった。
その幽霊は、パンツスーツであった。
さらにオレンジの口紅をつけていて、ハイカラだった。
だから、俺は就活生かとぼんやり思っていて、けれどもふと足元を見てみれば何もないから、ああ、これは幽霊なんだなあ、と確信した次第。
幽霊、と俺は話しかけた。
なんですか藪から棒に、と幽霊は答えた。
なぜ俺の前に出てきたのだ、と問いただす。
意味なんてありません、幽霊に思想や心情はなく、ただぼんやりと存在しているだけです。
存在しないんだろ?
人間として存在しないだけで、幽霊としては存在していますよね?見えてますよね?
見えている、が、夢かも知れない。
夢ならばどれほど良かったでしょう。
女はおもむろに歌い出した。
やはり、ずいぶんハイカラである。