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ライン随想録 修学院離宮と秋の京都・97
1997/11/11 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより
随想録
10月の後半2週間ほど、休暇でスイスから日本に一時帰国した。
知り合いにお会いしたり、楽しく過ごしたが、春に続き京都に2日ほど、足を伸ばした。
新幹線の京都駅前の、新みやこホテルに泊まれたので、足の便が良かった。
今回はあらたなにできた、京都駅ビルをお仲間とみたり、地下鉄・東西線にも乗車してみた。
若干、天候が崩れるときもあったが、まずは暖かく、良い天気に恵まれた。
今回は、知り合いの人のご好意で、修学院離宮を拝観することができた。
前もって、はがきを送り、指定の日に指定のメンバーで参加しなければならないという。
外国から短期間訪問するものには、困難をともなう拝観である。
当日は、地下鉄で、国際会議場まで行き、11時の参集時刻まで、時間のゆとりがあるので、徒歩で修学院離宮まで歩いた。
このあたりは石川丈三の詩仙堂や、曼殊院門跡、赤山禅院などの、著名なところが点在している地域である。
11時すこし前に、離宮に到着すると、すでに30人ほどの見学のお仲間が、控え室で離宮紹介のビデオを見ていた。
外国人客が8人程度、日本の女性客が大部分であった。
こういうところでも、女性上位であるらしい。
修学院離宮は京都御所、桂離宮とならび、宮内庁の管理するもので、通常の京都の観光地とはちがったたたずまいである。
17世紀の前半、後水尾上皇が比叡山の南西麓につくられた山荘で、すばらしい庭園がよく知られている。
われわれは案内の宮内庁のひとに導かれて、下茶屋、書院寿月観、中茶屋、楽只軒、などを拝観した。
ハイライトは京都の市街が一望のもとにみられる高台にある上茶屋で、ここの隣雲亭からは人口の池・浴竜池はじめ、鞍馬・貴船・西山の連峰を望むことができた。
この池の周りは多くの紅葉の木に覆われていたが、われわれが訪れたころ紅葉には若干早く、11月の後半が見頃ということであった。
それにしても、こうした木造の離宮と、繊細な庭園を維持管理するには、造営に匹敵するまたはそれ以上のコストがかかるものといささか、同情の感を禁じ得なかった。
隣雲亭のちょうど眼下、池のほとりに、高さ20mくらいの枝振りの良い黒松が立っていたが、松食い虫のためか、8割かた赤茶けて枯れており、この修復に膨大な資金がかかるのではないかと心配になった。
修学院離宮はちょうど徳川幕府の勃興期に天皇、上皇となられた後水尾帝・上皇の造営になるものである。
公家諸法度の制定などにより、京都に対する徳川幕府の締め付けが、厳しくなる中、庭園、離宮に、宮廷の和歌と、みやびの世界が展開されていったものらしい。
松の一本、一本にも、細やかな心配りがなされていた物のようである。
約、一時間半ほどで離宮拝観は終わったが、お仲間と近くの「平八茶屋」というところで、とろろご飯をたべた。
また、今回の京都訪問では、「鴨川おどり」をみたが、平日の4時ころ開演というのに、観光客で満員の入りとなったいた。
第一部は、秀頼と、千姫のはなし、第二部は、紅葉の京都と舞子さんのおどり、という出し物で、約2時間の公演であった。
外国人のお客が半分か、3分の一くらいを占めていた。
舞台の舞子さん、若い芸子さんも美しかったが、舞台左手の、じかたのお姉様かた、40-50歳くらいであろうか、背筋をぴんとのばして、正座し、三味、謡を担当していたのが、印象的だった。
総勢、15人くらい、黒、ベージュの着物を着て、笛、鼓、小太鼓を扱っていた。どのような人生を送ってきた人たちなのであろうか。
観客席にも、お座敷前の、先斗町のきれいどころが、数多くつめかけていた。
今回も、京、錦市場に繰り出して、「高倉屋」という漬物屋さんでたっぷりと京漬物を買い込んだ。
しば漬けや、ゆず大根、壬生漬け、といった類の物である。東京に帰ってから、日本酒でこの京漬物を味わってみた。
ワインと、チーズの採りあわせのように、日本酒と醗酵した漬物の採りあわせが、絶妙であり、ほかになにもなくとも結構楽しめた。
京・漬物は東京でも大量にでまわってはいるが、京都の老舗で、求めたものの方がおいしいような気がする。
当然のことかもしれないが、今回の訪問で京都はみやこの顔、と地方都市の顔を二つあわせもっているような気がした。
また、当然ながら京都は日本の他の地域との、結びつきで生き延びようとしている。
例の京都駅ビルも大津・高槻など周辺の顧客を引き付けようとすると共に、東京・大阪・名古屋からの観光客をも取り込もうとしているのが印象的だった。
東京ー京都、のぞみ号で二時間半ほど、週末だけの往復も可能である。さらに今回驚いたことに、新幹線・座席指定券の自動券売機というのが、東京、名古屋、京都、大阪に設置されており、みどりの窓口にならばなくとも、指定券が買える。
日本はいつもめまぐるしく変化しているので、時々様子をみに行かないと取り残されてしまうような気がする。
古い京都の町並みと、今回訪問した、修学院離宮はいつまでも変わらないでいて欲しいものである。
老齢プログラマの所感
私も古い公園を歩くのが好きです。
労務関係書類を飯田橋ハローワークに提出した帰り道、良く小石川後楽園に寄ったものです。
わずかな費用で、こじんまりとしてはいるがよく手入れされた東京の真ん中の日本庭園を楽しむことができます。
江戸時代の水戸家の御曹司であっても、この庭園を楽しむ機会はそんなに何回もあったわけではないでしょう。
しかし、現代に生きる私はどこの庭園でも楽しむことができることを感謝しています。
補足
上の記事は1997年頃の「ライン随想録(井浦幸雄さん)」の復刻版です。
当時、私の故郷の住職の遺作「おふくろの味」を井浦さんがWebに載せて下さり、今は住職の息子によって公開されています。
当時、このようにお世話になったことを思い出し、復刻していました。
ある日突然、「ライン随想録」の目次が検索で見つかるようになりました。
しかし、ここから記事へのリンクが途切れています。
これが理由で、今まで検索しても表示されなかったのかもしれません。
そのため、復刻作業は今までどおり続けることにします。
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