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ライン随想録 クイーン・エリザベス二世号航海記- その2(大西洋上およびスイスから)

1997/7/28-8/4  ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより

随想録

7月25日。
スイス・バーゼル発、12.45分バーゼル空港BA743便にて、ロンドン・ヒースロウ空港へ、バーゼ ルのお仲 間、スイス人のトーネイ、ロイチンガー夫妻と同行。
タクシー約30分で、ホテル・グロスターへ。
この 日25日(金) と26日(土)は休養日。
知り合いの人に夕食をつきあってもらう。
土曜日、ニューボンド・ストリ ートでセーターを購入、9 9ポンドを三着。

7月27日。
11時に荷物をルーム前にて、あつめてくれる。
12時、バスに乗り込み、South Hamptonへ。
約1時間 半で、到 着。快晴。
バスを降りるとチェックイン・カウンターで約一時間も待たされ、ようやく乗船となった。
受付は かなり年配の人 が、働いており、コンピューターは不得意そうで、さすがQE2ならではと妙な感心をした。
クレディッ ト・カードの登録が強制さ れ、船の中では、現金を使わない由。
乗船のときに記念の写真を撮られ、後に一枚6.7US ドルで買い求めた。
乗船に際して、 若いスチュアードのひとが、部屋まで案内してくれたが、この人が船内を4回も間 違え、人に聞いてばかりいたのが、印象に残 った。
仕事を始めて、まだ2度しかQE2に乗船していないとのことだった。
7万トン、13階建てのこの豪華客船は、船客150 0人、乗組員1000人、まさに、海に浮かぶ都市と言った感じ である。

われわれの部屋は上の中くらいのクラスで外がよくみえ、バスもついており、食事をするところもPrincess Grillと いう高級な ところで、いたれりつくせり、やや贅沢だったかなという気もした。
一生に何回も来られるわけではないから、まあいいかと言う感じであった。

3時ころに乗船をし、昼を食べていなかったことに、気がついたので、コーヒー・ショップでサンドイッチを食べ、出 港を待っ ていたところ、ライフ・ベストの着用訓練があると言う。
各船室にある黄色の救命胴着を着用して指定の集合 場所に集まるよう にとのこと。
部屋のどこに救命胴着があるかみつけるのも訓練で、われわれの集合場所カロリナ・グ リルを見つけるのも大切な ことだった。
人員を確認し、救命胴着の使い方、笛、発煙筒の使い方などを習った。
出港する前に訓練するのも気に入った。
ま た、航海中に乗組員だけの訓練にもなんどか遭遇した。客・乗組員も変わるので、 訓練は欠かせないものらしい。

約30分遅れて、7月27日、日、午後5時半South Hampton出港、5泊6日の船旅が始まった。
船上の生活は自分の ペースで 過ごせば良いが、行事が盛りだくさんで、いろいろ参加してしていると忙しい。

今後、QE2の設備、いろいろな行事、出会った印象に残った人々、などおはなししてみたいが、今日は皆様に感心のある、QE2からのE.Mail発信について書いてみたい。

QE2には、Radio Roomという通信室が最上階のデッキにあり、Epsonの2-3台のPCを使い船客が通信衛星経由で Telefaxおよび E.Mailを送ることが可能であった。
各自の船室からは同じく通信衛星経由で国際電話も可能である。
料 金も若干高めであるし、 ゆとりの船旅でビジネスの電話、Fax, E.Mailを送受することもないが、緊急の場合には役に 立つに違いない。
通信室に行き、 E.Mailを送りたいと言うと、Epsonの機械のところに、案内してくれる。
自分で英文 の本文を打ち込み、E.Mailアドレスを書く とそのまま、送信してくれる。
同文を複数のアドレスに送ることもできる。
発信もとは、QE2@SUPER-NET.COMで、自分の船室番 号をかいておくと、再度受信したE.Mailはプリント・アウトし、 部屋までとどけてくれる(封筒をドアの下に滑り込ませる)。
これにより、10本前後のE.Mailをやり取りしたが、大 西洋の船上から北米、ヨーロッパ、日本の人と瞬時に交信できるのが、 不思議であった。
なお、QE2船上では、約10台 のPCを設置した、コンピュータ教室が随時開かれており、一日3回ほどの講習 会には、ほかの遊びに飽きた人が押すな 押すなの大好評であった。
このコンピュータ教室でおしえてもらいディスケットに入れ たE.Mailを電信室から送ること も可能である。
ただ、E.Mailを送るのを好まないひとは、船上で買った絵葉書にせっせと文章を 書き、船のメール・ル ームにもっていけば、QE2からと言うスタンプを押して、到着後NewYorkから送付してくれる。
多くのひと はこれで十分 と思う。

