個人のブランドについて考えてみる
はじめに
本日は、タイトルにある通り「個人のブランド」について、書いてまいりたいと思います。
まずは、なぜこの記事を書こうと思ったのかについてお伝えした上で、個人のブランドを作っていくために必要な観点を挙げて、それぞれについて、具体的に自分自身のことを振り返りながら、私なりの「パーソナルブランド」を固めていければと考えております。
なぜ、個人のブランドを作ることが必要なのか
まずは、なぜ個人のブランドについて考えようと思ったのか、の経緯について簡単に。
私は、今年から会社員を辞めて、フリーランスとして働き始めることに決めました。これまで、約10数年IT業界を中心にシステムエンジニアやITコンサルタントとして業務に従事してきました。アサイン先となるのは、所属する会社と信頼関係を構築してきた既存クライアントの場合もあれば、これまでの会社実績を踏まえ、新たな事業やサービスを開発したいと考える新規クライアントもいました。そこで重要なのは、お仕事をもらう上で、あくまで「会社」という主体があり、実績や関係性といった点が仕事を発注するか否かの判断に大きく関わっている、という事実です。クライアントにサービスの提供をするのは、そのクライアント先にアサインされたチームであり個人ですが、お仕事をとるという段階においては、個人のブランディングというのはかなり限定的だと思います。
一方で、フリーランスの場合は、「会社」というブランドがありません。仕事を受注する上での判断材料となる「実績」や「関係性」などはほとんど皆無の状態からスタートすることが大半だと思います(過去に一緒に仕事をした人たちからオファーをもらって働くなどの場合は除く)
そうした時に、これまで以上に自分自身のスキルの強みであったり、どのような人間なのか、どのような人材なのか、どんな成果を残してくれるかなど、フリーランスとして活躍するために、自分自身をよりアピールするための「ブランディング」が必要だと感じました。職務経歴書などの、列挙的な情報の整理だけでなく、クライアントに対して、より端的に自分の独自の価値を示す必要があると考えたことから、個人のブランドを考えようと思ったきっかけとなります。
個人ブランドを考えるにあたって
個人のブランドを考えようと思ったわけですが、そもそもブランドとは、というところを自分なり理解する必要があるなと感じたので、まずは言葉の意味を定義したいと思います。
先日参加したWebセミナーで、ブランドコンサルタントの上條氏の説明が端的で良かったのでそちらも書いておくと、ブランドとは「頭の中で作られ、存在するもの。頭の中にあるイメージの貯金箱であり、ブランドロゴはその貯金箱のカギである」というような表現をしておりました。個人のブランドと置き換えると、その人自身の持つ独自性や特徴を他者にどのようにイメージしてもらうかを考えることが、個人ブランドを作る上で重要な点となりそうです。
上條氏はそのセミナーで個人のブランドを考えるうえでの主な観点を5つ挙げてくれました。
1.機能的な特徴・長所・強み・自慢・ウリ
2.情緒的な特徴・長所・強み・自慢・ウリ
3.志・やりたいこと
4.活動すべきこと
5.社会に提供すること・感じてもらいたいことなど。
後段で、上記の観点について自分自身を当てはめつつ考えていきたいと思います。
個人のブランドを考えてみる
1.機能的な特徴・長所・強み・自慢・ウリ
これは、スキルや経験といった目に見えて捉えやすく、わかりやすい価値基準(例えば職務経歴書に書きやすい)部分を指しています。私でいうと、
・システム開発の経験や知見
・金融業界の業務知識
・コミュニケーション能力
・ロジカルシンキングや仮説思考といったコンサルスキル
・IPAの高度試験合格レベルの知識
などがそれに当たるかなと考えております。
これらは、よくプロジェクトの参画要件として記載される事項でもあると思います。これらの価値は表現しやすい一方で、代替可能な価値とも言えます。それこそ上記に挙げた経験やスキルを保有する人はたくさんいるだろうし、レベル感も個別の内容で見た場合、私よりも高いスキルを保有する人は数多くいると考えます。これらの人と差別化していくには、機能的な価値の追求だけでなく、次に挙げる、情緒的な価値に目を向けることで独自性が高まっていくと考えられます。
2.情緒的な特徴・長所・強み・自慢・ウリ
情緒的な価値とは何かといえば、例えば、「あの人がいると職場が明るくなったり、和んだりするよね」だとか「チームに活気が生まれる」とか「あの人と仕事をすると面白い」みたいなことが情緒的価値といえるようです。言語化するのは難しいけど、これってまさに唯一無二の価値だなと直感的に感じますよね。その場において「かけがえのないの存在」になることが価値そのものなのかなと思います。
