![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156834921/rectangle_large_type_2_25d1ee62b44fd790ca62ddbdbdd9b918.png?width=1200)
折りたたむたびに傘は
折りたたむたびに傘は、ひどく痛そうなうめき声を上げる。
傘は歯を食いしばって耐えるような、みぞおちを深く突かれたような、耳をちぎられたような、鼻からスイカを入れられたようなうめき声を上げる。
そして僕は、それでも折り畳み傘は畳まなければその意味をなさないから、傘のうめき声を無視して折りたたむのだ。
すると傘は弱々しく語りかける。
「それでいいのかお前は、折りたたむだけでいいのか俺を、もっとやることがあるんではないか、俺は知っているぞ、お前の全てを知っている、その情報を暴露しようと思う。それが嫌なら俺をたたむのはやめよう、たたむのをやめて大きく広げるべき」
傘がそう言うので、僕は畳むのを止めて傘を広げた。
空に虹がかかるように、傘のうめき声は止み、反対に傘は鼻歌を歌いだす。