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せんべろは正義だ
それはまるでサイコロゲームの楽しみ。
制約がある中で楽しむ大人の嗜みである。
1000円でどれだけ楽しめるか、という類の遊びは人生において彩りをもたらしてくれる産物である。
この店は、おでん二種と、やりとり三種を選べ、飲み物一杯という。
上等である。
僕は、上司に誘われて、この店に来たわけである。
いいセットだなあ、これで千円なんて信じられない。
まず、おでんは何にするか、考えどころである。
卵は外せない、もう一品、が問題である。
大根は間違いない、こんにゃくも捨てがたい。
ジャガイモ、という選択肢もある。
けれど僕が選んだ種は、厚揚げ、である!
この豆腐のもたらされる産物を、僕はおでんに消化された豆の末路を、見届ける義務がある。
というわけで、厚揚げを頼む。
次は焼き鳥であるが、これがもうなんでもいい。
上司がささっと決めているようなので、それにのっからしてもらう。
すなわち、同じもので、というだけで上司の好感度は爆上がりである。
多分。
そしてやってきたそれを食べてせんべろ、成立である。