自分はどうかと振り返ってみると、うーん、、、実に難しい。
こういうのっておそらく自分自身では意識的に再現している価値ではなかったりするので言語化したり、提供する価値として明示するのが難しい。
なので、まずは今まで他者から言われた自分の気づかなかった一面や、社会人となり、会社での評価の際に定性的な面でフィードバックされたことをヒントに振り返り整理してみました。
リベロという強み
私がこれまでフィードバックとして受けた評価として意外な自分の一面だなと感じたのは「リベロ的な動きができる人」でした。
「リベロ」とは、サッカーやバレーボールのポジションの名称で耳にしたことがある人がいるかもしれません。サッカーで言うと「自由な人」、バレーボールで言うと「守備専門のスペシャリスト」。どちらの意味で使われているのかなーというのは確認したことはないのですが、共通する部分としては組織やチーム内で誰よりも駆け回り、サポートに徹する存在なのかなと思います。(ちなみに学生時代からサッカーをやってきてますが、ポジションはキーパー以外はほぼ全てやりました。それこそ体力だけは自信があったので、ピッチを駆け回っていたw)
具体的なエピソードとして1つ印象的に覚えているのは学生時代。確か高校3年時の担任の先生からいわれた言葉です。当時の私は、お調子者で、ザ・目立ちたがり屋だったと思います。一方で仲良しグループで固まるみたいなのは好きじゃなかったので、分け隔てなく誰とでも一定に仲良くなれるという特技があったと思います(本当に仲良かったのかはわからないですがw)担任の先生ともよくおしゃべりをすることも多く、ふと先生から「〇〇はクラスの潤滑油みたいで、なんか険悪の雰囲気になりそうな時に場を和ませたり、誰もやりたがらないことに率先して手を挙げたり、意見をうまくまとめてくれたり、うまくクラス運営が進んでいるのは私のそういった行動の賜物(らしく)、担任としてもとても助かっている」というありがたい言葉をもらいました。当時はもっとカリスマ的になりたいという思いがあった気がしますが、ただクラスには絶対的に先頭に立てる友人がおり、「そいつと同じ土俵で戦っても目立てないよな」と正直感じていたと思います。だからこそ、自分にしかできないことを何かやろう、という思考からそういったバランスを見て立ち回る考えや行動につながったのかなと思います。(目立ちたいという目的は達成できなかったけど、色んな人から相談されるポジションになっていったので自己肯定感はそれで満たされていた気がしますw)
この側面は社会人になってから、今の仕事にも大いに自分の評価につながっているのかなと感じています。プロジェクトを推進するうえでも、どちらかというとマネージャー・リーダーの補佐ポジションで力を発揮できるのも、こういった原体験があり、その考え方や行動指針が根っこにあったからだと思いました。
チャラいという強み
もう1つの私のイメージとして、言動だったり、姿勢だったり、行動だったり、醸し出す雰囲気が一昔前の言葉になりますが基本的に「チャラく」みられがちだなと感じています。(見た目や行動でいうと、金髪でTシャツ、豹柄パンツ、スニーカー、週末は大体海で遊んでるので反論の余地なしw)
ただ、チャラいにも良い面と悪い面があると思っていて、こと仕事の取り組み方に関しての良い面として、例えば難しい課題にぶつかった場合、重苦しい雰囲気になり塞ぎ込み思考停止するのか、逆に深く考え込まずにドキドキやワクワクを感じて「おもろい」と言ってやるしかないでしょ!と周囲を和ませるのか、どちらが良いと思いますか?私は後者を選びます。
困難に直面した時ほど、あえて軽薄に明るく振る舞うことで、周囲に無駄な不安を与えずに、前を向いて困難な壁を越えていこうとポジティブを生み出すことで良い方向に進むのであれば、私は自分のチャラさを有効活用するしかないなと思っています。
チャラさの有効活用で言うと、ギャップをうまく使うことも重要だと思います。通常時とここぞと決めた勝負どきに、少し言動を鋭くしたり、態度を強張らせると、説得力や言いたいことがより伝わると思います。これを私は「チャラ賢い」と命名していますが(笑)、TPOに応じた使い分けがもちろんビジネスの文脈しかり、プライベートでも重要なのではないかと考えています。
これは、実際一緒に働く同僚に何度か言われてきたことですが「責任ある難しい仕事をしているはずなのに、とても楽しそうに仕事しているし、いつもは朗らかな感じが、クライアントも前にして時に鋭く喋る感じが勉強になります。こっちも謎にやる気が出てきましたw」ということを言われたことがあります。
