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ガムシロップを珈琲ゼリーに

ガムシロップを珈琲ゼリーに入れるまでもなく、バニラアイスが溶けているからすでに甘くなっている。
ガムシロップなんて必要ないよ、と僕はおもうけれど、君はそれを最後にいれて、甘ったるいそれをストローで啜っている。

周りの人はランチメニューの、パスタやら、日替わりサンドやら、ピザやら、幸福の香りをたてて微笑んでいる。

ランチは別として、僕らはもうすぐ席を立ち、母の日のプレゼントを選ぶことにしている。

それ以上でもそれ以下でもなく、今の状態をもう少し楽しみたい。

そう思わない?

お冷がなくなれば、気を配っている若い店員が注ぎにやってくる。
おかわりの珈琲は割安だけど、もうたぷんたぷんになっているから、必要ないし、ケーキもとてもいい味で、最後に少し残った珈琲ゼリーはバニラと渾然一体となって、甘さのハーモニーが聞こえる、と、僕は天井を見上げるとそこに、コーヒーの神様がこちらを見下ろしていて、この店は神様に愛されているんだなあ、となんとなく思ったよ。

コーヒーゼリーの下に置いてあるコースターはシンプルな真っ白で丸く、珈琲の色を引き立てていた。

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