曇天のチョコバナナ
梅雨なのに雨が降らない。
梅雨だからって必ずしも雨が降る必要もないとはいえ、不自然な気がしている。
その不自然さは、一種の不安材料になる。
この雨が降らずにいる、空のパワーが一気に放出されて、とんでもない大雨が世界を襲い、人類は沈む。
なんてことはないだろうけど、それに近いことが起こっても不思議でない。
なにしろ、何十年に一度の豪雨は毎年やってきている。
だとしたら、僕らが備えられることはなんだろうか。
災害を経験した町である。
その経験を活かし、未来を、子供達を守らなければならない。
今、すぐにできることは何か。
ハザードマップを確認する。
緊急連絡先を更新する。
備蓄品を用意する。
災害が起こった際の行動を考える。
いくらでもある。
僕が行動するとしたら、今日はチョコバナナを作ろう。
曇天の空の下、チョコバナナは、甘ったるくて体に染みわたっていく。
チョコバナナを頬張りながら、僕は大雨を降らせる雲、その上に座っている雷様を想像する。
きっと彼も、チョコバナナを頬張っているに違いない。
チョコバナナは伝染するし、雷様だって、一度見かけたら頬張りたくなるものだから。