NewYork到着後、滞在したDrake SwissHotel(56th・ParkAvenue)では、各室にファックスが設置され、部屋ご との使っ た料金の明細、NYTimes,Wall Street Jounal、Eibun.Yomiuriの記事が無料で入手できた。
また各部屋か ら外部へのファック スの送信も可能で、ビシネスには便利と思った。
すでにNY,London,Tokyoでは、出来ているのかも しれないが、部屋ごと、また は、ビジネス・センターでInternet Cafe のような施設を作り、希望者がE.Mailを送れ ると便利と思った。
それがなければ、 まちのInternetCafeにいけば良いが、慣れないところで探すのもたいへんだろう。

QE2の船上では、South Hampton出港の折りと、NewYork入港の折りにほぼ全員の船客がデッキに集まり、港の様子、 まちのたた ずまいを船から眺めていた。

前に、申し上げたとおり、順次、行事、食事、エンターテインメント、船室の状況、ゆれ具合など、お話してみたい。

老齢プログラマの所感

随想録の趣旨とは違いますが、
「7万トン、13階建て、船客150 0人、乗組員1000人」とは驚き。

豪華客船クイーン・エリザベスとはいえさすがに27年前、現在のメールと比べて不便なようです。
でも、普通の施設ではもっと不便だったのでしょうね。

当時の日本のメールなどの通信状況を思い返してみます。
90年代後半はパソコン通信全盛時代で、そこにインターネットというものが現れました。
今になって考えてみると、インターネットに浸食されてパソコン通信の衰退が始まった頃でしょうか。

ここから簡略化した技術的な話をします。
簡略化し過ぎでわかりにくいかもしれませんが、お許し下さい。

インターネットとは、データをパケットに分割して最適な回線を選んで送る通信技術であり、従来の音声通話は音声回線を独占して送る通信技術です。
音声をパケットに分割すると音声が途切れると懸念する人がいましたが、実用上問題ないのでLineが(他にはZoomが)通話にも使っています。
だからインターネットは回線の利用効率が高く、通信回線の一部が途切れても通信できます。
また、音声回線は分単位に課金され、インターネット回線は月単位です。
Lineは電話が無料ではなく、インターネット回線に課金されているのです。

一般にインターネットと呼ぶのはWorld Wide Webサービスです。
このWebサービスを発明したのが井浦さんが住むバーゼルにあるCern研究所であり、インターネットを発明したと誤解されることがあります。
パソコン通信、メール、インターネットの通信回線は、音声回線でもインターネット回線のどちらでも通信できますが、インターネット回線の方が効率的なのです。

用語を以下の層に分けて整理すると分かり易いでしょう。
・音声回線、インターネット回線は、電線、即ちハードウェア層の話です。
・インターネット通信、音声通信とは、通信技術層の話です。
・Web、メール、通話、チャット、Zoomはサービス層の話です。
インターネットという用語はどの階層にもあるので、混乱しないで下さい。

メールサービスはプロバイダが提供していましたが、日本では当時、裏では基盤となる通信技術が音声回線からインターネット回線に変わったのです。
当時、日本では技術的な変革期でしたが、欧米でも変革期だったでしょう。
井浦さんは述べていませんが、クイーン・エリザベス二世の船上では海底ケーブルは使用できません。
当時の最新技術である衛星通信が使われていたはずです。


補足

上の記事は1997年頃の「ライン随想録(井浦幸雄さん)」の復刻版です。
当時、私の故郷の住職の遺作「おふくろの味」を井浦さんがWebに載せて下さり、今は住職の息子によって公開されています。
当時、このようにお世話になったことを思い出し、復刻していました。

ある日突然、「ライン随想録」の目次が検索で見つかるようになりました。
しかし、ここから記事へのリンクが途切れています。
これが理由で、今まで検索しても表示されなかったのかもしれません。
そのため、復刻作業は今までどおり続けることにします。


【ライン随想録】
ライン随想録 クイーン・エリザベス二世号航海記- その2(大西洋上およびスイスから)(本記事)
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