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凝縮された睡眠は群れをなして

睡眠を取らなければ人間は生きていけない。
それは知ってる。
同時に人間はその環境に適応する。

避難所夜勤、三日目である。

まとまった睡眠をとることができないのなら、隙間睡眠は徐々に凝縮されていく。

ある睡眠は、1匹の魚である。

その小さな魚は大海で、とても弱い存在である。

すぐに天敵に見つかり、追い立てられる。
日々、戦々恐々として、逃げ回っている。

もう1匹の睡眠が生まれる。
か弱き存在は協力することで、その世界で生きながらえようとする。
当然の選択だ。

さらに1匹、1匹、1匹。

気づけば睡眠は群れをなし、その胎動を待ち構えている。
すでにか弱き存在ではなく、組織として、周りに影響を与え始めている。

本人はまだ、気づいていない。
あくまでも個人として、固まっているだけである。
脆く、儚い組織なのである。
そこにルールも習慣もない。

ある日、赤い睡眠が生まれる。

彼は他の睡眠と容姿が違う故、蔑まされ、囃し立てられる。
その睡眠の名を、スイミーという。

スイミーは悩む、僕のように目立っていてはすぐに食べられてしまう。
僕は異能の、出来損ない。
何のために生まれてきたのだろう。

スイミーにそっと耳打ちする高齢のフジツボがいた。
お前はあの組織の目である。
お前が率いるのじゃ。

スイミーは睡眠の群れの目となる。

途端に群れは巨大な意志をもつ存在となり、大海を優雅に泳ぎ回る。

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