そもそも前提に仕事=楽しくない、真剣に取り組まないといけない、が多くの人の心なかにどうしてもあると思っていて、もちろん楽しくないこともあるし、真剣に取り組むことは必要。でも、そこに笑顔やユーモアがあってはいけない、ということではないと考えています。自分の人生の大半の時間を使い、生活を充実するためにはお金をただ稼ぐのではなくて、仕事自体に面白みや楽しさを感じて、それはただうまくいくことだけではなくて、時に困難や障害とぶつかって、それを越えていくために創意工夫を凝らして、立ち向かうから面白くなると思うのです。
「チャラい」という表現が、ネガティブに捉えられやすく、それこそ表現が軽いので受け入れられることが難しいかもしれませんが、私のこのスタイルが1つの価値なのではないかと振り返ってみて感じたところです。
3.志・やりたいこと
機能的、情緒的強みを整理してきたので、次に自分の志・やりたいことについて考えを整理してみました。
・自分の大切な家族を1番に、やりたいを一つでも多く実現する
・住んでいる地域の人たち(特に自分より若い世代)に貢献する
・できないことはないことを体現するロールモデルのひとりになる
これらは、成長するなかで固まってきていて、自分の生きるモチベーションになっているのかなと考えます。
(それぞれについて、どうしてそのように考えるに至ったかを説明したいのですが、だいぶ長くなってきたので、また次の機会にしたいと思います)
4.活動すべきこと
ここは、まだ実際に行動ができていない部分もあるのですが、上記のやりたいことにつながることとして、以下の3つを考えています。
・地域のこと・人を知る機会を設ける
・仕事外でのコミュニティにも積極的に関わり、知見や見識を広げる
・自分の考えをいろいろな媒体(SNSやイベント登壇など)を使って発信
5.社会に提供すること・感じてもらいたいことなど。
個人が社会に提供できる価値はなんなのかと考えたときに、私は人の可能性を提供すること、だと考えます。
個人というその人は、唯一無二であり、その人の人生(物語)はその人だけのものです。自分の人生は自分しか歩めない。逆に、どんなに羨ましくても人の人生を歩めません。
ただ、自分の物語を多く語ることで、それを追体験し、自分にも何かできるんじゃないか、もっとこういう生き方や人生が送れるんではないかと可能性を広げることができます。
昨今、SNSが普及し、一人一人の価値観や考えを表に出すことが簡単になりました。それ故なのかわかりませんが、個人の考えはより多様化し、また社会もそれを受け入れる土台が構築され始めてきていると考えます。
そして、私自身、常々思っているのは個人でできることは非常に限られているし、影響を直接的に与えることができる人の数も限られています。ただ、その現実に悲観するのではなくて、まずは目に見える世界を自分の力で少しでも変化を起こしたという実感を作ることが重要だと思います。変化は波のように波及し、自分の想像のつかないような大きな流れとなることもあります。何が言いたいのかというと、それだけ個人の行動や考えが反映される可能性が高い世の中になっているということです。
自分の1つの勇気や挑戦が、身の回りの社会を良くも悪くもしていけるという自覚を持ち、まずはそれを私自身が体現する。そして、1人でも多くの人にポジティブな変化をもたらすことで、個人のパワー、可能性を感じてもらう。昨日より今日、今日より明日が一人でも多くの人にとって、より良い景色を作ることに尽力していきたいと思います。
つまり、社会に、個人に無限の可能性を提供することが、私が社会に、将来のために提供するものだと思っています。
まとめ
大変な長文になってしまいましたが、私自身のブランドを作るにあたって考えを整理する大変良い機会になりました。
私なりに、今回考えた内容を整理してみて、1つ個人のブランドコンセプトのようなものが具体化したので、まとめとして書いておきたいと思います。それは、
”自分らしさ追求”から、人と社会の可能性を広げる」
個人の機能的価値はパーツ。情緒的価値は潤滑剤。どちらも個人だけでは力を発揮できない。
個人としての強みは、集団の中で価値を組み合わせることにより力が発揮される。
そして、その影響を相互に受けることにより、集団や個人の可能性を継続的に広げ続けることができる。それを私自身が体現し、モデルとなる。
まだまだ荒い部分はありますが、私のパーソナルブランドの根底が少し固まったなということで、皆さんも自分の根底を探るのに、個人のブランド作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?
早いもので2024年1月も最終日。
皆さん、健康には気を付けつつ前のめりにおもろいを追求していきましょう!!
それでは、また〜♪