うろこをとる
下処理としてうろこをとる必要がある。
うろこがあると触れた時に痛い。
とてもじゃないが、触れることさえできない。
鱗はそれぞれが鋭い刃物みたいになっていて、撫でようものなら皮膚を切り裂いていく。
また、うろこを取ったからといって死ぬわけではなく、うろこはすぐに再生する。
少しの間、うろこのない肌になるだけだ。
当然、うろこは服みたいに、外敵から、環境から、本体を守るためのものである。
無防備であることに変わりはない。
だからその間は、大切に守ってやる必要がある。
うろこが再生するまでの間(ほんの数時間だ)、彼女は寝室に閉じ込めておけ。
きっと外に出たがる、けれどいけない。危険だ。
彼女は自覚がなさすぎる。自分の魅力と、この社会の構造、欲望の深さを。
うろこをとるのは当然、触れるためで、我々は触れ合うことを楽しむ。
それは彼女が望んでいることでもある。